重賞レース

第5回川崎スパーキングスプリント(SIII)

2025年6月17日

第61回関東オークス(JpnII)

レースガイド RACE GUIDE

南関東では最短距離(900m)にて行われる重賞競走。
習志野きらっとスプリントへ続くトライアルレース。
2021年から重賞に格上げされたが、それ以前を含め、近8年は休み明け緒戦・2戦目の馬が毎年1~2頭馬券に絡んでおり、ここから始動する馬にも注目。
牝馬が牡馬と互角に渡り合っている事にも注目。
【1着馬に習志野きらっとスプリントへの優先出走権を付与】

コースガイド

2100mと同じく発走は2コーナーの出口だが、3~4コーナーをまわるだけでゴール。いかにスピードを落とさず直線に入ることができるかが重要で、オープンでは51秒台の速いタイムでの決着となることもあります。

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2~4枠が断然。近2走で重賞に参戦していた馬が巻き返す

※データは過去4回と、重賞昇格前オープン特別として行われていた6年分(2015~2020年)を対象にした。

1番人気を信頼して順当決着と考えるか、波乱を狙うか

 単勝1番人気が7勝(2、3着は無し)その時は2着にも2~5番人気馬を連れてきており順当な決着となる事が多い。2・3番人気もそれぞれ5頭・6頭が馬券に絡んでいるが、1~3番人気で決まったのは2021年のみで、3頭目の選び方がポイントとなる。

 1番人気が沈んだ3回は、3→5→2番人気で三連単13,020円、8→6→9番人気で三連単196,360円、2→3→10番人気で三連単27,830円、と5番人気以下の馬が5頭と一気に台頭してくる。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 7 0 0 3 70.0 % 70.0 %
2番人気 1 2 3 4 30.0 % 60.0 %
3番人気 1 4 0 5 50.0 % 50.0 %
4番人気 0 1 2 7 10.0 % 30.0 %
5番人気 0 2 1 7 20.0 % 30.0 %
6番人気以下 1 1 4 56 3.2 % 9.7 %

軸は船橋所属馬、川崎所属馬も健闘

 船橋所属馬が6勝2着2回3着3回で複勝率52%、2020年(出走無し)と2024年を除き毎回連対しており軸馬選びはここから。

 地元川崎所属馬は2024年を除き11頭が馬券に絡んでいるものの、2勝したラディヴィナを含め8頭は斤量53キロ以下だった。4年前に重賞へ格上げされてからは、A1級の馬が4連勝しており、傾向が変わった。

 10年中8回が船橋・川崎でのワンツー。残る2回は大井所属馬が優勝している。その大井所属馬は5頭が馬券に絡んでいるが、2020年・2024年でそれぞれ2頭が馬券に絡んだ以外は3着1頭のみ。よく吟味したい。

 浦和所属馬は2着1回3着2回のみで推しにくい。

【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 2 1 2 9 21.4 % 35.7 %
船橋 6 2 3 10 38.1 % 52.4 %
浦和 0 1 2 18 4.8 % 14.3 %
川崎 2 6 3 45 14.3 % 19.6 %

4~6歳馬が中心、牝馬にも注意

 6歳馬が3勝2着6回3着2回で連対率でトップ。ただ重賞格上げ後は1勝2着1回のみで悩ましい。

 4歳馬は3勝2着1回3着1回で複勝率35%であるが、重賞格上げ前の2020年までは4歳馬1キロ減の恩恵もあったので考慮漏れには注意したい。

 5歳馬は4勝2着2回3着5回。重賞格上げ後は毎年馬券に絡み、2勝2着1着3着4回。3着に5歳馬を選ぶのもありかも知れない。

 馬券に絡んだ30頭中27頭が4~6歳馬。唯一8歳以上で3着に食い込んだのは2015年のコアレスピューマ(11歳)のみで高齢馬には厳しい。

 また牝馬は6勝2着2回3着4回で、2024年を除き毎年馬券に絡んでいる。

【馬齢別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
3歳 0 0 0 1 0.0 % 0.0 %
4歳 3 1 1 9 28.6 % 35.7 %
5歳 4 2 5 18 20.7 % 37.9 %
6歳 3 6 2 19 30.0 % 36.7 %
7歳 0 1 1 16 5.6 % 11.1 %
8歳以上 0 0 1 20 0.0 % 4.8 %
牝馬 6 2 4 18 26.7 % 40.0 %

2~4枠が断然

 ワンターンの電撃戦ゆえに枠順も重要なファクターとなる。2・3・4枠がそれぞれ複勝率60%・50%・50%で、7勝2着6回3着3回と軸選びはここから。

 一方で7枠が2勝3着1回と健闘しているものの、6枠・8枠(馬券に絡んだのは合わせて4頭のみ)の結果を考えると信頼は置きにくい。

 尚、最内の1枠で馬券に絡んだのは、2015年コアレスピューマと2023年エンテレケイアの3着2頭のみ。

【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 0 0 2 8 0.0 % 20.0 %
2枠 2 3 1 4 50.0 % 60.0 %
3枠 3 2 0 5 50.0 % 50.0 %
4枠 2 1 2 5 30.0 % 50.0 %
5枠 0 1 4 12 5.9 % 29.4 %
6枠 0 1 0 17 5.6 % 5.6 %
7枠 2 0 1 16 10.5 % 15.8 %
8枠 1 2 0 15 16.7 % 16.7 %

近2走で重賞に参戦していた馬が巻き返す

 前走か前々走で1,400m以下の重賞競走に出走していた馬が5勝2着3回3着3回。重賞格上げ後は4連勝、2016年を除き毎年馬券に絡んでおり、2桁着順からの巻き返しも見られる。

 また船橋:閃光スプリントに出走していた馬が3勝2着3回3着2回と好相性。それ以外では前走で同じ舞台の川崎900m戦に出走していた馬が1勝2着3回3着4回。

 川崎コース経験の有無は問わないが、ここ7年は休み明けか叩き2戦目の馬が毎年1~2頭馬券に絡んでおり、春のスプリント路線を狙ったローテーションの馬も探してみたい。

ライター:友好春

カプリフレイバー
プライルード

スパーキングスプリント(2025年5月13日)

エンテレケイア

東京スプリント競走(2025年4月16日)

ティアラフォーカス
パレスレガシー

日吉オープン(2025年3月4日)

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第5回川崎スパーキングスプリント(SIII)

注目馬情報

エンテレケイア (牡7歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

 3歳の春に中央から移籍すると一貫して短距離路線。特に1200m以下になると集中力を増して結果につなげている。昨年は2着だったが、その後は習志野きらっとスプリント、アフター5スター賞、船橋記念を制覇し、ダッシュ力を生かして出走レースすべてで掲示板に載る充実ぶりだ。前走の東京スプリントではダートグレード競走ながら3着に粘りきった。減っていた馬体も短期放牧を挟んで馬体を戻している。500キロを超える大型馬のわりには川崎900mは6戦して5回が馬券圏内と器用に立ち回っている。昨年は主導権争いで引くに引けない状態となり悔いが残ったぶん今年こそ決めたい。

「右回りは少し乗り難しさがあって進みがそうよくないところがある。前走は強い馬相手でも行ききって、そこから自分の脚を使うとよく粘ってくれました。今回は左回り。川崎の900mは特殊で、とにかくスピードが求められる。速い馬は多いですが、自分のかたちに持っていければ結果を出せると思います」と吉原寛人騎手。

プライルード (牡6歳 大井・藤田輝信厩舎)

写真:真鍋元

 トライアルのスパーキングスプリントチャレンジを休み明けながら快勝。昨年は全日本2歳優駿以来で川崎コースを走って優勝しているが、スタートも決まり、好位で競馬ができたのが勝因のひとつ。直線追い出してからの反応も良く、ゴール前できっちり差し切り重賞3勝目を挙げた。難しい面を抱え、体重の変動があったり、スムーズさを欠いて時折り大敗することもあるが、優駿スプリントやアフター5スター賞を制してきた短距離の実績馬。課題はゲートで、五分に出ることがまず条件になる。スプリント適性と地力で短距離路線を牽引している1頭だ。

「前走は休み明けのぶん少し重い気もしたが、1回使って絞れているだろうし、上積みは期待できる。前回の時計はそう速くなかったので、もっと詰めたいですね。使いたいときに使えなかったり調整が難しかったけど、スムーズにレースができれば」と本田正重騎手。

パレスレガシー (牡4歳 川崎・佐藤博紀厩舎)

写真:真鍋元

 3歳秋に門別から移籍。川崎に転入してからは900m戦を中心に使われ、今回が初めての重賞挑戦。まだA2クラスではあるが、前走はオープン特別にぶつけ、先行して押し切る好レースが光った。まだ挑戦者の立場ではあるが、もっか川崎900mを連勝しておりしかもタイムはオープン級の速さでヒケは取らない。500キロをゆうに超える大型馬で、南関東の中でも今1番深いとされる川崎の馬場をこなすのに要るパワーを備えている。

「前走後は休養に出してリフレッシュ。馬体が成長して3月時より10キロは増えていると思う。道営からの転入時に比べて増えているのも成長分だと思う。気性的にやんちゃな面があるのが短距離レースに生きているんだろう。前走を見てもポテンシャルは高いが、今回の最終追い切りを自分で乗ってみて、あらためて跳びに力強さを感じた。差す競馬もできるが理想は1列目、もしくは2列目の内で競馬をさせたい。ここでいい競馬ができれば先々への物差しになる」と佐藤博紀調教師。

カプリフレイバー (牡8歳 船橋・稲益貴弘厩舎)

写真:真鍋元

 2021年に重賞へと格上げされた際の初代チャンピオン。3歳時にはスプリントの頂点レースを制した生粋の短距離馬だがすでに8歳。しばらく重賞勝ちからは離れているが、不利があったり、出遅れたりと不完全燃焼な内でも瞬発力勝負で善戦を続けている。前走のトライアルレースでは5ヶ月ぶりの実戦だったが、スピード感あふれるレース内容で2着に入り優先出走権を獲得した。気性面では集中力を切らしてしまう課題があるためブリンカーを着用するようになっている。

「ポンと1列目で競馬ができるといいね。砂を被ると進みが悪くなる。気持ちがそう強い馬ではないから枠はもう少し外がよかったね。休み明けを1度使った上積みは十分。調教では速い時計が出過ぎてしまうので目一杯追っていないが、心臓はできている。年齢は重ねたけど前走の内容もよかったし、衰えは感じていない」と稲益貴弘調教師。

ティアラフォーカス (牡6歳 大井・宗形竹見厩舎)

写真:真鍋元

 川崎スパーキングスプリントは一昨年5着、昨年3着と3回目の出走。特に昨年は追ってついていったぶん終いが甘くなり、直線は競り負けるかたちになった。短距離で自在に立ち回り、2023年には船橋記念で勝利。この時は初の遠征競馬でB級からの挑戦だったが、二の脚の速さで先団に取り付くと終始外を回されながらも直線切れて初タイトルを掴んだ。並んだら渋太い勝負根性も魅力。今回は放牧明けで3ヶ月ぶりの実戦でこのレースを目標にして乗り込んできた。

「リフレッシュ休養に出していたが順調に乗り込めていい状態でレースに臨める。川崎の900mは何度も使っている距離だし適性もある。仕上がりの良さを生かして自分のレースができればいいね」と宗形竹見調教師。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

写真:真鍋元

 2021年より重賞に昇格し、舞台はワンターンの超電撃900m。

 1着には7月30日に船橋で行われる習志野きらっとスプリントへの優先出走権が与えられるトライアル重賞。12頭の韋駄天によるスピード対決となった。

 スタートからカプリフレイバー、エンテレケイアにリノデスティーノも加わり、電撃戦らしく激しい先行争い。

 エンテレケイアが主導権を取りきると、ティアラフォーカスも馬体を併せ2頭のマッチレースに。直線もこの2頭の競り合いは続いたが、ゴール前でエンテレケイアが突き離し、4つ目の重賞勝ちを挙げた。

 2着はティアラフォーカス、3着には先行集団から脚を伸ばしたプライルードが入って確定。エンテレケイアが習志野きらっとスプリントへの優先出走権を獲得した。

 勝ちタイムは53秒3(晴・良)。

写真:小川慎介

1着 エンテレケイア

 行ききるまでに脚を使ったが、しっかり自分のかたちに持ち込んだ。ティアラフォーカスのマークはきつかったが、直線競り負けることなく、最後は突き離す強さ。昨年の雪辱を果たした。

<小久保智調教師>
 秋に大一番があるので負けられないと思っていた。昨年は内枠で苦しんで2着だったので、今年は外枠のぶん気は楽でした。まだ完調まではもうひと息ですが、確実に成長しているのはわかります。このあともJBCスプリントを獲るためのローテーションを選択していきます。次は習志野きらっとスプリントの予定。できる限りのことをしてJBCスプリントに臨みたい。

<吉原寛人騎手>
 休み明けを春先に1度叩いたぶんか、返し馬から反応が良かった。これなら川崎900mでも先手が取れるだろうと自信を持って乗りました。直線で粘り込むエンテレケイアの持ち味を生かす脚を使って勝つことができてホッとしています。秋のJBCスプリントに向けて落としたくないレースではありました。乗る重賞はすべて勝つ気持ちで頑張ります。暑い日が続きますが、競馬でも熱いレースを見せていきたい。

2着 ティアラフォーカス

 御神本訓史騎手から矢野貴之騎手への急きょの乗り替わり。スタートから抜群の手応えでエンテレケイアをぴったりとマーク。直線も食らいついたが、最後は力量の差が出た。

<矢野貴之騎手>
 初めて乗せてもらったが、オンオフの難しさがあると感じた。ひと息で走っている感じもあるし、かといって折り合いに専念するといきなりフワーッと抜けるようなところがあった。枠も並びもすごくよくて、スタート一歩目からうまく決まった。それが好走の理由だと思います。いい内容の競馬でした。

3着 プライルード

 課題のスタートもクリアし、自分のリズムで競馬ができた。直線もしっかり伸びたが、前の馬の脚いろも衰えなかった。

<本田正重騎手>
 脚はちゃんと使っているんですけどね。内枠だったのもあるし、そうでなくても3着までだったかな。スタートダッシュは速いんだけど、行ったらそこで脚がなくなりそう。2列目くらいじゃないと最後がだらだらしてしまいそう。勝った馬が強いし納得した競馬はできました。

4着 ボヌールバローズ

 大外枠から先行集団に取り付き、直線も伸びてきたが、コーナーで外に張り、前との差を詰めるのに後れを取った。

<笹川翼騎手>
 枠順というよりコーナーで膨れてしまった差。ワンターンでよくわからないうちにコーナーに入ってしまった。地力でいえば勝ち負けできる力は持っていると思います。走り慣れていない分の差で負けてしまった感じ。短距離適性はあるので次は逆転を狙いたいですね。慣れてくれば大丈夫でしょう。

5着 リノデスティーノ

 スタートはひと息だったが、内枠や53キロの軽量を生かした積極策で先行し、粘り強さを見せての入着。

<岡村健司騎手>
 あまり出していく競馬はしていなかったんですが、スピードのある馬なので、枠順を考えても頑張ってくれたと思います。

6着 カプリフレイバー

 好スタートを切るも行ききれず、直線も伸びきれずとこの馬にとっては流れが速すぎて脚をためられなかった。

<笠野雄大騎手>
 こないだから少し被る競馬もできるようになっていたので、今日のような位置取りでも3、4着はありそうだと思ったんですが・・・。最後は止まってしまいました。

7着 レベルフォー

 スタートから無理をせず、脚をためての直線勝負も、先行馬有利の競馬で展開が向かなかった。

<本橋孝太騎手>
 久々の川崎ということもあって、コーナーリングで戸惑ってササる場面があった。それがなければ5着はあったと思う。

8着 パレスレガシー

 重賞初挑戦。強力な先行馬が揃い、思い通りの競馬をさせてもらえなかった。

<野畑凌騎手>
 乗ってみると状態の良さを感じなかった。ここまで強い相手と戦うのは初めてですし、ここで使ったことは馬にとって良い刺激になったと思います。次に期待できそうです。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
4 令和6年 プライルード 牡5 本田 正重
3 令和5年 キモンルビー 牝6 御神本 訓史
2 令和4年 コパノフィーリング 牝5 森 泰斗
1 令和3年 カプリフレイバー 牡4 真島 大輔