コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和7年度第5回開催 かなテクカレッジ記念 他

 8月4~8日は重賞が組まれていない5日間開催。5日のメインとして行われた蝉時雨特別は、2番手から3コーナー過ぎで先頭に立ったホッコーソムニウムが2着に6馬身差をつける圧勝。1番人気に応え、連勝を7に伸ばしました。鞍上の佐野遥久騎手は、この開催で8勝を挙げる活躍でした。
 7日の第9レース夏草特別は、前3頭とは離れた4番手で4コーナーを回ったギンユウシジンが直線大外から豪快に差し切り、1年5カ月ぶりの勝利。鞍上は町田直希騎手でした。
 最終日のメイン、かなテクカレッジ記念は、中央3勝クラスから転入初戦のゼウスバイオが、直線半ばで先頭に立った1番人気馬をゴール前で差し切りました。鞍上の新原周馬騎手もこの開催5勝をマーク。若手騎手の活躍が目立った開催でもありました。
 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2025年8月5日(火)蝉時雨特別

優勝馬ホッコーソムニウム

 逃げたのはデアシュトゥルムですが、ホッコーソムニウムの佐野騎手は好位を取りにいって2番手につけると、そのうしろはバラバラの展開になりました。
 向正面でやや掛かりぎみだったデアシュトゥルムに対して、楽な手応えでマークしていたホッコーソムニウムは3コーナーあたりで先頭に立ちました。タイミングとしては少し早い感じでしたが、前のデアシュトゥルムの手応えもそれほどではなかったので、自然な形で抜け出して力の違いを見せました。
 佐野騎手は、ここまでホッコーソムニウムの連勝の手綱を取っていますので、落ち着いていました。直線では楽に突き放して6馬身差。まだまだ上のクラスでもやれそうです。
 デアシュトゥルムは勝ち馬にぴたりとマークされる厳しい展開で、差はつけられましたが、それでもよく2着に粘ったと思います。

2025年8月7日(木)夏草特別

優勝馬ギンユウシジン

 7頭立てでも最初の直線から縦長の展開となって、ギンユウシジンの町田騎手はスタートしてすぐに控えて5番手からの追走でした。
 ペースはそれほど速くはなく、3コーナーから前3頭が後続を離しにかかりましたから、この3頭での決着かというような展開でした。ギンユウシジンは4コーナー手前でようやく前3頭とは離れた4番手。直線では馬場の真ん中まで持ち出して、並ぶ間もなく前の3頭を差し切りました。離れたところまで持ち出したのは、馬体を併せにいくと粘られる可能性があるからだと思いますが、それにしてもギンユウシジンはゴール前の伸びが際立っていました。
 前半のペースは落ち着いていましたが、3コーナー手前で岡村騎手(オングライドパス)が前に並びかけていったときに一気にペースが上がったので、それで前の馬たちは最後に苦しくなったのかもしれません。
 勝ったギンユウシジンは5番人気とあまり人気がなかったこともあり、町田騎手はじっくり構えて仕掛けたのもよかったでしょうし、長く脚を使えるタイプなので流れも向いたと思います。

2025年8月8日(金)かなテクカレッジ記念

優勝馬ゼウスバイオ

 外目の枠から野畑騎手(シャンパンファイト)が行く気を見せましたが、内の本橋騎手(オーウェル)も主張したため、2頭の先行争いとなってのハイペース。3番手以下は大きく離れて縦長になりました。
 ペースとしては、離れた3番手集団あたりの馬たちがよかったようです。勝った新原騎手のゼウスバイオは、その3番手集団の3番目(全体の5番目)を追走していました。
 前の2頭はさすがに3~4コーナーで勢いがなくなって、3番手以下の馬たちが一気に差を詰めてきました。3、4番手にいた2頭が、直線を向いて先行2頭を一気にとらえ、1番人気のインナースティールが一旦は先頭に立ちましたが、そのうしろを追走していたゼウスバイオが直線外に持ち出してゴール前で差し切りました。
 勝ったゼウスバイオの新原騎手は、追い出しのタイミングもよかったですし、いい勝ち方をしました。新原騎手は追ってからも上体があまりぶれず、いい姿勢をしています。