コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
令和8年度第4回開催 スパーキングレディーカップJpnIII 他
7月6~10日の開催でメインとして行われたスパーキングレディーカップ(JpnIII)は、単勝1.7倍の断然人気に支持された中央のタガノミストが3コーナーで先頭に立って完勝。鞍上は松山弘平騎手でした。2着にタマモフリージア、3着にアピーリングルックが入り、中央勢が上位3着まで独占。川崎のホーリーグレイルが地方馬最先着の4着でした。
同日最終レースに行われた恒例の川崎ジョッキーズカップ第3戦は、11番人気のベラヴィットーリアが直線抜け出して勝利。鞍上は池谷匠翔騎手でした。2着に8番人気の櫻井光輔騎手(ビタリス)、3着に7番人気の増田充宏騎手(ユウユウスプレマン)で、3連単は170万円の高配当となりました。
9日第10レースの江戸切子特別(B3)は、佐野遥久騎手のラムテリオスがゴール前で鋭く伸びて差し切りました。こちらも6→9→3番人気で3連単は48万円と波乱の決着となりました。
今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)
2026年7月8日(水)スパーキングレディーカップJpnIII
優勝馬タガノミスト
勝ったタガノミストは楽に2番手につけて、馬が行きたがるのを鞍上の松山騎手が抑えるほどの手応えでした。それだけに、逃げたプラウドフレールが緩みのないペースで引っ張ってくれたことも、タガノミストにはよかったと思います。3コーナーでは持ったまま先頭に立って、このあたりで勝負あったという感じで、直線でも後続を寄せ付けませんでした。
タマモフリージアは後方からの追走で、3~4コーナーでは内を通って位置取りを上げてきました。道中のあの位置からよく2着まで追い上げて来たと思います。
ゴール前ではアピーリングルックもよく伸びました。スタート後、馬群の中に入れて脚を溜めていったぶん、直線で末脚を発揮して3着でした。中央の上位3頭は、それぞれ能力を発揮してという結果で、このメンバーでは勝ったタガノミストの能力が抜けていました。
野畑騎手のアンジュフィールドは、勝ち馬の直後につけて、タガノミストが先頭に立った3コーナー過ぎでも懸命に追いかけたぶん、直線ではホーリーグレイルに交わされての5着でした。
2026年7月8日(水)2026川崎ジョッキーズカップ第3戦
優勝馬ベラヴィットーリア
勝った池谷騎手(ベラヴィットーリア)は、外枠から楽に好位の4番手につけましたが、向正面では3番手の一線、内に櫻井騎手(ビタリス)、外に中越騎手(ガルニエ)がいて、その間に挟まれて苦しい位置でした。それでも4コーナー手前で中越騎手が一杯になって下がったので、直線でうまく進路が開きました。
一方で内にいた櫻井騎手は、4コーナーでは先行した2頭が前で壁になって行き場をなくしてしまいました。直線を向いてもその2頭の間に進路がなく、内に切り替えましたが、そこも抜けてくることができず、もう一度外に切り替えてようやく2頭の間に進路ができて抜けてくることができました。
道中、池谷騎手は厳しい位置でも我慢して、4コーナーからスムーズに抜けてくることができました。対して櫻井騎手は道中の位置取りはよかったですが、4コーナーから直線で行き場に迷ったぶんの2着でした。早めに前が開いてれば櫻井騎手が勝っていたかもしれません。これは悔しい2着だったでしょう。1、2着は展開面で対照的なレースになりました。
縦長の中団よりうしろを追走していた増田騎手(ユウユウスプレマン)と佐野騎手(マロンルピナス)が直線馬体を併せて追い込んで、ゴール前ではきわどいところまで迫って(3着、4着)、見ごたえのあるレースでした。
2026年7月9日(木)江戸切子特別
優勝馬ラムテリオス
勝ったラムテリオスの佐野騎手は、スタートでも出していく様子はなく、馬群から離れた位置(11頭立て10番手)からの追走でした。4コーナーでもまだ後方にいて、直線半ばからの末脚が素晴らしかった。人気がなかった(6番人気)ので、こういう思い切ったレースができたのかもしれませんが、ゴール前で一瞬の脚を引き出した佐野騎手の好騎乗でした。
2着のボニーマジェスティは、櫻井騎手がスタートから出ムチを入れて、道中でもずっと追い通しでした。中団からの追走で、ずっとラチ沿いを通ってきて、直線では馬群がばらけてそのまま内から伸びてきました。逃げ馬をとらえたあたりでは、櫻井騎手はおそらく勝ったと思ったでしょうが、勝ち馬がそれを上回る伸びを見せました。これは勝った馬を褒めるべきでしょう。
