重賞レース

第4回川崎スパーキングスプリント(SIII)

2024年6月11日

6月12日 第60回関東オークス(JpnII)

レースガイド RACE GUIDE

南関東で最短距離(900m)にて行われる重賞競走。
地方競馬スーパースプリントシリーズ(ファイナルは7月に船橋で行われる習志野きらっとスプリント)のトライアルレース。
重賞格上げ前を含め、近7年は休み明け緒戦・2戦目の馬が毎年1~2頭馬券に絡んでおり、春のスプリント路線を狙って始動する馬にも注目。
【1・2着馬に習志野きらっとスプリントへの優先出走権を付与】

コースガイド

2100mと同じく発走は2コーナーの出口だが、3~4コーナーをまわるだけでゴール。いかにスピードを落とさず直線に入ることができるかが重要で、オープンでは51秒台の速いタイムでの決着となることもあります。

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地元川崎対船橋。好走馬の傾向は顕著。

※データは過去3回と、重賞昇格前オープン特別として行われていた7年分(2014~2020年)を対象にした。

1番人気を信頼して順当決着と考えるか、波乱を狙うか

 単勝1番人気が7勝(2、3着は無し)。その時は2着にも2~5番人気馬を連れてきており順当な決着となる事が多い。

 2、3番人気も6頭ずつ馬券に絡んでいるが、1~3番人気で決まったのは2014年と2021年の2回のみで、3頭目の選び方がポイントとなる。

 1番人気が沈んだ3回は、3→5→2番人気で三連単13,020円、8→6→9番人気で三連単196,360円、2→3→10番人気で三連単27,830円、と5番人気以下の馬が5頭と一気に台頭してくる。
【単勝人気別成績】 (過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 7 0 0 3 70.0 % 70.0 %
2番人気 1 1 4 4 20.0 % 60.0 %
3番人気 1 5 0 4 60.0 % 60.0 %
4番人気 0 1 1 8 10.0 % 20.0 %
5番人気 0 2 1 7 20.0 % 30.0 %
6番人気以下 1 1 4 53 3.4 % 10.2 %

軸は船橋所属馬、川崎所属馬も健闘

 船橋所属馬が7勝2着2回3着3回で複勝率57%、出走がなかった2020年を除き毎回連対しており軸馬選びはここから。

 地元川崎所属馬は毎年&12頭が馬券に絡んでいるものの、2勝したラディヴィナを含め9頭は斤量53キロ以下だった。

 10年中8回が船橋・川崎でのワンツーとなっている。

 3年前に重賞へ格上げされ、53キロ以下となるのは牡馬ならB1級以下、牝馬ならA2級以下の馬となる。馬の実力を見極める必要がありそうだ。

 大井所属馬は4頭が馬券に絡んでいるが、1・2着を決めた2020年は船橋・浦和所属馬が出走していなかった。

 浦和所属馬は3着2回のみで推しにくい。
【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 1 2 1 11 20.0 % 26.7 %
船橋 7 2 3 9 42.9 % 57.1 %
浦和 0 0 2 19 0.0 % 9.5 %
川崎 2 6 4 40 15.4 % 23.1 %

4~6歳馬が中心、牝馬にも要注意

 4歳馬が出走16頭で4勝2着1回3着2回で複勝率43%であるが、重賞格上げ前の2020年までは4歳馬1キロ減の恩恵もあったので考慮漏れには注意したい。

 5歳馬が複勝率35%、6歳馬は複勝率34%。

 馬券に絡んだ30頭中27頭が4~6歳馬。唯一8歳以上で3着に食い込んだのは2015年のコアレスピューマ(11歳)のみで高齢馬には厳しい。

 また牝馬は7勝2着3回3着5回で毎年馬券に絡んでいる。

【馬齢別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
3歳 0 0 0 1 0.0 % 0.0 %
4歳 4 1 2 9 31.3 % 43.8 %
5歳 3 3 4 17 22.2 % 37.0 %
6歳 3 5 2 19 27.6 % 34.5 %
7歳 0 1 1 13 6.7 % 13.3 %
8歳以上 0 0 1 20 0.0 % 4.8 %
牝馬 7 3 5 17 31.3 % 46.9 %

2~4枠が断然

 1ターンの電撃戦ゆえに枠順も重要なファクターとなる。2・3・4枠がそれぞれ複勝率60%・50%・50%で、6勝2着6回3着4回と軸選びはここから。

 一方で7枠が3勝3着1回と健闘しているものの、6枠・8枠(馬券に絡んだのは合わせて4頭のみ)の結果を考えると信頼は置きにくい。

 尚、最内の1枠で馬券に絡んだのは、2015年コアレスピューマと2023年エンテレケイアの2頭のみ。
【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 0 0 2 8 0.0 % 20.0 %
2枠 1 4 1 4 50.0 % 60.0 %
3枠 3 2 0 5 50.0 % 50.0 %
4枠 2 0 3 5 20.0 % 50.0 %
5枠 0 1 3 12 6.3 % 25.0 %
6枠 0 1 0 16 5.9 % 5.9 %
7枠 3 0 1 14 16.7 % 22.2 %
8枠 1 2 0 15 16.7 % 16.7 %

近2走で重賞に参戦していた馬が巻き返す

 前走か前々走で1,400m以下の重賞競走に出走していた馬が4勝2着4回3着3回。2016年を除き毎年馬券に絡んでおり、2桁着順からの巻き返しも見られる。

 また船橋:閃光スプリントに出走していた馬が4勝2着4回3着1回と好相性。

 それ以外では前走で同じ舞台の川崎900m戦に出走していた馬が1勝2着3回3着5回。

 川崎コース経験の有無は問わないが、ここ7年は休み明けか叩き2戦目の馬が毎年1~2頭馬券に絡んでおり、春のスプリント路線を狙ったローテーションの馬も探してみたい。

ライター:友好春

マッドシェリー

ドレミスプリント(2024年5月28日)

エンテレケイア

五月特別(2024年5月23日)

サンダーゼウス

スパーキングスプリントチャレンジ(2024年5月6日)

プライルード

東京スプリント競走(2024年4月10日)

カプリフレイバー

船橋ケイバウマ娘コラボ記念(2024年1月16日)

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第4回川崎スパーキングスプリント(SIII)

注目馬情報

エンテレケイア(牡5歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

 3歳の春に中央から移籍すると一貫して短距離路線。特に1200m以下になると集中力を増して走れるようだ。昨年のこのレースの3着馬。その後もダッシュ力を生かした競馬ですべてのレースで掲示板に載るなど本格化。前走も地元戦を逃げ切り、念願のオープン入りを果たした。今回はレース間隔は短いが、小久保厩舎得意なローテーション。500キロを超える大型馬のわりには川崎900mは5戦して4回が馬券圏内と器用に立ち回っている。今まで重賞で入着止まりも力をつけた今なら初タイトルのチャンスは十分にある。

「川崎900mは合うと思います。逃げなくても競馬はできるけど最近の成績からはスタート決めてハナに行けるのが1番ですね。砂被っても我慢は利くと思います」と和田譲治騎手。

プライルード(牡5歳 大井・藤田輝信厩舎)

写真:真鍋元

 川崎コースを走るのは意外なことに全日本2歳優駿以来。休み明けの前走はスタートで後手を踏んだぶんリズムを崩してしまった。トライアルへの出走投票したが抽選漏れとなって間隔があいた。そのぶん十分に乗り込んで、得意の距離を走れる状態に仕上がっている。優駿スプリントやアフター5スター賞を制してきた短距離の実績馬。課題はゲートで、五分に出ることが条件になる。

「前走の東京スプリントはメンバー的にも出していこうと思っていたんだけど、逆にリズムを崩してしまった感じ。船橋1000mでも勝っている馬だし、競馬が上手な馬だからスタートさえうまく出られればいいと思う。ゲートにうるさい面があるからね」と本田正重騎手。

マッドシェリー(牝5歳 川崎・山田質厩舎)

写真:小金井邦祥

 このレースには3年連続の出走。2022年は8着、2023年は11着だったが、昨秋に盛岡のOROターフスプリント遠征しで鞍上の神尾香澄騎手は同馬と共に重賞初制覇。この時は芝コースの予定が走路状態悪化のためダートに変更して行われたが、逃げてレコード勝ちしたように力をつけているのは明らか。走り慣れた川崎900mで結果を期待したい。

「川崎900mはベスト条件。ここは今年の目標だったレース。相性の良い神尾香澄騎手で、斤量の恩恵もある。前走は船橋戦を使って間隔はないがダメージもなく最終追い切りはサーッと流しただけで良い状態を維持している」と山田質調教師。

カプリフレイバー(牡7歳 船橋・稲益貴弘厩舎)

写真:真鍋元

 2021年に重賞へと格上げされた初代チャンピオン。3歳時にはスプリントの頂点レースを制した生粋の短距離馬だが、その後は不利があったり、出遅れたりと不完全燃焼なレースも続いた。昨年の同レースでもスタートして挟まれるようなかたちになる不利があって10着。気性面では集中力を切らしてしまう課題があるためブリンカーを着用するようになった。

「ポンと1列目で競馬ができるといいね。砂を被ると進みが悪くなる。気持ちがそう強い馬ではないからね。トモに疲れが出たので休養させて4月に戻って来たので、このレースを目標に1回使えればと考えていたが、トライアルで抽選漏れになったのは想定外。そのぶん調教で本数を乗って良い状態に仕上がった。川島正太郎騎手もこの馬の癖をつかんでくれている」と稲益貴弘調教師。

サンダーゼウス(牡5歳 川崎・高月賢一厩舎)

写真:真鍋元

 トライアルのスパーキングスプリントチャレンジを楽勝して出走権をつかみ、初めて重賞に挑戦する。トライアルでは競り合う競馬が続いたが、直線でゴーサインのステッキ一発入るとそこから突き抜け4馬身差をつけた。父は高知競馬で12連勝をあげたサクラゼウス。父系、母系ともにすべて“サクラ”の遺伝子という貴重な血である。門別でデビューし、川崎に移籍してからは900mを中心に使われてきた経験値は高いぶん難しい面を出さなければ。

「トライアルは勝ちましたけど、現状は好走パターンに注文がつくし、胸を借りる立場だと思います。スピードはありますが砂を被るのは良くない。外目枠なら番手でもいいとは思います」と森泰斗騎手。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

写真:若松亮太

第4回川崎スパーキングスプリント。
2021年より重賞に昇格し、舞台はワンターンの超電撃900m。
1、2着には7月18日に船橋で行われる習志野きらっとスプリントへの優先出走権が与えられるトライアル重賞だ。12頭のスピード自慢が集まった。

大外からスタートダッシュをきかせたのがノボベルサイユ。内からエンテレケイア、プライルードも先行争いに加わった。3コーナーの入りではノボベルサイユが主導権を取りきり、エンテレケイア、ティアラフォーカスの順で人気所も徐々に前に進出してきた。
直線はティアラフォーカスに、外に持ち出したプライルード、内からエンテレケイアの3頭が叩き合いとなり、ゴール前もうひと伸びしたプライルードが接戦をものにした。

2着はアタマ差でエンテレケイア、3着にティアラフォーカスが入って確定。

プライルードとエンテレケイアが習志野きらっとスプリントへの優先出走権を獲得した。

勝ちタイムは53秒4(晴・稍重)。

写真:小川慎介

1着 プライルード

 スタートダッシュも良く、好位をキープ。直線は競り合いになったが、しっかり反応して伸び脚も良く、この馬らしい力強い走りができた。

<藤田輝信調教師>
 いつもスタートが上手ではないのでうまく出るように祈るような気持ちで見ていました。今日はとても良いスタートで安心してみていられました。あとは前を捌いてくれればと。思いのほか2着の馬が粘っていたのでヒヤヒヤしていましたが、本田騎手がうまく乗ってくれました。斤量に苦しんだ時期もありましたが短距離での活躍が楽しみ。強い勝ち方でした。次は習志野きらっとスプリントを視野に入れることになると思います。

<本田正重騎手>
 2着の馬が強くて、最後危なかったんですが頑張ってくれました。休み明け2戦目で状態も良かったし、勝たなきゃいけない1戦でした。スタートに不安があるんですが、今日は出てくれて、良い位置で競馬ができました。馬の力に助けられました。体重が安定しない時期もありましたが、安定してきました。

2着 エンテレケイア

 主導権争いで多少の無理はあったが、好枠を引いたぶん、引くに引けない状態。行ききれはしなかったが、直線内を突き、切れのある脚を見せた。僅差だけに悔いも残ったレース。

<和田譲治騎手>
 外からハナに行く馬がいたんですが、砂を被っても渋太く食らいつきながら伸びてきました。馬の状態も良くて900mもうまくこなしていました。うまく2番手もしくはハナに行けていたら違ったと思います。力は出せましたが悔しいですね。

3着 ティアラフォーカス

 スタートからリズム良く進み、直線は競り負けるかたちになったが、最後まで見せ場は十分つくり、納得のいく競馬はできた。

<御神本訓史騎手>
 追ってついていったぶん終いが甘くなってしまいましたね。最近はスタートが決まるようになっているし、下げていかなくてもいいのかもしれない。大きいところを勝っている馬だし、今回の900mより次の船橋1000mの方が合うのかもしれません。

4着 カプリフレイバー

 5ヶ月ぶりの実戦になったが、仕上がりが良く、ゴール前の伸び脚には見どころがあった。叩いた次走はさらに良化しているだろう。習志野きらっとスプリントでの変わり身が楽しみだ。

<川島正太郎騎手>
 調教にも乗せてもらっていて、間があいたわりに仕上がりは良さそうだと感じていた。枠も良かったし、もう一回大きなところを取らせてあげたいと一発狙っていました。スタートは五分に出たんですが、900mになると周りが速いですね。自分の形にならなくて、砂も嫌がったんですけど外に出したら伸びてきてくれました。

 馬体は意識的に絞ったわけではないんですが、休養前の540キロ台より、今の方が動けるんではないかと思います。叩いて次また良くなっていると思います。

5着 コパシーナ

 実績のない川崎900mで、スタートも悪かった。それでも内々をうまく立ち回り、5着まで追い上げた。

<今野忠成騎手>
 馬では以前より良くなっているのを感じましたが、スタートで周りが速くてスコンと出ることができなかった。900mだと忙しいですね。1200mの馬なのかな。

6着 サンダーゼウス

 トライアルの勝ち馬。スタートも速かったが、外枠で良いポジションが取れず追い通し。厳しい競馬になった。

<森泰斗騎手>
 外枠で外を回されたし、重賞でやるならもう少しパワーアップは必要ですね。

7着 ヴァンデリオン

 中央からの移籍緒戦。短距離の差し馬という感じだが、900mはさすがに忙しすぎた。

<矢野貴之騎手>
 いい馬ですよ。ただ、900mは忙しかったですね。ワンターンが良いんでしょうけど、1200mなら面白いと思います。

8着 アルバミノル

 状態は良さそうだったが、重賞初挑戦で外枠はきつかった。自己条件ならもっとやれるはず。

<古岡勇樹騎手>
 枠が外過ぎましたね。内に入れるのに時間が掛かってしまいました。馬は頑張ってくれましたので、もう少し内枠なら違っていたと思います。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
3 令和5年 キモンルビー 牝6 御神本 訓史
2 令和4年 コパノフィーリング 牝5 森 泰斗
1 令和3年 カプリフレイバー 牡4 真島 大輔