コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
令和8年度第7回開催 戸塚記念(SI) 他
9月7~11日の開催では、3歳馬による戸塚記念、2歳馬による若武者賞と、2つの重賞が行われました。
9日の戸塚記念では、負傷した町田直希騎手から急遽、張田昂騎手に騎乗変更となったクレームドールが、後方待機から3コーナーで一気に動いて4コーナーで先頭に立つと、そのまま後続を振り切って重賞初制覇となりました。
同じく9日、第4レースに行われた川崎2000シリーズ・ペルセポネ賞は、縦長の後方から向正面で進出したクロウソングが直線を向いて先頭に立つと、ゴール前で迫ったナリノボガートを半馬身差で振り切って勝利。鞍上の櫻井光輔騎手は、今開催4勝、2着2回でリーディング2位の好成績でした。
この日の最終レースに行われたのは、恒例の2026川崎ジョッキーズカップ第4戦。2番手から4コーナー手前で先頭に立ったのは13番人気、岡村裕基騎手のコックリサンでしたが、その直後で構えていた藤江渉騎手のシェナベストがゴール前で差し切り、1番人気に応えての勝利となりました。
今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)
2026年9月9日(水)戸塚記念
優勝馬クレームドール
勝ったクレームドール(負傷した町田直希騎手から張田昂騎手に騎乗変更)は後方からの追走でしたが、向正面半ばから動いていって、4コーナーでまくり切りました。先行争いが激しくなって、道中もペースが落ちるところがそれほどなかったので、終いの脚が生かせる展開になりました。
人気もあまりなかったので(8番人気)、張田騎手は急遽の乗り替わりでも気楽に乗れたということもあったかもしれません。おそらく調教師や町田騎手から終いの脚がいいと聞いて、完璧な騎乗をしたと思います。それにしても強い勝ち方でした。こういう脚質の馬は町田騎手にはぴったりだと思いますが、乗り替わりになったのは残念でした。
直線では矢野騎手のマロンソレイユもよく伸びて2着に入りました。
東京湾カップを勝った川崎期待のララメテオは、今回は本田騎手に替わりました。スタートでダッシュがつかず、向正面で位置取りを上げてきました。4コーナー手前では先行勢のうしろまで来ましたが、直線では伸びがありませんでした(7着)。前走黒潮盃で58キロを背負って、そこから1カ月弱の間隔しかなかったので、その影響があったかもしれません。
2026年9月9日(水)ペルセポネ賞
優勝馬クロウソング
スタート後は3頭の先行争いになりましたが、1番人気の和田騎手(タヴァネスタン)がハナを取りきって、新原騎手(ファイヤーボール)が2番手。笹川騎手(ナリノボガート)はすぐに下げて離れた3番手に控えました。下級条件戦でも1周目のスタンド前の直線でそれほどペースは遅くならず、縦長の展開でした。
勝った櫻井騎手のクロウソングは、スタートして後方に下げて我慢していったのが、ひとつ勝因でしょう。櫻井騎手はこの馬にずっと乗っている(中央から転入後8戦のうち7戦)ので、馬のことはわかっているのでしょう。2コーナーを回って、向正面に入って一気に位置取りを上げていきました。3コーナーでは、逃げていたタヴァネスタンの2番手。直線で先頭に立って、最後までしっかり脚を使いました。クロウソングは、ここのところずっと2000メートルを使われてきて、これで2勝目。勝つにはある程度早めに仕掛けていかないといけないので、これは櫻井騎手がうまく乗りました。
笹川騎手のナリノボガートは、スタート後すぐに下げて好位の内に控えたぶん、直線でもしっかり伸びて2着に入りました。
好スタートを切った佐野騎手(ヴァッツマン)は、最後方まで下げての追走でした。4コーナーでもまだ後方で、直線、よく3着まで追い込んできました。
2026年9月9日(水)2026川崎ジョッキーズカップ第4戦
優勝馬シェナベスト
増田騎手(フリージングフォグ)がハナを切って、岡村騎手(コックリサン)が2番手。勝った藤江騎手のシェナベストは内の3番手、絶好位につけました。
3コーナー過ぎで岡村騎手が先頭に立って直線を向きましたが、外に持ち出した藤江騎手が差し切りました。枠順もよかった(5番)ですし、1番人気らしい正攻法での勝ち方でした。
岡村騎手も2着に粘りました。人気はありませんでしたが、雨馬場で積極的に前に行ったのがよかったと思います。
前2頭からは差がありましたが、前残りの展開で、山林堂騎手のマロンルピナスはよく3着まで追い込んできました。
