コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
令和8年度第2回開催 エンプレス杯JpnII 他
5月11~15日の開催で行われた重賞は、上半期のダート牝馬女王決定戦・エンプレス杯JpnII。1番人気のテンカジョウが直線で先頭に立ちましたが、C.ルメール騎手の落ち着いた騎乗でメモリアカフェが差し切り、昨年の関東オークスJpnII以来となる川崎での勝利。前走兵庫女王盃JpnIIIからの連勝で、牝馬のダートグレード競走3勝目としました。
12日に行われた川崎ジャンプアップシリーズ・クラセアルタ賞は、ドウザンワンが直線半ばで一気に抜け出しての勝利。鞍上の新原周馬騎手は、この開催6勝を挙げ、同じく6勝の野畑凌騎手とは2着の差で、開催リーディングでは惜しくも2位でした。また管理する高月賢一調教師はこの開催10勝を挙げる活躍で開催リーディングとなりました。
恒例の川崎ジョッキーズカップ第2戦は、新原周馬騎手のローゼシュティアが後続を離しての単騎逃げに持ち込みましたが、2番手を追走した山林堂信彦騎手のリコースチェッキンが直線で抜け出し、1番人気にこたえての勝利となりました。
今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)
2026年5月13日(水)エンプレス杯
優勝馬メモリアカフェ
勝ったメモリアカフェは、スタートでダッシュがつかず後方から、縦長の後方2番手からの追走でした。レイナデアルシーラがハナをとって、すぐにペースが落ち着いたので、スタンド前の直線では1番人気のテンカジョウが3番手まで位置取りを上げてきました。メモリアカフェのルメール騎手は後方のまま、向正面に入ってもまだ動きませんでした。ようやく動いていったのは、向正面の半ばを過ぎてからでした。
テンカジョウの松山騎手は3コーナー過ぎで仕掛けて4コーナーで前をとらえ、直線半ばで抜け出すという完璧な勝ちパターンに持ち込んで楽勝かと思いました。
ただメモリアカフェは4コーナーでもまだ前とは5馬身ほども離れたところから一気に差し切りました。乗れてる騎手は違いますね。ルメール騎手の終いに賭けた騎乗が決まりました。馬の力を信じて自信を持って乗っていたのでしょう。レースの上がり(3ハロン)が37秒9のところ、メモリアカフェは36秒1と抜群でした。
逃げたレイナデアルシーラもよく3着に粘りました。田口騎手が道中でうまくペースを落としたのがよかったと思います。1~3着馬はどの騎手もうまく乗って力を発揮した結果でした。
2026年5月12日(火)クラセアルタ賞
優勝馬ドウザンワン
勝ったドウザンワンは、スタートはあまりよくありませんでしが、先行集団のうしろにつけました。新原騎手は向正面でもずっと手を動かして追い通しでした。ここ3戦は増田騎手の騎乗で後方からの追走でしたが、今回、前目につけていったのは、調教師から指示があったのかもしれません。3~4コーナーでは外から一気に仕掛けて行って、直線で抜け出す強い勝ち方でした。今回は積極的に先行集団のうしろにつけていったのがよかったのかもしれません。こういう勝ち方ができれば、また次も楽しみになります。
1番人気のメイショウマチルダは、スタートで馬が頭を上げて出遅れました。いつも後方から行っているように、今回もそのまま離れた最後方からの追走でした。道中でもときどき頭を高く上げたり、こういう馬は乗り難しいと思います。馬群に揉まれないように、あえて離れた後方からの追走なのかもしれません。脚を使ったのはゴール前の100mだけで、しっかり2着は確保しました。今回は頭数が少なかったのもよかったかもしれません。
2026年5月13日(水)2026川崎ジョッキーズカップ第2戦
優勝馬リコースチェッキン
ローゼシュティアはゲート内で立ち上がったり、うるさかったからなのか、新原騎手は外枠からでも思い切って出して行きました。1~2コーナーでも気合をつけてハナに立つと、後続に差をつけての逃げになりました。普段はこんな乗り方をする騎手ではないのですが、ローゼシュティアは最近でも後方からの競馬で結果が出ていなかったので、調教師からそういう指示があったのかもしれません。直線ではさすがに一杯になって、結果は最下位でしたが、あまり行きっぷりのよくない馬に一度こういうレースをさせると、次によくなることはあります。
勝った山林堂騎手のリコースチェッキンは、好スタートを切って、普通ならそのまま逃げるのでしょうが、大逃げのローゼシュティアには構わず、落ち着いてマイペースの2番手でじっとしていました。楽な手応えのまま直線を向くと、そのまま後続を寄せ付けず、1番人気にこたえての完勝でした。
