重賞レース

第1回ネクストスター東日本(SIII)

2024年3月14日

レースガイド RACE GUIDE

全日本的なダート競走体系整備に伴い、兵庫チャンピオンシップを頂点競走として、各主催者・各ブロックにネクストスターが新設された。東日本ブロックは浦和・船橋・川崎競馬場の持回り重賞競走とし、 施行初年度は令和6年3月に川崎競馬場で実施する。文字通り次世代の短距路線のスター輩出の期待が掛かる。【1着馬に兵庫チャンピオンシップJpnⅡへの優先出走権を付与】

コースガイド

最初の1コーナーまでの距離は約300。コーナーが非常にきついため緩やかなペースで進入することが多くハイペースになりづらい傾向。息も入れやすいため、基本的には内枠の逃げ・先行馬が有利。

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新設レースで、ネクストスター誕生の予感

新たな競走体系構築により2024年から3歳馬短距離路線の頂点競走として位置付けられる兵庫チャンピオンシップ(JpnII・園田1400m)に向け、南関東3競馬場(川崎・浦和・船橋)にて持ち回りで実施される事になった重賞級認定競走。
地方全国交流戦だが、JRA所属馬として出走歴のある馬には出走資格が無い。
参考となるレースが無いため、1,600m戦ではあるが近10年同時期に行われていた3歳1組(2014年~うぐいす特別、2018年~椿賞・つばき賞=クラウンカップトライアル・2019年に準重賞へ格上げ)を元に考えてみる。
ちなみに1973年以降川崎1,400mで重賞が行われたのはJBCスプリント(2012年・2016年)のみである。

1・2番人気のどちらかを中心に選びたい

1番人気は3勝2着2回3着2回、2番人気は2勝2着3回3着1回とまずまずの成績で、2021年以外はどちらかが馬券に絡んでいる。
一方で6番人気以下が2勝2着2回3着4回と穴を開けており、一捻りが必要だ。

【単勝人気別成績】(うぐいす特別、椿・つばき賞 過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 3 2 2 3 50.0 % 70.0 %
2番人気 2 3 1 4 50.0 % 60.0 %
3番人気 1 0 1 8 10.0 % 20.0 %
4番人気 1 2 2 5 30.0 % 50.0 %
5番人気 1 1 0 8 20.0 % 20.0 %
6番人気以下 2 2 4 60 5.9 % 11.8 %

船橋所属馬を連軸に選び、川崎・浦和から相手を吟味したい

地元川崎所属馬は出走頭数が多いながらも4勝2着5回3着8回と毎年馬券に絡んでいる。
船橋所属馬が3勝2着4回3着1回で連対率・複勝率はこちらが上。クラウンカップトライアルとなった2018年以降は毎年連対している。連軸選びはこちらか。
浦和所属馬も3勝2着1回3着1回と負けていない。
大井所属馬は雲取賞・京浜盃の間という事もあり、このレースへの出走自体が10年で4頭しかおらず馬券に絡んでいない。
但し、今回は地方全国交流競走となるため勢力図が変わる可能性もある。

【所属別成績】(うぐいす特別、椿・つばき賞 過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 0 0 0 4 0.0 % 0.0 %
船橋 3 4 1 16 29.2 % 33.3 %
浦和 3 1 1 12 23.5 % 29.4 %
川崎 4 5 8 56 12.3 % 23.3 %

距離短縮で7・8枠が有利になりそう

2枠が3勝2着3回(2018年は出走取消)と断然の連対率、これに続くのが1枠で1勝2着2回3着1回となっているがクラウンカップトライアルとなってからは、1・2枠合わせて1勝2着2回と今ひとつ。
それなら今回1コーナーまでの距離が短い1,400m戦になる事と合わせ、ここ6年で2勝2着1回3着3回の7・8枠の方が有利か?

【枠順別成績】(うぐいす特別、椿・つばき賞 過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 1 2 1 6 30.0 % 40.0 %
2枠 3 3 0 3 66.7 % 66.7 %
3枠 1 0 2 9 8.3 % 25.0 %
4枠 1 1 0 11 15.4 % 15.4 %
5枠 1 0 1 14 6.3 % 12.5 %
6枠 0 3 1 15 15.8 % 21.1 %
7枠 3 0 3 14 15.0 % 30.0 %
8枠 0 1 2 16 5.3 % 15.8 %

前走重賞出走組・浦和出走組に注目

クラウンカップトライアルとなってからの近6年は前走重賞競走で掲示板を外していた馬が、該当馬が1頭しかいなかった2021年を除く5年で2勝3着3回と巻き返している。
対して近6年で前走が重賞でなかった馬の馬券絡みは、1頭を除いて前走5番人気以内かつ4着以内だった。
例外の1頭は、2018年1番人気1着のサザンヴィグラス(道営で重賞2勝、前走は重賞格上げ前の雲取賞10着)でここでは格が違った。
ここ10年で見ると、前走が浦和の1,400~1,500m戦だった馬が2021・2022年を除く8年で4勝2着3回3着3回と、前走川崎出走組(3勝2着5回3着5回)を上回る成績を残している。
尚、牝馬は1勝2着1回3着2回だが、クラウンカップトライアルとなってからは前走で重賞に出走していた2頭が3着に食いこんだのみである。

ライター:友好春

ギガース
ライゾマティクス
クルマトラサン

雲取賞(2024年2月14日)

カプセル

ブルーバードカップ(2024年1月17日)

アムクラージュ

ニューイヤーカップ(2024年1月10日)

第1回ネクストスター東日本(SIII)

注目馬情報

■ギガース (牡3歳 船橋・佐藤裕太厩舎)

写真:真鍋元

 育成の段階で骨折を負ったためデビューこそ遅れたが、新馬戦を4馬身差をつけて勝った際に馬上から降りた森騎手の第一声が「この馬は重賞級です」だったというから素質の高さはお墨付き。その言葉通りに4戦目でニューイヤーカップを優勝した。しかもゴール前は先行した3頭の叩き合いを制しての勝利だった。前走の雲取賞では後方からの競馬になったが、折り合いもついて逞しく直線伸びてきた。小回りコースは問題なくこなせるはずだし距離短縮がどう働くか楽しみだ。

「結果論ですが前走は大事に乗りすぎましたね。少し距離を詰めていろいろ経験させたいと今回は1400mを使うことにしました。短い距離でも味ある競馬をしてくれると思います。状態も良いので、積極的に出していったらどういう競馬するのか、勝ちにこだわったレースをさせたいと思います」と佐藤裕太調教師。

■カプセル (牡3歳 北海道・田中淳司厩舎)

写真:真鍋元

 デビューから9戦3勝、2着1回、3着2回と豊富なキャリア。昨年秋の平和賞では絶好の枠を引いて迷いのない逃げで後続を振り切って快勝。いったん交わされる場面もありながら差し返した。初コースにも動じないメンタルの強さも感じられた。以来、兵庫ジュニアグランプリ、ブルーバードカップと遠征競馬が続いているが、自分の型に持ち込むことができず敗退。平和賞でコンビを組んだ笹川騎手を再び配し盤石の構えだ。

「今回の中間から調教でもブリンカーを着用しました。単走でもこれだけのタイムが出ましたし状態面はブルーバードカップ以上。申し分ないデキです。輸送もタフにこなすので心配はしていません。枠順次第になりますが、1400mの距離を考えると、行ければ行きたいし番手は取りたいですね」と田中淳司調教師。

■ライゾマティクス (牡3歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

 川崎1400mはスタート地点から最初のコーナーまでの距離が短く、ダッシュ力の速さは鍵。鎌倉記念2着、ハイセイコー記念2着、ニューイヤーカップ3着と、スピード値の高さで重賞でもたびたび上位に食い込むトップクラスの存在。二走前のニューイヤーCでは58キロの最重量と大外枠の不利もあったが、勝ったギガースとはコンマ2秒差と負けて強しのレース内容。前走は揉まれる競馬になり不完全燃焼。今回は仕切り直しの一戦。徹底先行することになりそう。

「現状では揉まれ弱い印象がありますね。前走は行き脚がつかなかったのもあるし、今回は地方競馬同士なのでいいポジションを取りに行きたいですね」と矢野貴之騎手。

■クルマトラサン (牡3歳 船橋・張田京厩舎)

写真:真鍋元

 前走の雲取賞では初めてモマれて砂を被り不本意な結果に終わった。デビュー戦から逃げにはこだわらず、先団で包まれるシーンがあっても集中力を切らさなかったのだから、これも経験のうちだろう。柔軟な対応力とレースセンスからもキャリアの割に完成度は高い。ベストウォーリア×ヨハネスブルグの血統からも距離短縮はプラスに働きそう。

「あれだけ砂を被ったのは初めてだからね。前走はその影響が大きかったんだと思う。その後のダメージもないようだし、調整は順調。集中力を切らさなかった追い切りの内容も良かった。距離短縮はプラスになりそうだ」と張田京調教師。

■アムクラージュ (牡3歳 浦和・藤原智行厩舎)

写真:真鍋元

 デビューから500キロを超える大型馬だが成長が早く、昨年8月のルーキーズサマーカップでは大外枠から早めに先頭に立つ強い内容で後続を5馬身突き離す完勝。鎌倉記念や前走のニューイヤーでは抑える競馬にも対応できるようになり、以前の叩きつけるような走りからストライドが伸びて走りが軽やかになった。どこからでも競馬ができる器用さがあり距離も不問だ。

「2歳のうちから馬体の完成度が高くて、ここにきて精神面の幼さが成長してようやく合ってきた感じ。中間はリフレッシュさせたあとはここを目標に乗り込んできました。調教も時計以上に動きは良かった。抑える競馬もできるけど、できれば中団より前で競馬がしたい。距離1400mでの楽しみは大きいです」と藤原智行調教師。

写真:真鍋元

ネクストスター東日本は短距離からマイル路線を強化するために新設された3歳1400mの重賞。1着馬には兵庫チャンピオンシップ(JpnII)への優先出走権が与えられる。

好調馬が揃い、フルゲートの戦いには北海道から1頭が参戦した。

ライゾマティクスの逃げにギガースが2番手、すぐ後ろにクルマトラサン、スノーシューが並んで追走。ペースは速くなり、縦長状態。

3コーナーで仕掛けたギガースが4コーナーでは早くも先頭。直線では馬場の中央に持ち出すと独走状態でそのまま押し切った。

好位を追走したクルマトラサンが渋太く食らいつき2着を確保。中団から鋭く伸びたアジアミッションが3着入線。

勝ちタイムは1分30秒6(晴・稍重)。

写真:真鍋元

1着 ギガース

 スタートダッシュも良く、3コーナーからは早めに先頭に並びかける強気な戦法。直線も後続を寄せ付けず力の違いを見せつけた。

<佐藤裕太調教師>
ここを目標にしっかり乗り込んできました。人気に応えられてホッとしています。積極的に乗ってもらうように伝え、遊んでしまう面は4コーナーでセーフティリードを取って森騎手も考えて乗ってくれました。

今後については、せっかく権利を獲ったので兵庫チャンピオンシップを視野に入れて、地元の東京湾カップにするのか、羽田盃に路線を戻すのか、その三択でオーナーと相談したいと思います。

<森泰斗騎手>
雲取賞ではうまく走らせることができなくて、ここは勝たなければいけないと思っていた。ポジションもリズムも良かったと思います。多少オーバーペース気味だったので抜け出すタイミングに気をつけていたんですが、早く抜け出しすぎましたね。道中遊んでましたが、セーフティリードを取れていたんで、遊びつつ押し切れたという感じです。馬体も立派ですし力もあるので性格面もジョッキーとしてできる改善をしていきたいと思います。

第1回の覇者に名前を刻めたことを嬉しく思います。

2着 クルマトラサン

 最内枠だったが、向正面で外に切り返すことができた。キックバックも少ない位置で、この馬らしい走りはできた。

<石崎駿騎手>
 デビュー前に乗ったことあったし良い馬なのはわかっていた。ただ現状では砂を被ると良くないですね。そのへんがまだ幼い。何回か被っている内に慣れそうですけどね。あまり長いのは良くないでしょうが、操縦性がいいから距離の融通は利きそうです。馬体も気性もまだ幼くて、これから先が楽しみ。

3着 アジアミッション

 中団からではあったが、レース最速の上がりで追い上げてきた。揉まれる競馬にも慣れ、成長が感じられる走りだった。

<山崎誠士騎手>
 具合も良いし、馬も競馬を覚えてきている。力をつけてきてますよ。展開次第で勝ち負けできるつもりで乗っていましたが、今日は3、4コーナーで捌けずに悔しい競馬になりました。一か八かリスク承知でインに入ったがハマってしまった。次のクラウンカップではまた違う競馬を見せられると思う。

4着 アムクラージュ

 脚をタメづらい速い流れで追走に戸惑ったところもあったが、集中力を切らさず直線はきっちり伸びてきた。

<御神本訓史騎手>
もうワンパンチあれば今後、大きいところを取れると思います。成長力に期待しています。

5着 チャダルクン

 スタートのタイミングが合わず後方からの競馬になったが、長くいい脚を使って5着まで追い上げた。重賞初挑戦で初物尽くしのなかでの入着は収穫のある一戦だった。

<野畑凌騎手>
 3番手くらいにつけられれば2着はあったと思う。終いはいい脚を使っていたんで力はありますね。競馬が上手ですし、抑える競馬をするようになっても対応できそうです。

6着 ライゾマティクス

 内枠から軽快な逃げも、早めに勝ち馬に並びかけられ苦しくなった。強い競馬もするが、まだ脆さもある。

<矢野貴之騎手>
 今日は被らない位置を取ろうと思ってました。ムキになって走ってましたね。マークされて息が入るところがなかった。これなら外枠でも引いてリズム良く運べればまた違うはず。パワフルさはあるので馬体がしっかりしてくれば噛みあってくるとタイトルも考えられます。距離はもっとあった方が良いですね。

7着 スノーシュー

 無理なく好位に取り付いたが、勝負どころからペースが上がると追走に手間取り、直線半ばで脚も上がった。

<本田正重騎手>
 ゲート出すぎてしまった。それが逆に自分の競馬ができなくなってしまった。もっとゆっくり行ければ良かった。

8着 エドノバンザイ

 どんな競馬でもできるが、重賞レースだと少し荷が重い。

<福原杏騎手>
 揉まれたくないから外を回すかたちになった。1400だと追走にやや苦労しますね。直線まで頑張ってくれていたし、現状の力は出せました。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手