重賞レース

第3回川崎スパーキングスプリント(SIII)

2023年6月13日

レースガイド RACE GUIDE

2021年に南関東SⅢ重賞へ昇格し今年で第3回となる。南関東で数多く実施される重賞レースの中でも唯一の900m戦であり、当然ながら出走馬にはスピード自慢が終結する。7月の習志野きらっとスプリント(船橋)をファイナルとする、地方競馬スーパースプリントシリーズの南関地区トライアルという位置付けでもある。50数秒の電撃戦に注目だ。【1着、2着馬に習志野きらっとスプリントへの優先出走権を付与】

コースガイド

2100mと同じく発走は2コーナーの出口だが、3~4コーナーをまわるだけでゴール。いかにスピードを落とさず直線に入ることができるかが重要で、オープンでは51秒台の速いタイムでの決着となることもあります。

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好走馬の傾向は明確。絞って仕留めたいレース

※データは過去2回と、重賞昇格前オープン特別として行われていた8年分(2013~2020年)を対象にした。

1番人気を信頼して順当決着と考えるか、波乱を狙うか

単勝1番人気が7勝(2、3着は無し)その時は2着にも2~5番人気馬を連れてきており順当な決着となる事が多い。
2、3番人気も6頭ずつ馬券に絡んでいるが、1~3番人気で決まったのは2021年と2014年の2回のみで、相手選びがポイントとなる。
1番人気が沈んだ3回は、3→5→2番人気で三連単13,020円、8→6→9番人気で三連単196,360円、2→3→10番人気で三連単27,830円、と5番人気以下の馬が5頭と一気に台頭してくる。

【単勝人気別成績】(過去10回、2023年は1着同着)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 7 0 0 3 70.0% 70.0%
2番人気 1 1 4 4 20.0% 60.0%
3番人気 2 4 0 4 60.0% 60.0%
4番人気 0 1 1 8 10.0% 20.0%
5番人気 0 2 1 7 20.0% 30.0%
6番人気以下 1 1 4 53 3.4% 10.2%

軸は船橋所属馬、格上挑戦の川崎所属馬も健闘

船橋所属馬が8勝2着2回3着3回で複勝率59%、出走がなかった2020年を除き毎回連対しており軸馬選びはここから。
地元川崎所属馬は11頭が馬券に絡んでいるものの、2勝したラディヴィナを含め9頭は斤量53キロ以下だった。
2年前に重賞へ格上げされ、53キロ以下となるのは牡馬ならB1級以下、牝馬ならA2級以下の馬となる。馬の実力を見極める必要がありそうだ。
大井所属馬は4頭が馬券に絡んでいるが、1・2着を決めた2020年は船橋・浦和所属馬が出走していなかった。
浦和所属馬は近9年に絞ると7頭立てだった2019年の3着のみで推しにくい。

【所属別成績】(過去10回、2023年は1着同着)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 1 2 1 10 21.4% 28.6%
船橋 8 2 3 9 45.5% 59.1%
浦和 0 0 2 19 0.0% 9.5%
川崎 2 5 4 41 13.5% 21.2%

4~6歳馬が中心、牝馬にも要注意

4歳馬が出走16頭で4勝2着1回3着2回で複勝率43%であるが、重賞格上げ前の2020年までは4歳馬1キロ減の恩恵もあったので考慮漏れには注意したい。
6歳馬は複勝率38%、5歳馬が複勝率32%で近9年に絞れば27頭中24頭が4~6歳馬。唯一8歳以上で3着に食い込んだのは2015年のコアレスピューマ(11歳)のみで高齢馬には厳しい。
また牝馬は6勝2着3回3着5回で、近9年毎年馬券に絡んでいる。

【馬齢別成績】(過去10回、2023年は1着同着)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
3歳 0 0 0 1 0.0% 0.0%
4歳 4 1 2 9 31.3% 43.8%
5歳 3 2 3 17 20.0% 32.0%
6歳 3 5 2 16 30.8% 38.5%
7歳 1 1 1 12 13.3% 20.0%
8歳以上 0 0 2 24 0.0% 7.7%
牝馬 6 3 5 17 29.0% 45.2%

2~4枠が断然

1ターンの電撃戦ゆえに枠順も重要なファクターとなる。
2・3・4枠がそれぞれ複勝率50%で、6勝2着5回3着4回と軸選びはここから。
一方で7枠が3勝3着2回と健闘しているものの、6枠・8枠(馬券に絡んだのは合わせて3頭のみ)の結果を考えると信頼は置きにくい。
尚、1枠で馬券に絡んだのは、こちらも2015年のコアレスピューマのみ。

【枠順別成績】(過去10回、2023年は1着同着)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 0 0 1 9 0.0% 10.0%
2枠 1 3 1 5 40.0% 50.0%
3枠 3 2 0 5 50.0% 50.0%
4枠 2 0 3 5 20.0% 50.0%
5枠 2 1 3 10 18.8% 37.5%
6枠 0 1 0 16 5.9% 5.9%
7枠 3 0 2 13 16.7% 27.8%
8枠 0 2 0 16 11.1% 11.1%

近2走で重賞に参戦していた馬が巻き返す

前走か前々走で1,400m以下の重賞競走に出走していた馬が4勝2着4回3着4回。2016年を除き毎年馬券に絡んでおり、2桁着順からの巻き返しも見られる。
また前走で船橋:閃光スプリントに出走していた馬が4勝2着2回3着2回と好相性。
それ以外では前走で同じ舞台の川崎900m戦に出走していた馬が1勝2着2回3着5回。
川崎コース経験の有無は問わないが、ここ6年は休み明け叩き2戦目の馬が毎年1~2頭馬券に絡んでおり、春のスプリント路線を狙ったローテーションの馬も探してみたい。

ライター:友好春

 

プリモパイソン

スパーキングスプリントチャレンジ(2023年5月16日)


 

ティアラフォーカス

東京スプリント競走(2023年4月19日)


 

キモンルビー
カプリフレイバー

船橋記念(2023年1月18日)


 

エンテレケイア

新春賞(2023年1月12日)


 

第3回川崎スパーキングスプリント(SⅢ)

注目馬情報

■キモンルビー(牝6歳 船橋・川島正一厩舎)

写真:真鍋元

 スタートダッシュには定評がある。2021年2月に高知から転入した時はC2格付だったが、わずか1年でオープン入り。転入から11連勝で船橋記念を勝って初重賞制覇。その後も安定した走りを続け短距離の経験は豊富で実績も上位。昨年の当レースではラクに2番手に付けて、いつ交わすかという必勝態勢の手応えだったが、逃げ馬が粘り強く、軽量馬にも差されて結果3着だった。川崎900mに勝ち星はないが、2着、3着と好勝負をしており、苦手意識はない。ここ2戦は2着続きだが、僅差でそれも斤量の差。自分の走りはできている。今回外枠の不利はあるが、かえって包まれずレースを進められる。自在性が出てきた今ならどんな競馬にも対応できそうだ。

「疲れが出たのでひと息入れた。牧場に出したが向こうでは調整程度で過ごし、戻してからは4本はしっかり時計を出して調教メニューをこなしている。休み明けなのは心配だが、目標の習志野きらっとスプリントに向けて恥ずかしい競馬はしないと思うよ」と川島正一調教師。

■ティアラフォーカス(牡4歳 大井・宗形竹見厩舎)

写真:真鍋元

 530キロある大型馬でデビュー当時こそソエに苦しんだが、解消後は安定感あるスピードで好走を続けた。3歳短距離の頂点レース優駿スプリントでは一番人気に推されていたがゲートでガタガタして致命的な出遅れ。不本意な結果に終わった。その後は3連対で船橋記念に臨み、初めての遠征競馬にも対応。外目を回されながらも連覇を狙うキモンルビーをゴール前差し切って初重賞制覇。この時はB級からの挑戦で53キロの軽量を存分に生かした勝利でもあったが、並んでからの勝負根性は古馬短距離戦線での活躍を期待させるものだった。テンションが高くなる気性面の課題があったため前走からはブリンカーを着用。川崎コースは初めてになるが、スムーズに捌ければ素質を発揮。

「前走は出して行きすぎて折り合いを欠いた面があった。ブリンカーを初めて着けたことで思いのほかハミを取り過ぎてしまったね。2度目なら違うと思うし最近は調教からも精神的に大人になっているのを感じる」と和田穰治騎手。

■カプリフレイバー(牡6歳 船橋・稲益貴弘厩舎)

写真:真鍋元

 2021年の重賞に格上げされた第1回の覇者。3歳時にはスプリントの頂点レースを制した生粋の短距離馬だが、その後は不利があったり、出遅れたりと不完全燃焼なレースが続いた。距離を延ばしたこともあったが明らかに長かったことから短距離に絞ったローテーションを使われてきた。気性面では集中力を切らしてしまう課題があるため、昨年の習志野きらっとスプリントからブリンカーを着用するとレースぶりが良化。スタートも五分に出られるようになっている。

「使うのにちょうどいいレースがなく、近走の成績もひと息だったので茨城の森本ステーブルに放牧に出し、全身ササ針を施してここを目標に仕上げてきた。5月7日に帰厩してからは速い時計は4本出して攻めている。中間もいい時計が出たので、やめる気を出さず900mを本気で走れば一番強い馬だと思っている」と稲益貴弘調教師。

■プリモパイソン(牡5歳 川崎・内田勝義厩舎)

写真:真鍋元

 ひと叩きされた前走はトライアルのスパーキングスプリントで、熾烈な逃げ争いを振り切って快勝。優先出走権を獲得した。スピードを生かすレースで900mでは連対率がなんと7割。今回は初めての重賞挑戦で、オープン相手となり、先行馬も揃ってこれまでのようにはいかないだろうが、自分のパターンに持ち込めれば粘り強さを発揮できそうだ。

「相手は強いが、この馬自身も良くなってきているからね。前走のレース内容も良かった。今回はさらにグンと良くなって馬に幅が出た感じ。この中間も追い切りも順調そのもの。ハナに行けなくてもレースができると思うよ」と内田勝義調教師。

■エンテレケイア(牡4歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

 3歳の春に中央から移籍すると、若潮スプリント5着に続いて優駿スプリントでは4着。外2番手でもまれない競馬ができたたことで見せ場をつくることができた。砂を嫌がったり、揉まれると良くない課題はあるものの、初めて川崎900mを走った際には出色タイムで勝利。その後の川崎900m戦では2着、3着と適性を見せている。距離1400mに延ばしてからもスピードを生かして競馬で好走。今回はひと息入ったが、スムーズに運べれば対応力は幅広い。

「前走で久々に乗ったんですが1400mでしたので900mでどんな競馬できるか自分にとっては未知数です。ササる面はあるが操縦性のいい馬ですね」と笹川翼騎手。

写真:真鍋元

一昨年より重賞に昇格し、舞台はワンターンの超電撃900m。1、2着に習志野きらっとスプリントへの優先出走権が与えられるトライアル重賞。7月25日に船橋で行われる地方競馬スーパースプリントシリーズのファイナルへ向け、12頭のスピード自慢が集まった。

抜群のスタートを切ったキモンルビーをエンテレケイア、プリモパイソンが追いかける。3コーナー付近ではマッドシェリー、ティアラフォーカスも加わり、先行集団は熾烈な争い。マイペースに持ち込んだキモンルビーが直線もしっかり伸びて後続を振り切った。

2着争いは混戦になったが、2番手に付けたプリモパイソンがそのまま凌ぎ、内から伸びたエンテレケイアが3着入線。

キモンルビーとプリモパイソンがシリーズファイナルへの優先出走権を獲得した。

勝ちタイムは53秒2(晴・重)。

写真:小川慎介

1着 キモンルビー

 テンに速い馬が揃っていたが、他馬たちが追いつけないほどのダッシュ力。一気にハナに立つと最後まで集中力を切らさなかった。久々の実戦だったが、力強い走りを見せた。

<川島正一調教師>
 厩舎でじっくり仕上げてプログラムはうまくこなしてくれていた。いつも出脚が悪いんだけど、二の脚が速いからうまいこと前で競馬ができた。それにしても速かったね。びっくりした。こうやりたいとごり押ししても馬主さんが任せてくれるのでありがたいです。毎回勝つことはたいへんですが、それだけのポテンシャルをもっている馬。厩舎サイドが導いてやれば、また結果を出してくれると思います。ここ何戦か悔しい競馬が続きましたが、こういう競馬もできると証明できてよかった。次の習志野きらっとスプリントでも勝てるように仕上げていきたい。
 


 
<御神本訓史騎手>
 休み明けでもリフレッシュして良い状態でした。レースは船橋記念以来でも3月くらいには帰厩してじっくり調整できたのが良かったと思います。今日は最高のスタートを切れました。直線もアドバンテージはありましたが、何とか粘ってくれと追っていました。2着、3着のもどかしいレースが続いていましたが、この馬自身も重賞を勝てるような力を付けています。まだまだ元気いっぱいにやってくれそうです。
 
 

2着 プリモパイソン

 格下からの挑戦だったが、うまく先行でき渋太さも見せた。前走のトライアルを勝っての出走だったが、調子の良さもうかがわれた。

<吉原寛人騎手>
(前走乗った)御神本さんから具合の良さは聞いていた。スピードもあるんで、切り返してからもしっかり2着に粘ってくれました。大した馬ですね。

3着 エンテレケイア

 一年ぶりの川崎900m戦。最内から懸命に先行するもコーナーで少し遅れをとった。それでも直線に入るとしっかり巻き返し。いい伸び脚を見せていた。

<笹川翼騎手>
 流れが速いと思いましたが、この馬もスタートを決めて頑張ってくれました。砂を被ると良くないのですが、久々の900m戦もこなして集中して走っていましたね。御神本さんの馬は速かったけどその他の馬にはスピード負けはしていない。内枠も結果的には良かったのかもしれません。1200m以下なら集中して走れるようですね。ひと息後のレースでも柔らかさがありました。

4着 コウギョウブライト

 スタートは良かったが、外枠なこともあり、無理に位置を取りにいかなかった。そのぶん終いはレース最速の脚で追い上げてきた。

<丸田恭介騎手>
 いいスタートは切れたのですが、外枠のぶん内に切り替えるロスがありました。2着との差はその辺ですね。叩き2戦目の良くなっているときに乗せてもらったのに結果を出せずにすみません。

5着 ティアラフォーカス

 スタートダッシュがひと息で、好位につけるのに脚を使ったせいか終いの伸びが鈍くなった。

<和田譲治騎手>
 スタートがヨレて出て遅れてしまった。結果、外を回されることになった。出していったぶんスピード乗ったままコーナーに入ったので最後は脚が上がってしまいました。今日の感じだと900mも忙しいのかな。初めての川崎コースは少しコーナーで張ったけどすぐに持ち直して問題なかったです。

6着 モンゲーハガネ

 この馬なりにはよく走ってはいるが、相手はオープン馬でテンのペースや上がりの速さが違っていた。

<野畑凌騎手>
 最近いい競馬してくれますね。900m戦に馬の気持ちも慣れてきた感じです。

7着 コパシーナ

 まだ馬体が戻りきっていないのか、スタートダッシュもつかず、直線の伸びもひと息だった。

<今野忠成騎手>
 思ったよりうまく出られて、そのぶんテンに急かしてしまったからね。900mでは後ろからって訳にはいかないし。

8着 ナガタブラック

 スタートは決まったが、良い頃に比べると闘志に欠ける走り。年齢的なものがあるのかも。

<伊藤裕人騎手>
年が年だから上がり目はないけど、この馬なりには頑張っています。

10着 カプリフレイバー

 好位に付いていったが反応が今ひとつ。直線盛り返しては来たが最後はいっぱいになってしまった。

<森泰斗騎手>
 スタートして挟まれるようなかたちになる不利があった。今回は休み明けで馬体は良くなっていたけど、馬の気持ちがノっていない感じでした。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
3 令和5年 キモンルビー 牝6 御神本 訓史
2 令和4年 コパノフィーリング 牝5 森 泰斗
1 令和3年 カプリフレイバー 牡4 真島 大輔