重賞レース

第26回スパーキングレディーカップ(ホクトベガメモリアル)(JpnIII)

2022年7月6日

レースガイド RACE GUIDE

2021年にサルサディオーネ(大井)が勝利し、09年から続いていたJRAの連勝は12でストップ。JRA所属時の19年に初挑戦し2着、大井に移籍した20年が3着で、三度目の正直となった。なお、21年は3着にグランデストラーダ(大井)が入り、地方馬が2頭馬券に絡んだのは07年以来のこと。【地方所属の1着馬にレディスプレリュードJpnIIへの優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。

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上位人気馬の取り捨てが鍵、4番人気以内の別路線組に注目

※過去10年(2012~2021年)のデータから

上位人気馬の取り捨てが鍵

1番人気が4勝2着1回、2番人気馬が3勝2着3回、3番人気が2勝2着3回。
連対馬20頭中16頭が3番人気以内、5番人気以下は1頭のみと順当決着となる事が多い。
3着まで枠を広げても5番人気以下は5頭のみで、上位人気馬の取り捨てが鍵となる。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外
1番人気 4 1 2 3
2番人気 3 3 1 3
3番人気 2 3 2 3
4番人気 1 2 1 6
5番人気 0 0 1 9
6番人気以下 0 1 3 63

JRA勢が断然、大井所属馬が割って入るか

JRA所属馬が9勝2着7回3着6回と出走39頭の半分以上が馬券絡みと断然。
地方所属馬で馬券に絡んだ8頭は全て南関東所属で、内6頭は大井所属馬。
ここ6年に絞り込めば2018年を除く5回で大井所属馬が馬券に絡んでおり、昨年は1・3着と相性が良い。

【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外
大井 1 2 3 13
船橋 0 1 0 16
浦和 0 0 1 10
川崎 0 0 0 15
他地区 0 0 0 16
JRA 9 7 6 17

JRA所属4歳馬の信頼度が高い

5歳馬が5勝2着4回3着3回と馬券に絡んだ数としては断然に見えるが
JRA所属馬に限ると4歳馬の複勝率78%が6歳馬の60%、5歳馬の50%を上回る。
7歳以上馬は唯一昨年サルサディオーネが優勝しているが同馬は当レースで2・3着と好成績を挙げていた。

【馬齢別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外
3歳 1 1 1 7
4歳 2 3 3 17
5歳 5 4 3 35
6歳 1 2 3 15
7歳 1 0 0 11
8歳以上 0 0 0 2


【馬齢別成績、JRA所属馬のみ】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外
3歳 1 1 1 3
4歳 2 2 3 2
5歳 5 3 1 9
6歳 1 1 1 2
7歳 0 0 0 1
8歳以上 0 0 0 0

枠順による有利不利は少ない

馬券に絡んだ馬としては枠順による有利不利が見られないが、優勝馬は7頭が1~4枠と内枠やや有利。5枠は2着1回のみ。
逃げ馬は7頭が馬券に絡んでいるが、差し・追込は6頭のみと芳しくない。前でレースをできる馬を選びたい。

【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外
1枠 2 0 0 8
2枠 1 1 1 7
3枠 3 1 0 8
4枠 1 1 1 10
5枠 0 1 0 15
6枠 1 0 6 10
7枠 0 3 2 14
8枠 2 3 0 15

4番人気以内の別路線組に注目

同じ年に行われたマリーンカップの1着馬が4回、2着馬が5回馬券に絡んでおり、2012年・2013年・2015年は1・2着馬が当レースでも馬券圏内。
しかしここ6年はマリーンカップ1着馬4頭、2着馬1頭が毎年のように圏外へ敗れている(2018年は1・2着馬の出走無し)
尚、マリーンカップで5着以下からの巻き返しは無い。
一方、前年暮れから続く牝馬ダートグレード競走(クイーン賞、TCK女王盃、エンプレス盃、マリーンカップ)に出走していなかった4番人気以内馬(全てJRA所属馬)が
過去10年毎回馬券に絡んでおり(2016年は3着どまり)、5勝2着6回3着1回(馬券圏外に敗れたのは6頭、内1頭は初ダート)と別路線組に注目したい。
7・11番人気で3着に入った地方所属馬2頭も前年暮れからの牝馬ダートグレード競走不出走馬だった。

ライター:友好春

ショウナンナデシコ

サルサディオーネ

レーヌブランシュ

マリーンカップ(2022年4月13日)

ショウナンナデシコ

かしわ記念(2022年5月5日)

サルサディオーネ

さきたま杯(2022年6月1日)


プロフィール_2

第26回スパーキングレディーカップ(ホクトベガメモリアル)(JpnIII)

注目馬情報

協力:競馬ブック
■ショウナンナデシコ(牝5歳 JRA・須貝尚介厩舎)

写真:真鍋元

脚部不安に苦しんだ時期もあったが、解消してからは一戦ごとに力をつけながら階段を駆け上がってダートオープン入り。今年から牝馬ダートグレード競走に参戦するとTCK女王盃では好位から弾けるように内目を抜けて2着。エンプレス杯では初の2100mでも瞬発力発揮して狭くなった進路をこじあけるように抜けて戴冠。川崎コースで初重賞制覇を成している。圧巻だったのがマリーンカップで逃げた2着サルサディオーネをあっさり交わすと8馬身差をつける圧勝劇。牝馬ダート界に新星誕生を思わせるものだった。快進撃はそれでは終わらない。前走のかしわ記念ではテイエムサウスダンやソリストサンダーといった一線級牡馬を封じて逃げ切り勝ち。集中力を切らさない走りや素軽い先行力で器用に立ち回る。今回は初の58キロを背負うが今の勢いを考えればそう苦にはしないはずだ。

「かしわ記念は強いレースで力を示してくれた。使ったあとも体調は良い意味で安定しているよ。川崎は勝っている舞台。他より斤量を背負う分どうかだけど、牝馬同士のここならクリアしてほしい」と須貝尚介調教師。
■サルサディオーネ(牝8歳 大井・堀千亜樹厩舎)

写真:真鍋元

中央時代から枠順問わない逃げっぷりで牝馬ダートグレード戦線をにぎわしていたが、気性面の課題から自分のリズムで走れない時は大敗することもあった。6歳になって大井に移籍するとクイーン賞、マリーンカップを勝ち、7歳の昨年はスパーキングレディーカップ、さらには日本テレビ盃やスパーキングサマーカップと牡馬相手にも重賞を制して充実一途。南関東を代表する快速牝馬となった。一昨年、昨年と2年連続してNARグランプリ4歳以上最優秀牝馬に輝いている。川崎コース、船橋コースで安定した成績をあげていることからも左回りが得意なサウスポーと言える。
8歳になった今年は前走のさきたま杯でダートグレード競走制覇しているものの、エンプレス杯、マリーンカップではショウナンナデシコに完敗。3度目の対戦もいかに自分の競馬ができるかが鍵。昨年と同じ1番枠を引いたことから単騎逃げに持ち込めるだろうか。気分よく走れていれば最後並ばれてからもうひとギア使う。

「負けた二回はうちが1キロ重かったが今回は同斤。その辺がどう影響してくるかな。さきたま杯のあと思ったほど疲れを見せず在厩で調整してきた。いつも通り中5日で追った動きも申し分ないもの。あとは自分の競馬ができるか、それだけだよ」と堀千亜樹調教師。
■レーヌブランシュ(牝5歳 JRA・橋口慎介厩舎)

写真:真鍋元

デビュー戦勝ち後は、もちの木賞、ヒヤシンスステークス、伏竜ステークスとダートの王道を進んで力を蓄え、関東オークスではアクアリーブルの三冠制覇を阻止。その後は牝馬ダートグレートを中心に使われてきた。古馬になってからもトップクラスの走りを続け、レディスプレリュードでは早目にペースを握ると長くいい脚を使って有力馬をを封じた。JBCレディスクラシック、TCK女王盃、エンプレス杯、マリーンカップと一連のレースで後手を踏んでゲートに課題を残すが、それでも確実に終いの脚を使って差を詰めてくる。ゲートの不利があっても④④③③着と安定感ある走りは精神面のタフさを感じさせる。

「攻め駆けするストロングウィルと併せた29日の遅れは想定内です。最近では1番動いています。強い馬はいますが、コース、距離は問題ないので上位争いを」と橋口慎介調教師。
■レディバグ(牝4歳 JRA・北出成人幸厩舎)

写真:仲真吾

デビューから1400~1600mを中心に使われ4勝。キャリア13戦の4歳馬だが左回りのマイルも東京コースで経験済み。2歳時には園田の兵庫ジュニアグランプリで2着して地方競馬の砂にも対応した経験があり、4月のマリーンカップでは前と差のあるかたちで結果5着。前走は中京の栗東ステークスで、大外枠からでこれまでとは違う控える競馬になったが、後方の位置取りから促されるとハミをしっかり噛んでじわじわと進出。直線では横一線の追い比べになったが、きっちり抜け出してオープン入り後の初勝利。レース内容も一連のものとは違っていて収穫の大きな一戦だった。この経験がどう生きてくるか楽しみでならない。

「馬がしっかりしたことで、以前の左に張る面が解消してきました。前走は後方からいい脚を使ってくれたけど、乗り方はジョッキーに任せます。少し脚抜きのいい馬場が理想ですね」と北出成人調教師。
■アールロッソ(牝6歳 船橋・山下貴之厩舎)

写真:真鍋元

阪神コースでデビューし短距離を中心に使われていた。3勝クラスでは二ケタ着順の苦戦続き。しかし昨年秋に船橋へ移籍すると2戦目から距離を延ばしながら3連勝で牝馬重賞のしらさぎ賞を勝ってタイトルホースの仲間入りをした。このときは急きょの乗り替わりで町田直希騎手が手綱をとったが、中団位から外へ持ち出すとじょじょにポジションを上げ、直線では先に抜け出したダノンレジーナをゴール前きっちり捕らえる価値ある勝利だった。決め手を発揮し走破タイムも優秀だった。距離マイルは経験がなく、川崎コースも初めてになるぶん未知数ではあるが、最後は必ず伸びてくる脚は魅力的で、川崎コースも悪くなさそう。

「いつも通りに中間はチャンピオンヒルズで調整し10日前に帰厩。一週間前にしっかり追い切りをして思った以上に動いたので、直前の調整は軽めにした。競馬が上手なので、川崎マイルにも対応できるイメージがある。町田騎手とは手が合うようだし、終いを生かす競馬もあっている。自分のリズムで競馬ができれば」と山下貴之調教師。

プロフィール_2

写真:真鍋元

第26回スパーキングレディーカップ。
牝馬限定のマイルのダートグレード競走で、地方馬にとってはグランダム・ジャパン2022古馬シーズンの第2戦。1着馬(地方馬に限る)にはレディスプレリュードへの優先出走権が与えられる。

4年連続出走のサルサディオーネが連覇を狙うが、もっかダートグレード競走3連勝のショウナンナデシコが1.3倍の断トツ1番人気に推された。

サルサディオーネが逃げると、すぐにショウナンナデシコが2番手に付けてきた。イン3番手にグランパラディーゾ、差がなくキムケンドリーム、レーヌブランシュが続き、このあたりが先行集団。平均ペースで進み、勝負所になると後続も徐々に前との差を詰めてくる。
軽快に走るサルサディオーネとショウナンナデシコ。この2頭の一騎打ちムードかと思われたが、直線半ばでショウナンナデシコが先頭に立つと、中団につけていたレディバグが猛追。ゴール前では際どい勝負に持ち込むも、クビ差しのいだショウナンナデシコが圧倒的人気に応えて優勝。
2着にレディバグ、3着にサルサディオーネで確定した。

勝ちタイムは1分41秒1(曇・良)。

写真:小川慎介

1着 ショウナンナデシコ

ダッシュよくスタートすると2番手につけ、逃げるサルサディオーネを徹底マーク。ラクな手応えで直線先頭に立つも、ゴール前でレディバグにクビ差まで迫られた。力で押し切ってはいるが、58キロの重斤量は切れ脚を半減させた。
脚部不安を乗り越え、エンプレス杯、マリーンカップ、かしわ記念に続きダートグレード競走4連勝。陣営の並ならぬケアの賜物だろう。このあとは休養に入り、秋の大舞台に向けて英気を養う。

<須貝尚介調教師>
今日は雨の予報で道悪になってほしくないと思っていたのでこの馬場でやれて良かったと思います。大外枠からで、行く馬が最内にいたので、それを見ながらという青写真通りの競馬になったと思います。2着の馬もうまく乗っていましたが、ナデシコと斤量差があってあの着差ですから安心してみていられました。間隔的にあけても駄目だし、良い状態をキープしているときに使いたいとここを使って、秋のことは馬の状態と相談しながら決めていきたい。屈腱炎で長く休んでいたのでケアも大変ですが、それでもこれだけのパフォーマンスしてくれるので感謝しています。ファンも増えているようなので、これからもナデシコを応援してください。




 

<吉田隼人騎手>
58キロの斤量でやはり最後は詰め寄られてしまいましたね。脚は鈍ってなかったんですけど。逃げ馬も力があるので見ながらレースをしました。ペースはちょうど良いくらい。最後は苦しそうになりながら勝ちきって、春からずっと頑張ってくれています。秋には大きなレースもあるのでそれに向けて頑張っていきます。




 

2着 レディバグ

中団からのレース運びで、直線は抜群の切れ脚で追い込んできた。今回は+10キロの462キロと今までの最高馬体重。4歳馬で、まだ成長段階となれば先々の楽しみもありそうだ。

<戸崎圭太騎手>
最後の脚は良いものを持っているので、それに賭けていました。勝った馬が強かったですね。この馬も調子が良かったですし、この馬の走りはできたと思います。

3着 サルサディオーネ

スタートダッシュには定評があるが、今回は出ムチを入れ、気合いを付けながらの主導権。マイペースに持ち込んで、直線も渋太さは見せたが、58キロの負担重量はかなり堪えた感じ。勝ち馬に終始マークされる道中で、それでも3着に粘るところは地力だろう。
矢野貴之騎手の騎乗停止により急きょ森泰斗騎手に乗り替わっている。

<森泰斗騎手>
勝ち馬からのプレッシャーがきつかったですね。ハイペースでしたし、マンマークされましたからね。58キロもしんどそうでした。多少気難しさも感じたし、テン乗りで乗る方も難しかったですね。

4着 アールロッソ

短距離のイメージだったが、初めての川崎コースでも流れに乗り、直線もいい脚で伸びてきた。勝ち馬とはコンマ7秒差でこの終いの脚がこの馬の魅力といえる。マイルあたりなら十分に対応できそうだ。

<町田直希騎手>
ゲートうるさくてスタートでは出負けしてしまったんですが、長くいい脚を使ってくれました。4コーナーでスムーズに捌ければもう少し上を狙えたかもしれません。前が狭くなるロスがありましたので。それでも最後まで脚を使ってくれたので今後が楽しみです。

5着 グランパラディーゾ

絶好のイン3番手。うまく折り合いながらレースを進め、手応えも良さそうだったが、直線追われてからは思ったほど伸びなかった。1周回る競馬も初めてだった。

<御神本訓史騎手>
最初少し掛かった面もありました。ペースが落ちて、あの手応えならもうひと踏ん張りしてほしかったですね。理想のレースはできたと思います。欲を言えば1400mあたりがいいのかな。レースはうまいので南関東同士なら目処は立つと思います。

6着 レーヌブランシュ

スタートも決まり、好位でレースを進めたが、直線で伸びを欠いた。マイルはこの馬には忙しく、ペースが合わなかったのかもしれない。

<松山弘平騎手>
スタートもしっかり出てくれて、良い位置で流れに乗れたんですけど、ペースが緩むこともなくてマイルは忙しく感じました。

7着 ハピネスマインド

B級からの挑戦。砂をかぶらない後方で、最後は伸びてきたが、ここでは力不足は否めない。

<本田正重騎手>
自己条件ならやれると思うんですが。今日は相手が強かったですね。

10着 キムケンドリーム

気合いをつけ、好位に取り付いたが、向正面に入ると徐々に後退。気難しい面を出したのか、追われてからも集中力を欠いたような走りだった。

<笹川翼騎手>
気の悪さを出して走っていない。走るのをやめようとして集中力が続かない。内で馬に囲まれた方が良いんだと思います。終始ハミを取らず手応えがなかった。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
26 令和3年 サルサディオーネ 牝7 矢野 貴之
24 令和2年 ファッショニスタ 牝6 川田 将雅
23 令和元年 ファッショニスタ 牝5 川田 将雅
22 平成30年 リエノテソーロ 牝4 吉田 隼人
21 平成29年 アンジュデジール 牝3 横山 典弘
20 平成28年 ホワイトフーガ 牝4 蛯名 正義
19 平成27年 トロワボヌール 牝5 戸崎 圭太
18 平成26年 サウンドガガ 牝5 武 豊
17 平成25年 メーデイア 牝5 濱中 俊
16 平成24年 スティールパス 牝5 蛯名 正義
15 平成23年 ラヴェリータ 牝5 武 豊
14 平成22年 ラヴェリータ 牝4 岩田 康誠
13 平成21年 ラヴェリータ 牝3 岩田 康誠
12 平成20年 トーセンジョウオー 牝7 戸崎 圭太
11 平成19年 メイショウバトラー 牝7 武 豊
10 平成18年 レマーズガール 牝6 内田 博幸
9 平成17年 トーセンジョウオー 牝4 後藤 浩輝
8 平成16年 グラッブユアハート 牝4 安藤 勝己
7 平成15年 レマーズガール 牝3 武 豊
6 平成14年 ジーナフォンテン 牝4 張田 京
5 平成13年 プリエミネンス 牝4 柴田 善臣
4 平成12年 トシザミカ 牝6 河内 洋
3 平成11年 ファストフレンド 牝6 蛯名 正義
2 平成10年 ホクトロビン 牝5 佐藤 祐樹
1 平成9年 オートメンデス 牝4 岡村 裕基
1 平成9年 ブンブンラリー 牝4 桑島 孝春