重賞レース

第25回クラウンカップ(SIII)

2022年4月6日

レースガイド RACE GUIDE

新年度の南関東は川崎からスタート。2015年には3連単で618万3360円の超高額配当が飛び出すなど波乱も多い3歳重賞。東京ダービートライアルとして実施された21年は、2番人気のジョエル(船橋)が勝ち、2着1番人気、3着3番人気で堅く収まった。椿賞がトライアルになった過去2回は、同レースの勝ち馬がこのレースも勝利している。【1着馬に羽田盃への優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。

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波乱決着が多い3歳重賞

※データは、過去10年分(12〜21年)を対象にした。

3連単3万円以上が7回も

単勝1番人気の2勝、2着2回、3着1回をはじめ、上位人気は総じて不振。1〜3番人気で決まったのは21年の1回だけで、3連単で3万円以上の配当が7回。15年は618万3360円、13年は21万5380円という超高配当が飛び出しており、人気薄には常に警戒が必要だ。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外
1番人気 2 2 1 5
2番人気 2 0 0 8
3番人気 1 1 3 5
4番人気 2 0 1 7
5番人気以下 1 1 1 7
6番人気以下 2 6 4 74

船橋が好成績

船橋の5勝がもっとも多く、浦和3勝、川崎2勝で、大井は勝利なし。2、3着も各7、1回で計8回の船橋が多く、10年中8年で馬券絡み。不振傾向の1番人気でも船橋は【1-2-0-1】と結果を出している。
大井所属で1〜3番人気だった馬は6頭いるがすべて着外で、3着以内に入った4頭は20年3着ストーミーデイこそ5番人気だったが、その他は、10番人気2頭、12番人気1頭と、大井所属馬は極端な人気薄が馬券に絡んでいる。
浦和で馬券絡みした5頭はすべて17年以降と近年の活躍。地元川崎の馬券絡みは8頭だが、出走頭数の割にはやや物足りない。

【所属別成績】(過去10回)

所属 1着 2着 3着 着外
船橋 5 7 1 23
浦和 3 0 2 22
川崎 2 2 4 38
大井 0 1 3 23

京浜盃からの巻き返しがある

トライアルは3歳オープンの椿賞(19年以前は、つばき賞)で、その勝ち馬が近3年連続でクラウンカップを制している。
もともと京浜盃と相性がよく、前走が同レースだった馬が3勝、2着1回、3着5回と9頭が馬券絡み。17〜21年(出走がなかった18年は除く)では3着以内12頭中の6頭を占めている。14年2着サーモピレー(船橋)が京浜盃3着からの参戦だった以外は、馬券圏外からの巻き返しで、17年1着ローズジュレップ(浦和)は京浜盃4着、13年1着アメイジア(船橋)、19年1着ホールドユアハンド(浦和)は同12着だった。ただし、2走前がどんな条件であっても4着以内であることが望ましく、大敗続きからの一変は考えにくい。

ライター: 栗田勇人

 

プロフィール_2

第25回クラウンカップ(SⅢ)

注目馬情報

協力:競馬ブック

■ライアン(牡3歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

前走の雲取賞では的場文男騎手とコンビを組んでバシャバシャの馬場が合わなかったが、初コース、初距離を考えればそれほど悪い内容ではない。その前の全日本2歳優駿でもスタートで大きく躓いてポツンと1頭後方からの競馬になった。このところ自分のレースができずにいるが、平和賞優勝時に見せた勝負根性からも本領発揮を期待したい。
平和賞を勝った時点では幼さを出してふらつく場面もあったが、気性面の課題はその後だいぶ改善してきている。
前走からしっかり間隔を取り、今回は走り慣れた左回り。ディープインパクト産駒らしい気の強さを武器にしてクラシックへと進んでほしい。

「全日本2歳優駿ではスタートで躓いたがそれでも最後は脚を使ってくれた。相手なりに一生懸命走るし、良いイメージしかないですね。気性面でもだいぶ成長していると思います」と今野忠成騎手。

■フレールフィーユ(牡3歳 浦和・野口寛仁厩舎)

写真:真鍋元

トライアルの椿賞を差し切って勝利。砂をかぶっても嫌がる素振りを見せず、キックバックもクリア。追えば追うほど伸びてくるので今後距離を延ばしても良さそうだ。
ニューイヤーカップでは苦しい位置に入ってしまった結果だが、前走は初めての遠征競馬ながらラチ沿いで我慢するレースができて収穫は大きい。今回の強めにやった追い切りでは時計以上に内容が良かった。

「前走の前に2週間ほど短期放牧に出したことで精神的ゆとりと馬体の幅が出た。詰めて使うと良くないタイプだからね。前走ではパドックからの雰囲気もガラッと変わって、厩舎で見せるカリカリした面もなく、オンオフの理解をしているようだ。まだ成長途上で本当に良くなってくるのは秋頃だろうが、先々も楽しみな馬」と野口寛仁調教師。

■リヴィフェイス(牡3歳 船橋・石井勝男厩舎)

写真:真鍋元

前走はトライアル椿賞で逃げて2着し優先出走権をゲット。目標にされる厳しい展開とはいえ、重賞ニューイヤーカップでミゲルが猛追するなか2着に我慢したことを考えると物足りない印象もある。
最後は止まったが、川崎のマイルは合うイメージ。今回が2度目になるが、逃げにこだわるタイプでもなく、メンバーが強くなってどこまでやれるか。

「前走は逃げたのが裏目になりましたね。ペースもそこまで速くなかったのに負けてしまった。まだ馬体に緩さはありますが、デビューの頃に比べたらだいぶ良くなってきました。逃げなくても競馬ができるし改めて期待しています」と森泰斗騎手。

■ノブレスノア(牡3歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

京浜盃では1コーナーで不利があり、外に切れ込んでスムーズさを欠き大敗とあって、連闘で臨んできた。
デビューから4連勝したスピード馬。ハイセイコー記念ではスタートダッシュを決めて逃げ、前半でラクをしたぶん終いもしっかり伸びて、後続を振り切りタイトルを手にした。
川崎ではこれまで3回走っているが、全日本2歳優駿はハイペースで先行したぶん苦しくなったが、それ以外は1着、3着と相性は悪くない。ここもすんなりハナを切れれば。

「前走はレースにならなかったからね。あの不利があって自分のリズムに持ち込めなかったので度外視したい。連闘でも状態は維持しているし、うまく自分の競馬をして巻き返したい」と小久保智調教師。

■エミーズブレイズ(牝3歳 川崎・高月賢一厩舎)

写真:真鍋元

桜花賞を出走取消したが、出走するつもりでしっかり馬体を作っていたので状態が戻るのは早かった。
競馬では真面目に走っているが、輸送でイライラするうるさい面もあるので地元競馬になるのはプラス材料だろう。
どこからでもレースができる競馬の上手な馬。前が速くなってくれれば決め手を発揮できる。クラウンカップはこれまでの24回を振り返っても牝馬で優勝したのは平成23年のナターレただ1頭だ。

「桜花賞は追い切りのあと脚元を気にしたので大事を取って取消たが、その後の影響はそうなく、本馬場でしっかり追い切った。今回は牡馬の実績馬相手になるが、力はあるので53キロの軽量を生かしたいね」と高月賢一調教師。

■ミゲル(牡3歳 船橋・山中尊徳厩舎)

写真:真鍋元

ハイセイコー記念では勝ち馬にクビ差まで迫って2着。年明けのニューイヤーカップでは好位で脚をためると最後はリヴィフェイスとの競り合いを制し重賞初制覇。
デビュー当時は1200mあたりで決め手を生かすタイプだと思っていたが、ハイセイコー記念では折り合いもついて距離を延ばしてもレースセンスでカバーできるようになっている。揉まれる競馬になっても対応できるのは強味と言える。

「ニューイヤーカップのあとはすぐに牧場に出してリフレッシュさせた。羽田盃まで休養させるつもりだったが状態が良いので一戦挟むことになった。追い切りでも以前は併せ馬にしないと時計が出なかったが、今は単走でも集中して走るようになってきた」と山中尊徳調教師。

■フウト(牡3歳 川崎・高月賢一厩舎)

写真:真鍋元

キャリアはまだ4戦3勝、3着1回だが、スピード値が高い一方でまだ遊びながら走っているのだから素質の高さを感じさせる。精神的に成長してくれば相当走りそうだが、現時点では揉まれたり、砂をかぶるのを嫌がっている面がある。
それでも前走のヴィクトリーチャレンジでは好位で抑える競馬をして少しずつ進境を見せた。外々を回る競馬でたとえロスがあっても自分のペースで気分よく走れると一発もある。

「前走のあとは短期放牧でリフレッシュ。そのぶん少し重いかもしれないね。馬格もあるし将来を期待している馬だから、ここでどこまでやれるか今後の路線を決める上でも試金石だろう。次は羽田盃へ進みたいと考えている」と高月賢一調教師。

■タツノエクスプレス(牡3歳 川崎・田邊陽一厩舎)

写真:真鍋元

トライアルの椿賞で3着して出走権を獲得。馬券圏内を外したのは鎌倉記念だけと堅実に走ってくる。
以前はゲートの課題もあったがすっかり克服しており、テンションは高めだが、スタートダッシュを決めるとテンに速い。
今回は叩き3戦目で状態面がアップしているとなれば実績馬相手にも食い込む余地はありそうだ。

「休み明けも2回いい競馬をしているが、さらに状態を上げているし伸びしろはあると思うよ。スピードを生かす競馬をしたいがノブレスノアの出方次第になるね。上位進出を期待している」と田邊陽一調教師。

プロフィール_2

写真:真鍋元

1着馬に羽田盃への優先出走権が与えられるクラシックのトライアル。距離マイルで、ここから優駿スプリントを頂点にした短距離路線を目指す馬もいる。近走、力を付けてきた馬に加え、重賞実績馬も多く、単勝1ケタ台が7頭もいる大混戦になった。

リヴィフェイスが逃げると、2番手にミゲルが付け、フレールフィーユ、アイウォールが続いてペースは落ち着いた。向正面半ばからフウトがマクリ気味に動き、先団までポジションを上げると、各馬も一斉に追い出しにか掛かり、ペースが上がり出す。

直線に入り、逃げ切りを図るリヴィフェイスだったが、追い上げてきたフレールフィーユがゴール前できっちり捕らえて重賞初制覇となった。2着はリヴィフェイス、3着はフウトで確定した。

勝ちタイムは1分42秒6(晴・重)。

写真:小川慎介

1着 フレールフィーユ

外3番手を追走。フウトが動いたときにつられて動かず、ひと息入ったことが終いの切れ脚につながった。椿賞に続いて川崎マイル2連勝。まだ精神面の課題があるとはいえ、確実に力をつけており、次走はクラシックの羽田盃へと向かう予定。

<野口寛仁調教師>
(重賞初勝利で)ホッとしました。状態も良かったので和田騎手には馬のリズムを重視してほしいとだけ伝えました。良いスタートを切って良い位置を取れたんですが、向正面でマクって来た馬がいて、どう対処してくれるかと見ていた。リズムよく走ってそこからまた盛り返してくれたので直線手前からは頭の中は真っ白になって……たぶん声出して叫んでいたと思います。ここを使って羽田盃、東京ダービーへと向かいます。自分もスタッフもまだ若いですが、これからも気を引き締めていこうと思います。




 

<和田譲治騎手>
最高に嬉しい。前走で本橋騎手がうまい競馬をしてくれて、今日もいい流れに乗って勝つことができました。返し馬でも一段と大きくなって力をつけているのを感じました。この馬はスタートが良くて、うまいこと3番手に付けたんですが、向正面でペースが上がって、それでも我慢。この馬のリズムを大切にして3コーナーあたりから徐々に上がっていきました。4コーナー回って、もう前を交わせるなと思ったんですが、リヴィフェイスも渋太く粘っていたんで、最後まで頑張ってくれと追っていました。距離は問題ないんですが、砂をかぶるのを嫌がる面があるので、それをどう対処していくかですね。野口寛仁調教師と一緒に東京ダービーを目指していきたい。




 

2着 リヴィフェイス

周りの出方を見ながらだったが、逃げ有利な馬場で主導権を取りきったのは大きかった。早目にペースが上がり、最後は差されたが、自分の形の競馬はできた。

<森泰斗騎手>
残念!マクってきた馬といっしょに動かされたぶん最後が甘くなりましたね。あのままマイペースで行ければ良かったんですけど。距離は問題なさそう。本来は番手の方がいいんでしょうけど、今日は周りもいかず押し出される形になりました。

3着 フウト

前走に続いてシャドーロールを着用。中団にいたが、ペースが落ちると一気に動きポジションを上げてきた。先行有利な馬場状態。勝つためには当然の判断で、初の重賞も互角に戦った。

<矢野貴之騎手>
ハマったと思ったんですけどね。動くのはスタンド前から決めてました。行ききってしまえばまた違ったのかもしれない。3、4コーナーでひと息入れたのが逆に良くなかった。ブリンカーを着けてみてもいいかもしれないね。

4着 アイウォール

転入後3連勝中で人気の一角に推されていた。スタートも良く、前々での競馬。ゴール前では伸びを欠いたが、南関東では初の重賞レースを考えればよく走っている。

<御神本訓史騎手>
初めての重賞のメンバーでよく頑張ってくれている。センスはあるので重賞でモマれて経験を積んでくればもっとパンチが出てくると思う。

5着 ノブレスノア

不利に泣いた京浜盃からの連闘策。初めて後方からの競馬になったのは予想外だった。直線では間を割って追い込んできたのにも驚いた。これが今後につながってくれば。

<山崎誠士騎手>
スタートで躓いて先に行けませんでしたが、行かなくてもいい競馬ができそうです。素質はありますね。

6着 タツノエクスプレス

内々をロスなく進み、直線もよく伸びてきたが、重賞レースになると少し荷が重かった。自己タイムは詰めているが。

<町田直希騎手>
ハナの後ろを取れたらベストだったけど、一列後ろになってしまいました。遅かったペースが、急に速くなったときに対応できなかった。直線も外に出せれば良かったんですけど、出せずにずっと狭いところでモマれる競馬になって、最後も内からになりましたが脚を使って思った以上に走ってくれましたね。

7着 ミゲル

無理なく先行し、リズムも良さそうだったが、追い出してからの反応がひと息で、直線も伸びきれなかった。

<西啓太騎手>
久々のぶん、反応が悪くて仕掛けどころでついていけなかった。普段だったらもっと競馬がうまいんですけど。

9着 エミーブレイズ

紅一点での出走。馬場状態やペースの影響もあるのか、持ち味の末脚は不発に終わった。

<本田正重騎手>
もう少し走ると思ったが、除外明けの影響もあるのかもしれない。前残りの馬場もあったのか脚が使えなかった。

11着 ライアン

向正面から追い上げるも勝負どころからの反応が鈍く、直線は闘志を欠いた走りでしんがり負け。1番人気に支持されたが、案外な結果に終わった。

<今野忠成騎手>
最後はもうフラフラしていた。手応えが抜けるときがあって、そこで怒らせるともう一段階ギアが上がるんだけど、今日はもうハミを取らず終わってしまった。気性的にいったん嫌だと思ったら競馬をやめてしまうところがあります。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
24 令和3年 ジョエル 牡3 張田 昂
23 令和2年 ウタマロ 牡3 酒井 忍
22 令和元年 ホールドユアハンド 牡3 戸崎 圭太
21 平成30年 スプリングマン 牡3 左海 誠二
20 平成29年 ローズジュレップ 牡3 吉原 寛人
19 平成28年 ガーニーフラップ 牡3 的場 文男
18 平成27年 ウインバローラス 牡3 柴田 大知
17 平成26年 ワタリキングオー 牡3 的場 文男
16 平成25年 アメイジア 牡3 吉原 寛人
15 平成24年 キタサンツバサ 牡3 繁田 健一
14 平成23年 ナターレ 牝3 的場 文男
13 平成22年 ポシビリテ 牡3 松岡 正海
12 平成21年 サイレントスタメン 牡3 金子 正彦
11 平成20年 モエレラッキー 牡3 張田 京
10 平成19年 エスプリベン 牡3 今野 忠成
9 平成18年 サンキューウィン セ3 左海 誠二
8 平成17年 ブラウンコマンダー 牡3 張田 京
7 平成16年 ブルーローレンス 牡3 的場 文男
6 平成15年 ウィンブロー 牡3 石崎 隆之
5 平成14年 キングセイバー 牡3 酒井 忍
4 平成13年 シングルトラック 牡3 堀 千亜樹
3 平成12年 ピーエムカイザー 牡4 佐藤 隆
2 平成11年 キタノダイマジン 牡4 桑島 孝春
1 平成10年 ハードサインカラー 牡4 佐々木 竹見