重賞レース

第29回:ロジータ記念(SI)

2018年11月28日

レースガイド RACE GUIDE

川崎競馬所属で活躍した名牝を称え創設された3歳牝馬による地方全国交流重賞。グランダム・ジャパン3歳シーズンの一戦で、牝馬三冠での活躍馬に、上がり馬や他地区勢が挑む。なお昨年の当レースの前日、ロジータが16年12月に死亡していたことが発表された。【1着馬にクイーン賞、東京シンデレラマイル(※南関東所属馬のみ)の優先出走権を付与】

コースガイド

2コーナーの出口から発走し、コーナーを6回まわります。2周目の向正面でペースが上がったときに、離されずについていくことができるか。騎手のペース判断も重要になります。

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1番人気は堅実でヒモ荒れ傾向

※データは、地方全国交流になってからの過去7年分(11~17年)を対象にした。

1番人気は連対率100%

勝ち馬は7頭中6頭が2番人気以内。単勝1番人気は7頭すべて連対しており軸は堅いが、2番人気は2勝、3着1回、3番人気は2着1回のみ。2着には6、7番人気が計3頭、3着には8、9番人気が計3頭入っているように、2、3着には伏兵の好走も。

【単勝人気別成績】(過去7回)

  1着 2着 3着 着外
1人気 4 3 0 0
2人気 2 0 1 4
3人気 0 1 0 6
4人気 1 0 1 5
5人気 0 0 1 6
6人気 0 2 1 4
7人気 0 1 0 6
8人気 0 0 2 5
9人気 0 0 1 6
10番人気以下 0 0 0 35

船橋が好成績も近年は大井が躍進

船橋は25頭の出走で5勝、2着3回、3着7回で、勝率(20.0%)、連対率(32.0%)、複勝率(36.0%)のいずれも突出して高く、2位はいずれも大井(それぞれ8.7%、17.4%、21.7%)。なお勝利があるのはこの2場のみで、地元川崎は、2着1回、3着5回と、連対は1頭のみ。過去3年に限ると、大井が【2-2-1-6】と11頭中5頭が3着以内なのに対し、船橋は【1-0-0-8】で9頭出走し1勝のみと成績を落としている。

【所属別成績】(過去7回)

所属 1着 2着 3着 着外
浦和 0 0 0 7
船橋 5 3 1 16
大井 2 2 1 18
川崎 0 1 5 26
他地区 0 1 0 10

東京ダービー出走馬が好成績

東京ダービー(大井2000m)を使われていた馬は【4-2-1-5】で12頭中7頭が3着以内(複勝率58.3%)。同レースでひと桁着順だった馬に限ると【4-2-1-2】で9頭中7頭が3着以内(複勝率77.8%)と信頼度が増す。黒潮盃を使われていた馬も【1-2-0-3】で6頭中3頭が3着以内とまずまず。
 

トライアルは戸塚記念組が狙い

トライアルは2つ。戸塚記念(川崎2100m)1~3着馬は、6頭が出走し、1勝、2着2回、3着1回。牡馬が戸塚記念で1~3着を独占した年は、14年1着ノットオーソリティ(戸塚記念10着)、16年1着ミスミランダー(同5着)、17年2着シェアハッピー(同7着)のように、その着順は関係なく、出走して牡馬と対戦したことがアドバンテージになる。なおもうひとつのトライアル・サルビアカップ(川崎2000m)組で3着以内に入ったのは14年2着モフモフのみ。
 

今野騎手が好相性

3着以内に複数回入っている騎手(現JRAの戸崎圭太騎手は除く)は3名おり、なかでも今野忠成騎手が5回騎乗し1勝、2着3回、3着1回で複勝率100%。森泰斗騎手は2勝、2、3着各1回(着外3回)、真島大輔騎手は1、2着各1回(着外5回)。3着以内馬21頭中、18頭が前走と同じ騎手で臨んでいた。
 
ライター: 栗田勇人

プロフィール_2

第29回ロジータ記念(SI)

注目馬情報

●ゴールドパテック (牝3歳 川崎・岩本洋厩舎)

写真:真鍋元

2歳時にはローレル賞を勝ち、春のクラシックでも善戦し関東オークスではコンマ1秒差の2着と大健闘。
気難しさがつきまとい、後手を踏んだり、特に左回りでは外にモタれたりとスムーズさを欠くレースもあったが、夏休みを挟むと心身共に大きく成長。
休み明けの戸塚記念では重めな上に直線で不利がありながらも4着。前走のサルビアCでは攻めの競馬で快勝した。

「ロジータ記念を目標に掲げて無理せず段階を踏んで調整してきた。少し重いかと思った最終追い切りでもタイム以上に反応がよかった。以前は左回りで外にモタれる面があったがもうそんなこともなくなり、筋肉量が増えているのがわかる」と岩本洋調教師も成長を強調。

かつての幼さがなくなりとゲート難も解消して本格化。
先行して良し、差して良しと自在に立ち回れるのが強みだ。

●クレイジーアクセル (牝3歳 大井・渡邉和雄厩舎)

写真:真鍋元

2歳の頃はゲートに課題を抱え、デビュー戦は直線一気での勝利。精神面の成長と共にゲート出が良くなると逃げに転じて東京湾Cではクラシックを目論む牡馬たちを封じた。
関東オークス、戸塚記念と逃げ粘って3着。
テンのスピードだけでなく、並ばれてからもうひと伸びできるギアと勝負根性を持ち合わせている。

「前走は少頭数で勝ち馬に直付けされてしまったし、上がりの競馬になったぶんの負け。川崎所属じゃないかと言うくらいロジータ記念を目標にして川崎コースを使ってきた。とにかく好スタート切って自分の競馬に徹してくれれば」と渡邉和雄調教師。

「距離はギリギリ。前走から100m延びるのをカバーできるようにうまく先手を取りたい」と御神本訓史騎手。

トライアルのサルビアCではゴールドパテックとの人気馬2頭の一騎打ち。結果はクビ差敗れてしまったが、後続とは1秒以上の差があった。二段ギアの逃げでレースの主導権を握る。

●クロスウィンド (牝3歳 船橋・佐藤裕太厩舎)

写真:真鍋元

道営でデビューし2歳時にはブロッサムC制覇。スローペースを早仕掛けで見事捌いた。
その後は浦和に移籍しユングフラウ賞(10着)にも出走したが道営に戻ってクラシックに挑むと二冠目の北海優駿2着、第三冠の王冠賞を制している。
船橋に転入してからは古馬と2度対戦しているが、緒戦は逃げ切り勝ちし、前走のA2下牝馬戦では4着だった。

「前走は出遅れて流れをつかめなかった結果。内容自体は悪くなかったし、砂をかぶって次につながる収穫があったと思う。以前南関東にいた際に左回りを経験して川崎マイルでは2着と適性はある。息の長い脚が使えるので古馬にモマれた経験生かせれば」と佐藤裕太調教師。

層の厚い道営でしのぎを削ってきたキャリアと古馬に揉まれるレースを経験していることは大きな強みと言えるだろう。

●ピースフルエンゼル (牝3歳 川崎・河津裕昭厩舎)

写真:真鍋元

デビューは中央競馬でダートマイルを4着。3戦走った今夏に川崎に移籍。以来、5戦3勝、2着1回、3着1回という堅実な成績をおさめている。

「オーナーとの関係でデビュー前から見ていた馬だが、中央での2戦、3戦目はタイムオーバー。ひ弱な面があったようだね。転入してきて最初の追い切りをする頃には重賞を意識するくらいの動きを見せ、どんどん力をつけている。カイバ食いも良くなって筋肉量が増えて力強くなった。前で競馬できるようなタイプではないので、じっくり行って切れる脚を生かしたい。距離を考えてもロジータ記念はぴったりな条件」と河津裕昭調教師。

前走では前2頭とは5馬身差のある3着だったが、切れ脚炸裂で一撃を狙っている。

●ハーキマーダイヤ (牝3歳 金沢・金田一昌厩舎)

写真:小川慎介

中央競馬でデビューし、名古屋、佐賀、金沢と移籍を繰り返し25戦4勝の歴戦。
佐賀時代には九州ダービー栄城賞(2000m)2着。今夏に金沢に移ってからはサラブレッド大賞典(2000m)で2着、笠松の岐阜金賞(1900m)に遠征して3着と、長距離で抜群の末脚を披露している。
相手関係はともかく、距離延長は歓迎。輸送にも慣れて不安はないが左回りは中央在籍時以来。

●ファーストスキップ (牝3歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

デビューから8戦5勝。
逃げた時は連対100%という韋駄天娘。
条件クラスとはいえ、ここ2戦の勝ちっぷりは古馬相手に4馬身、7馬身差とは恐れ入る。
3走前には初めて砂をかぶる競馬で伸びを欠いたが、自分の競馬ができれば距離延長にも対応しそうだ。
強力な同型の存在は驚異だがうまくダッシュが決められるか。

●ミスマンマミーア (牝3歳 船橋・佐藤賢二厩舎)

写真:真鍋元

道営時代に芝のコスモス賞に参戦して2着、札幌2歳ステークスでは7着と芝に適性があり、東京・アルテミスS後に船橋へ転入してからも中山の葉牡丹賞、菜の花賞と芝レースに参戦した。
後方一辺倒とレースが難しいタイプで、戸塚記念では7着まで詰めたがペースに左右されがちなのは弱点。右回りより左回りの方が走りはスムーズで終いの脚を生かしてどこまで迫れるだろうか。

プロフィール_2

写真:真鍋元

 ロジータ記念は3歳牝馬限定の地方交流。優勝馬にはクイーン賞JpnIIIおよび東京シンデレラマイルの優先出走権が与えられる。
トライアルのサルビアCでゴールドパテック、クレイジーアクセルの2頭が後続に1秒差をつけて一騎打ちだったことから、ここでも人気を分け合った。
 レースは予想通りクレイジーアクセルの逃げ。大外枠から好スタートを切ったゴールドパテックがすかさず2番手へ。内からファーストスキップが3番手。クロスウィンドも4番手と人気どころが前を固める。
 スタンド前ではペースも落ち着き、各馬折り合ってのスローな流れ。勝負どころからクロスウィンドが動き、直線入り口ではクレイジーアクセル、ゴールドパテック、クロスウィンドが他馬を引き離して3頭の叩き合い。ゴール前もうひと伸びしたクロスウィンドが、食い下がるクレイジーアクセルを2馬身振り切って優勝。前に行った4頭での決着になった。

写真:小川慎介

1着 クロスウィンド

 有力視された2頭を見ながら射程圏内でレースを進め、仕掛けどころも完璧。直線は鞍上の渾身の追いに応えるように伸びて最後は並ぶ間もなく2馬身突き離す会心の勝利。
道営時代はブロッサムC、王冠賞を制し。北海優駿2着している実力馬。転入3戦目だったがこの2戦は古馬と遜色ない勝負を繰り広げていた。
南関東重賞初制覇となり今後の牝馬戦線に楽しみな新星が現れた。

<佐藤裕太調教師>
万全な仕上がりで送り出したつもりだったんですがマイナス13キロという想定外の数字は心配もありました。3コーナーで手が動いた時にはちょっと厳しいかなとも思っていたんですが、矢野騎手が諦めず懸命に追ってくれたことで馬も奮起していた。精神的な強さもあり、一戦一戦力をつけて成長。次に繋がる走りができたと思います。コンディションをしっかり見てから今後の目標を決めていきたいと思います。



 

<矢野貴之騎手>
思った通りの位置につけ、馬もリズムよく走ってくれて理想通りの道中。前にいる馬も楽をしていたが終い伸びてくれるはずと我慢して苦手なコーナーの進みに気をつけながら乗った。この馬の末脚を見せられてよかった。初めて乗った時より良くなっていますし、これならメンバーが上がっても相手なりに走ってくれそう。



2着 クレイジーアクセル

得意のダッシュ力でいつも通りの逃げを打つ。自分のペースでレースを運び、ゴール手前まで粘っていたが、いつもなら見せる迫られてからのもう一段ギアを上げる場面もなく、勝ち馬にあっさり交わされてしまった。

<御神本訓史騎手>
スタートでミスステップをした以外は道中完璧に乗ったが、最後は並ぶ間もなく交わされてしまった。前回よりタメが利いたし、最近の中では一番状態も良かったので狙っていたが残念。相手に2馬身差をつけられてしまっては納得するしかない。これも競馬。

3着 ゴールドパテック

大外枠の不利もロケットスタートを決め2番手へ。かつての幼さがなくなりゲート難が解消。課題の折り合い面もクリアして直線に向かったが最後のひと伸びが足りず3着。

<山崎誠士騎手>
いいスタートはできたが大外枠の影響は大きかった。壁があるとないとは違う。折り合いはついていたけど2100mとなれば道中の息の入りが違ってくる。被せて行けないと弾けないですね。

4着 ファーストスキップ

インコース3番手をロスなく進むも勝負どころでペースが上がるとついて行けず、コーナーでモタついてもいた。それでも上がりは39秒1でまとめ、悪い内容ではなかった。
現時点で前との力差はあるが砂をかぶる競馬も経験したことは今後につながりそうだ。

<森泰斗騎手>
砂をかぶっても下がらず我慢できたのは収穫。次につながる競馬になったと思います。

5着 タオルデスカーフ

重賞初挑戦。中団で脚をため、終い勝負にかけたが入着が精一杯だった。

<本橋孝太騎手>
どこからでも行けるのが強みだけど、もう1列、前で競馬ができれば良かった。折り合いもついていたし、なかなか根性がありますね。

6着 ミスマンマミーア

最後方からの競馬。終いは確実に伸びては来るタイプだけにコーナーを6度回る小回りより直線長い広いコースの方が合いそうだ。

<町田直希騎手>
折り合いがつき、まったく掛かるところがない馬だから長丁場では乗りやすい馬だけど、もう少しテンに行けるといいですね。気性面から早めに出していくと終いが伸びないと聞いていましたが、今日はペースが遅く展開不向き。もう少し流れてくれるとよかったんだけど。

12着 ピースフルエンゼル

後方待機策から向正面で思い切って動いたが、それが裏目に出て直線失速。

<今野忠成騎手>
思い切って行ってほしいという指示もあり早め動いたが、もう少しジッとしていればよかったね。この馬場では捲る競馬は厳しかった。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
28 平成28年 ステップオブダンス 牝3 森泰斗
27 平成27年 ミスミランダー 牝3 森泰斗
26 平成26年 ララベル 牝3 真島大輔
25 平成25年 ノットオーソリティ 牝3 御神本訓史
24 平成24年 カイカヨソウ 牝3 今野忠成
23 平成23年 エミーズパラダイス 牝3 戸崎圭太
22 平成22年 クラーベセクレタ 牝3 戸崎圭太
21 平成21年 ショウリダバンザイ 牝3 御神本訓史
20 平成20年 タカヒロチャーム 牝3 町田直希
19 平成19年 シスターエレキング 牝3 桑島 孝春
18 平成18年 トキノミスオース 牝3 坂井 英光
17 平成17年 マキノチーフ 牝3 繁田 健一
16 平成16年 グローバルリーダー 牝3 張田 京
15 平成15年 アイチャンルック 牝3 的場 文男
14 平成14年 マルダイメグ 牝3 的場 文男
13 平成13年 ラヴァリーフリッグ 牝3 石崎 隆之
12 平成12年 カーディアンゴット 牝3 佐藤 隆
11 平成11年 セクシーディナー 牝4 内田 博幸
10 平成10年 ヤマノリアル 牝4 張田 京
9 平成9年 ホクトオーロラ 牝4 石崎 隆之
8 平成8年 イシゲヒカリ 牝4 秋田 実
7 平成7年 スギヤマワッスル 牝4 田部 和廣
6 平成6年 マキバサイレント 牝4 石崎 隆之
5 平成5年 ケーエフネプチュン 牝4 矢内 博
4 平成4年 パワーシャレード 牝4 石崎 隆之
3 平成3年 アズマリーフ 牝4 柿本 政男
2 平成2年 ドラールオウカン 牝4 内田 博幸
1 平成元年 ヒカリカツオーヒ 牝4 石崎 隆之