重賞レース

第17回 鎌倉記念(SII)

  • 2018年10月17日
  • 20:15発走
第17回 鎌倉記念(SII)

レースガイドRACE GUIDE

南関東地区でシーズン最初の2歳重賞。全日本2歳優駿(JpnI)のトライアルとして、今年からSIIに格上げ。地方全国交流で、毎年北海道から多くの遠征馬を迎える。経験が浅い若駒たちの争いのためか、7→2→5番人気での決着だった昨年のように、すんなりとは収まらない傾向もある。【1着馬に全日本2歳優駿、3着以内の牝馬にローレル賞の優先出走権を付与】

コースガイドCOURSE GUIDE

ゴール手前300mから発走しコーナー4つを経てゴールイン。地元馬は経験済のことが多い舞台ですが、鎌倉記念の北海道勢にとっては門別とは逆の左回りが鬼門になりがちです。

1500m
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前走着順と勝利数に注目

※データは過去10年分(08~17年)を対象にした。

■牡馬が優位

3着以内馬30頭中、牡馬が25頭(出走92頭)に対し牝馬は5頭(出走32頭)のみ。1着はすべて牡馬。連対率(牡馬18.5%、牝馬9.4%)、複勝率(牡馬27.2%、牝馬15.6%)とすべて牡馬が上回っている。

【性別成績】(過去10回)

性別 1着 2着 3着 着外
10 7 8 67
0 3 2 27

■船橋と北海道が好成績

勝率では、北海道(出走27頭で4勝)14.8%が最も高く、船橋(出走25頭で3勝)12.0%が2番目。しかし連対率、複勝率では、船橋(36.0%、40.0%)が、北海道(25.9%、33.3%)を逆転。なお3着以内馬30頭中19頭が船橋か北海道所属となっている。ちなみに北海道と南関東以外の馬は出走10頭すべて着外。

【所属別成績】(過去10回)

所属 1着 2着 3着 着外
浦和 1 1 1 9
船橋 3 6 1 15
大井 1 0 1 7
川崎 1 0 5 35
北海道 4 3 2 18
上記以外 0 0 0 10

■北海道は堂山、林厩舎

北海道は、堂山芳則厩舎【3-1-0-2】が出走6頭で3着以内4回の好成績。林和弘厩舎も出走5頭で2着2回と実績がある。逆に、北海道の2歳戦で好成績を残す田中淳司厩舎は出走6頭で3着1回のみ、角川秀樹厩舎も、10年以降は3着以内に入っていない。過去10年で、北海道所属で3着以内に入ったのは、前記の4厩舎のみ。
 

■通算勝利数が多い馬

1勝馬が出走馬の大半を占める年もあるが、4勝馬は4頭すべて3着以内。3着以内馬30頭中、2勝以上の馬が22頭もおり、勝利数が多い馬から狙いたい(※3着以内ゼロの北海道以外の他地区馬は対象にしない)。

【南関東・所属馬の勝利数別成績】(過去10回)

勝利数 1着 2着 3着 着外
4勝 2 1 1 0
3勝 2 1 1 5
2勝 3 4 7 25
1勝 3 4 1 50
未勝利 0 0 0 4

■前走着順に注目

トライアルの若武者賞(川崎1500m)出走馬から勝ち馬は出ておらず、同1~2着馬が3着以内に入ったのは、17年3着ゴールドパテックをはじめ4頭のみと相性イマイチ。前走の格付や距離より着順が大事で、3着以内馬30頭中16頭が前走1着。前走1~3着馬が23頭を占めており、大敗からの巻き返しは考えにくい。

【3着以内馬の前走着順】(過去10回)

前走着順 頭数
1着 16
2着 3
3着 4
4着 4
5着以下 3

 
ライター: 栗田勇人

プロフィール_2

第17回鎌倉記念(SⅡ)

注目馬情報

●ミューチャリー (牡2歳 船橋・矢野義幸厩舎)

デビューから無傷の2連勝中。
新馬戦は先行して7馬身突き放す圧勝で、2戦目では後方から3コーナーで仕掛けると長くいい脚を使って好タイム勝ち。
いずれも大物感あふれるレース内容だった。
特に、追い出してからの加速力はケタ違いで2歳離れしている。

「レースで注文がつかない馬だし、どこからでも競馬ができる。経験の浅い若馬にしては完成度が高い。馬体が成長すればさらに楽しみ」と御神本訓史騎手も将来性を高く評価している。

2戦した後は鎌倉記念一本に目標を絞って調整。
初めての輸送競馬になるなど未知数な部分もあるが、小回りにも対応可能な器用さは強みになる。
現段階の2歳ではトップレベル。

●カンゲキ (牡2歳 大井・宗形竹見厩舎)

写真:真鍋元

6戦3勝とキャリアの豊富さが魅力。
「デビュー以来、崩れのないレースをしているし、2歳の今の時期にこれだけ使っても調子が落ちないタフな馬」と宗形調教師が言うように、すべて3着以内で順調に経験を積んできた。

新馬戦は出遅れて2着だったが、2戦目では7馬身、特別戦でも後続を4馬身ちぎった快速馬。

「スタートが速いのでポジション取りはしやすい。一生懸命走ってしまうタイプなぶん折り合いは課題だが、折り合ってしまえば距離もこなせるはず。現時点では逃げがベストではあるが、新馬戦では出遅れて砂を被りながらいい差し脚を使ってくれた」(宗形調教師)と、一介の逃げ馬ではなく、距離延長されてもうまく立ち回れそうだ。

川崎コースは初めてになるが調教でも左回りをスムーズにこなし、12日には川崎に運んでスクーリングを敢行するなど対策は万全だ。

●リンゾウチャネル (牡2歳 道営・堂山芳則厩舎)

写真:山下広貴

前走は盛岡で芝のジュニアグランプリに遠征し、逃げ切って初重賞制覇。
これまでの5戦は連対率100%でダート、芝の両方で結果を出してきた。

「本来は門別のレースを使う予定が地震で開催中止となり、急きょ盛岡遠征が決まった。それでも初めての芝や左回り、長距離輸送、距離をすべて乗り越え、五十嵐騎手との初コンビで優勝してくれた。この経験はすべて今回の川崎遠征にも生きるはず」と堂山調教師。

地震で馬場が使用できずに門別で左回りの調教を一度もできずに盛岡に向かったそうだが心配には及ばず、テンが速くなりそうな川崎1500m戦でも逃げにこだわらないレース巧者ぶりを発揮しそう。

●カネトシテッキン (牡2歳 川崎・佐々木仁厩舎)

写真:真鍋元

前走は鎌倉記念と同条件のトライアル若武者賞勝ち。圧倒的人気のトーセンボルガを抑えて初勝利を飾った。
「相手は一頭だと思って意識して追いかけた。うまい具合に内をつけてスルスルと抜けることができた」と増田充宏騎手。

トライアルが初勝利だったように、これまで5戦のうち2着が3回。
精神的にヤンチャな面があり、デビュー戦でも一頭になると横に切れ込もうとするような幼さを出して2着になってしまった。

「まだ競馬をわかっていないのか自分から進んでいこうとしないところもありますが、最後はきちんと伸びてくれる。だんだん競馬に気持ちが向くようになってきたんだと思います。潜在能力は高いので引き出してあげられれば」(増田騎手)。
毎回、追い通しで馬がまだ真剣に走っていないようだが、それでも一戦ごとにタイムを詰めている。

距離1500mは4度目となり、散々モマれる競馬も経験してきたが、2歳のわりにピリピリせず良い意味でのズブさがある。

●ヒカリオーソ (牡2歳 川崎・岩本洋厩舎)

写真:真鍋元

3戦1勝。
前走の特別戦ではハイペースで見事な逃げ切り勝ち。
一気にタイムを詰めたが、トライアル若武者賞の勝ちタイムよりコンマ5秒も速い時計を弾き出した。

「トモに力が付いて手前の替え方もスムーズになり、素軽さを増している。一段ギアが上がった感じ。追い切りではモタれるところがあったからステッキを入れたが動きはよかった。一戦ごとに馬体が成長しているのがわかる」と調教パートナーの甲斐勝也厩務員はデキの良さに太鼓判を押す。

「前走は3コーナー手前から飛ばしていったのにバテなかった。今回は相手も上がってそうはいかないだろうが、逃げられなくても差す脚がある。まだ成長段階だが楽しみな馬」と瀧川寿希也騎手。

重賞メンバーに入っても通用するだけのスピードは持続力があり、追い出してからまた伸びる粘着さで、侮れない存在。

●グラビテーション (牡2歳 川崎・山崎裕也厩舎)

写真:真鍋元

前走はトライアルの若武者賞で3着。
緒戦の900mから1500mへと距離延長されたが、終いの脚は見どころ十分だった。

「前走は初めての1500mで、包まれて砂を被ったら馬が若さ見せていったん下がってしまった。それでも最後また伸びてくるんだから、この先距離が延びてもこなせそう。砂を被る経験は収穫だった。前走のようなことがないようにとこの中間は後ろから砂をかぶせる調教をしてきたが、怯まずに走るようになった」と中野優作厩務員。

5月の川崎最初の能力試験に合格していたがソエが出たことで放牧に出されたが、帰厩すると調教タイムを大幅に詰めるほど馬体がしっかりと成長。

まだキャリアは2戦だが大きな可能性を秘めた素質馬だ。

●ルマーカーブル (牡2歳 道営・佐々木国明厩舎)

写真:山下広貴

5戦3勝の道営所属馬。
距離経験が1200mまでしかなく、初めての距離、左回り、長距離輸送と初物づくし。
小回りコースで一周回る競馬も初めてになる。

「広い馬場でしか走っていないのでキツいカーブを克服してくれるかどうかですね。左回りは門別での調教でも経験していますがスムーズに回っています。距離1500mは無駄に引っ掛からない気性や跳びの感じからもこなしてくれるのではないかと思っています」と佐々木調教師。

ここまでのレースぶりからは逃げて良し、抑える競馬もできる対応力の高さも見え、軽視はできない。

●セイシャレード (牝2歳 川崎・八木正喜厩舎)

写真:真鍋元

川崎ではデビューから楽に逃げ切って2連勝。
その後ひと息入れ、休み明けだった前走の準重賞ゴールドジュニアーでは逃げたものの直線失速して9着。

初物づくしだったとはいえ負けすぎの感はあるがダメージは見られず、前走後はピッチを上げてしっかり調教を積んで前走以上の仕上がりで臨む。

「小柄な牝馬ですがスピードはありますし、大きい牡馬と併せ馬しても小さいと思わせない迫力ある走りを見せています」と調教パートナーでもある原田龍厩務員。

ハナにはこだわらずどんな競馬もできそうなレースセンスの持ち主。ひと叩きされた上積みも十分だ。

プロフィール_2


写真:真鍋元

 未来優駿2018の第17回鎌倉記念は今年からSIIに昇格した全日本2歳優駿トライアル。
 南関東の2歳重賞がここからスタート。有力視されていた小久保智厩舎勢が直前回避となったのは残念でならないが、道営から精鋭3頭の遠征もあり、蓋を開けてみればハイレベルな闘いだった。
 逃げたい馬が多いなかダッシュ良く飛び出したのはカンゲキ。2番手には前走の盛岡遠征で重賞を制した道営のリンゾウチャネル。逃げ馬の後ろでイン3番手にミューチャリーと人気どころが先団に取りつく。
 川崎コースの1500mは最初のコーナーまでのポジション取りが激しくなりがち。ペースはテンから速く、2コーナーでは縦長状態。前を行くリンゾウチャネル、ミューチャリーは抜群の手応えでタイミングを図っているのがわかる。3コーナー過ぎから馬なりで先頭に立ったリンゾウチャネルを見て、ミューチャリーも追い出しにかかった。
 並んだ4コーナーから直線では弾けるような瞬発力でミューチャリーが抜け出し、最後は後ろをふり返るほどの余裕を見せながら6馬身差をつける楽勝でゴール。
 リンゾウチャネルも最後は脚が上がっていながらも2着を確保。後方で脚をためていたグラビテーションが3着まで追い上げた。
 タイムは1分33秒6と鎌倉記念レコードでの決着。優勝したミューチャリーには全日本2歳優駿への優先出走権が与えられた。


写真:小川慎介

■1着 ミューチャリー

速い流れのなか余裕の先行策。終いは後続を突き放す伸び脚でケチのつけようがないレース内容。これで無傷の3連勝。デビュー戦から圧勝で大物感を漂わせていたが、今回はマイナス10キロとギリギリだった馬体でこの強さ。どんなレースもできそうなレースセンスで、今後どう成長してくるのか来春に向けての期待はさらに膨らんだ。

<矢野義幸調教師>
人気に応えられてホッとしています。
輸送で馬体が減っていたぶんパドックでもおとなしかったので心配していたんですが思った以上に走ってくれた。
うまく好位につけられてロスなく走れたし、直線向いて並んでからは安心して見ていられた。次走については馬体を戻すことを優先して時間を掛けたい。全日本2歳優駿に間に合うかは微妙です。

 

<御神本訓史騎手>
あんなに弾けてくれるとは思わなかった。2歳のこの時期で、初コースだったり馬を信用しきれなかった自分が恥ずかしくなるくらい強かった。いい枠を取れたんでインコースで脚をためられればと思っていた。4コーナー回って五十嵐さんの馬と並んだときの手応えの良さで勝利を確信しました。抜け出してからの伸びには脱帽です。能力試験から乗っていますがスピードだけでなく瞬発力も魅力。幅広く適応できる能力がありますね。

■2着 リンゾウチャネル

好スタートから2番手を追走。4コーナーでは早めに先頭に立ったが最後は一杯一杯。それでも3着には4馬身の差をつけており、勝ち馬が強過ぎた結果だと言えそうだ。次走は園田の兵庫ジュニアグランプリを予定。

<五十嵐冬樹騎手>
追い出してからの勢いが勝ち馬とは違っていた。今日は完敗です。いつもと違う競馬になったらフワッとレースを止めてしまう場面があった。

■3着 グラビテーション

序盤は脚をため、3コーナーから長くいい脚をつかったが3着まで。前走に続いて終いの切れ脚を見せていた。

<今野忠成騎手>
前回より良くなっていたが、まだ砂を被ると嫌がる面があるね。ペース速くてもこの馬としても走っているんだけど何せレースタイムが速すぎる。これからもっと競馬を覚えて自分からハミを取っていくようになれば先々の楽しみはある馬だよ。

■4着 ヒカリオーソ

前走は逃げて楽勝。今回は先行集団で揉まれる競馬になったが、粘り強い脚で入着。手前の替え方に課題はあるが、トモがしっかりして確実に成長しているのはわかる。

<瀧川寿希也騎手>
いい位置つけられたし前走より良くなっているのは感じましたが、3コーナーから1度も手前を替えようとしなかった。ゴールまで左手前で走っていたからササリ気味で進まなくて。そのわりには粘っているし、右手前の時はすごくいいからスムーズに替えられるようになると違うはず。現時点では右回りの方がいい。

■5着 リンノレジェンド

普段は掛かるところがあるそうだが、砂をかぶったせいか進み具合が悪く、3コーナーでは下がり気味。それでも直線は懸命に5着まで追い上げてきた。

<吉原寛人騎手>
行けたら行ってしまおうと考えていましたが、テンからペースが速すぎました。走る力はある馬なんですが、気の難しさがあって揉まれたら怯んで3コーナーでいったん下がってしまった。そこからよく盛り返していると思います。

■6着 カネトシテッキン

5戦目のトライアル若武者賞が初勝利だったように幼さもまだあって大外から仕掛けていくも位置取りは好位。終始追い通しだったが、それでも大バテすることなく粘っていた。

<増田充宏騎手>
3番手くらいに行こうと思って仕掛け過ぎてしまいました。外枠だったことも不利になり最後に響きました。

■7着 カンゲキ

スピードと6戦3勝の豊富なキャリアをもって臨んだが、課題は距離延長。ダッシュ良く飛び出して先手を取ったものの後続のプレッシャーは大きく、早めに主導権を渡すかたちに。距離は短い方が合いそう。

<矢野貴之騎手>
勝った馬が強く早めに来られる厳しい展開。距離もこの馬には長かったようですね。ワンターンの1200mの方がいい。

■12着 ルマーカーブル

道営では5戦3勝しているが、距離経験が1200mまでしかなく、初めての距離、左回り、長距離輸送と初物づくしのなか、前半は先行集団についていったが直線では脚がなくなってしまった。右回りの方が良さそうだ。

<笹川翼手>
初めての左回りのせいかスムーズに回ることができずモタれていた。大型馬なぶん器用に立ち回れなかった。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
16 平成28年 リコーワルサー 牡2 森泰斗
15 平成27年 ストーンリバー 牡2 井上幹太
14 平成26年 ポッドガイ 牡2 矢野貴之
13 平成25年 オウマタイム 牡2 繁田健一
12 平成24年 ニシノデンジャラス 牡2 今野忠成
11 平成23年 インサイドザパーク 牡2 左海誠二
10 平成22年 ニシノファイター 牡2 小国博行
9 平成21年 キスミープリンス 牡2 戸崎圭太
8 平成20年 ナンテカ 牡2 坂井英光
7 平成19年 ノーステイオー 牡2 左海 誠二
6 平成18年 ヴァイタルシーズ 牡2 左海 誠二
5 平成17年 カネショウマリノス 牡2 今野 忠成
4 平成16年 エスプリフェザント 牡2 久保 勇
3 平成15年 トキノコジロー 牡2 山田 信大
2 平成14年 パレガルニエ 牝2 今野 忠成
1 平成13年 ジェネスアリダー 牡2 桑島 孝春