コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成30年度第9回開催 ローレル賞 他

11月26~30日の開催では重賞が2レース行われました。2歳牝馬によるローレル賞は、北海道から移籍初戦のアークヴィグラスが勝って重賞4連勝としました。鞍上は瀧川寿希也騎手でした。3歳牝馬によるロジータ記念は、北海道から船橋に移籍3戦目のクロスウィンドが勝ちました。鞍上は矢野貴之騎手でした。 もう1レース、最終日のメインとして行われた川崎ナイター競馬連絡協議会記念を勝ったのは船橋のケンネプチューン。鞍上は町田直希騎手でした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2018年11月27日(火)ローレル賞

優勝馬 アークヴィグラス

斎藤
勝ったアークヴィグラスは、前で競り合った2頭からやや離れて3番手からでした。
竹見
(アークヴィグラスの)瀧川騎手は好スタートでした。ひとつ内枠のスティールティアラがハナに行ってくれたことでラチ沿いに入れることができました。また連勝して人気になっていた御神本騎手のホウショウレイルが競り合うように先行してくれたことで、アークヴィグラスは3番手の一番いい位置につけることができました。
斎藤
直線を向いてホウショウレイルが先頭に立ったところ、アークヴィグラスが交わしていきました。
竹見
瀧川騎手は前の2頭をマークして、直線ではそれをとらえればという競馬でした。アークヴィグラスにとっては、前2頭が競り合ってくれたのもよかったですが、瀧川騎手もそれを見てうまく乗りました。東京2歳優駿牝馬に出走となれば、門別で経験していた右回りならもっといい競馬をするかもしれません。
斎藤
4着馬までゴール前は接戦でした。
竹見
矢野騎手のダバイダバイはやや離れた5番手を追走していて、ゴール前はよく伸びてきました。3着のパレスラブリーは、阿部龍騎手がアークヴィグラスをすぐ前に見る位置の4番手でいい競馬をしました。逃げたスティールティアラはよく4着に粘りました。単騎で楽に逃げられればもっと際どい勝負になったかもしれませんが、ホウショウレイルに競りかけられて厳しい展開でした。人気になったホウショウレイルは直線失速して5着でしたが、今回は道中かかっていました。ここを経験して、次はまたよくなるかもしれません。

2018年11月28日(水)ロジータ記念

優勝馬 クロスウィンド

斎藤
逃げたのはクレイジーアクセルで、結果的に前に固まった人気4頭での決着でした。
竹見
1周目のスタンド前でクレイジーアクセルの御神本騎手がうまくペースを落としました。ゆったりしたペースでレースが流れて、そのままほとんど隊列が変わりませんでしたから、最後は上がり勝負になりました。
斎藤
直線では、3番人気のファーストスキップが脱落して、3頭の追い比べでした。
竹見
直線を向いても御神本騎手の手ごたえは残っていましたが、矢野騎手のクロスウィンドがいい脚で伸びて突き放しました。ペースを落としての逃げに持ち込んだクレイジーアクセルにしてみれば、これで負けたのでは仕方ありません。ゴールドパテックも道中は楽に追走していましたが、直線は案外伸びませんでした。

2018年11月30日(金)川崎ナイター競馬連絡協議会記念

優勝馬 ケンネプチューン

斎藤
勝った町田騎手のケンネプチューンは14頭立ての10番手からでした。
竹見
行き脚もつかない感じでしたが、前が競り合っていましたから位置取りとしては悪くありません。
斎藤
町田騎手は3コーナー手前からまくっていきました。
竹見
仕掛けるタイミングが少し早いかなと思って見ていましたが、結果的に2着に3馬身差の圧勝でしたから、いい判断でした。3コーナー過ぎで先行していた馬たちがバテて、ラチ沿いはごちゃごちゃしていましたから、大外をまくって行ったのもよかったと思います。
斎藤
ケンネプチューンの近走は2着3着が多くて勝ちきれず、昨年7月以来久々の勝利でした。
竹見
町田騎手は今開催は6勝を挙げる活躍でした。追ってからしっかりしているタイプなので、今回のように思い切って乗ったほうがいいと思います。今回は思い切った好騎乗でした。