コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和4年度第13回開催 エンプレス杯JpnII 他

 3月1日に行われた牝馬によるJpnIIのエンプレス杯は、JRAのグランブリッジが直線力強く抜け出して1番人気にこたえました。鞍上は川田将雅騎手でした。なお、これが引退レースとなった大井のサルサディオーネは、果敢に逃げたものの5着でした。  同日第6レースに行われた3歳馬による連翹(れんぎょう)特別は、新原周馬騎手のラーテルが直線で抜け出しました。この開催では、昨年デビューした野畑凌騎手と新原騎手がともに7勝を挙げ、開催リーディングとなる活躍を見せました。  そして3月2日に行われたレディスジョッキーズシリーズ第1戦では、小林捺花騎手が見事に逃げ切りました。  今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2023年3月1日(水)エンプレス杯JpnII

優勝馬グランブリッジ

 サルサディオーネが逃げて、1周目の4コーナーでテリオスベルが迫る勢いで来ましたが、さすがにサルサディオーネを交わすところまでは行きませんでした。もし行ってしまえばハイペースでレースが壊れてしまいますから、江田照男騎手は2番手で抑えたと思います。  勝ったグランブリッジは、中央と南関東、7頭一団の一番うしろから。逃げたサルサディオーネをテリオスベルがマークしていく展開で、道中はペースが緩むところがなかったので、グランブリッジの川田騎手はうしろに控えての位置取りでした。  5番手につけていたヴァレーデラルナの岩田望来騎手が向正面の中間から動いていきましたが、このタイミングは少し早かったかもしれません。川田騎手が動き出したのは3コーナー手前からです。岩田騎手はグランブリッジが来る前に抜け出したかったのかもしれませんが、グランブリッジが来るまで仕掛けを待ってもよかったと思います。  緩みのないペースで、(レースの)上り3ハロンが42秒2もかかる流れでしたから、後方に控えていたグランブリッジが直線で並ぶまもなく交わし去って強い競馬を見せました。川田騎手の騎乗には余裕を感じます。  ヴァレーデラルナは直線で一旦はグランブリッジに離されましたが、最後は盛り返して2着を確保。負けても力のあるところを見せました。  サルサディオーネはさすがに最後一杯になりましたが、9歳までよく走りました。

2023年3月1日(水)連翹(れんぎょう)特別

優勝馬ラーテル

 勝った新原騎手のラーテルは、行く馬を行かせて5番手のいい位置につけました。勝因は、その位置取りでしょう。普通なら向正面で外に持ち出して仕掛けていくところですが、前に馬を置いてじっと我慢していました。4コーナーを回ったところで、前2頭の外にうまく進路ができて、直線一気に弾けました。4コーナーまで溜められたぶん、直線の伸びにつながりました。  2着のハッピーレックスは11番人気。藤本現暉騎手は、中団から直線では馬群の中を抜けてきました。  1番人気、和田譲治騎手のルンバルンバルンバは後方から向正面で早めに動いて、3~4コーナーでは大外から位置取りを上げてきました。川崎では正攻法ですが、最後は2着のハッピーレックスと脚色が一緒になってしまいました。  新原騎手は、6番人気でも強い勝ち方を見せました。テンにもスッと行けるし、追い出してからもの姿勢もしっかりしています。

2023年3月2日(木)レディスジョッキーズシリーズ第1戦

優勝馬シンキングアイル

 スタート後の直線では4頭の先行争いになりましたが、1~2コーナーを回るところで枠順で内(2番)の小林騎手(シンキングアイル)がハナを取って流れが落ち着きました。ただスタート後に仕掛けていったぶん、向正面では馬が行きたがって、なんとか抑えていました。外で併走する形になった深澤騎手(メジャーセブンス)も抑えていました。  それでペースが落ち着いたところ、最後方にいた木之前騎手(ナツハヤテ)が向正面で一気に動いてきましたが、小林騎手はうしろから馬が来たら来たぶんだけ動いて、前に行かせないように先頭をキープしました。向正面で溜められたぶん、余裕の手応えのまま直線を向くことができました。シンキングアイルは直線では内に刺さっていたので、ステッキを左に持ち替えて追ってこられるようならもっとよかったですが、追ってからもしっかり伸びていました。  4コーナーで先頭に並びかけていた木之前騎手でしたが、4コーナーを回るところで馬が外に張ってしまい、直線を向いてもずっと左手前のままで追いづらそうな感じでした。伸びを欠いたのはそのぶんだったかもしれません。  (レディースジョッキーズシリーズでは)神尾香澄騎手が2位、小林騎手が3位で、2人ともよくがんばりました。