コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和4年度第12回開催 佐々木竹見カップ・マイスターチャレンジ杯 他

 1月31日、3年ぶりに全国のトップジョッキーを招待して行われた佐々木竹見カップジョッキーズグランプリは、第1戦マイスターチャレンジを戸崎圭太騎手(JRA)が、第2戦ヴィクトリーチャレンジを吉原寛人騎手(金沢)がそれぞれ勝利。結果は、第1戦2着、第2戦5着と、2戦とも上位に入った宮川実騎手(高知)が初出場での優勝となりました。  翌2月1日に行われた川崎記念は、注目を集めたJRA人気2頭の一騎打ちとなり、ウシュバテソーロがテーオーケインズを半馬身差でしりぞけ、東京大賞典から連勝となりました。鞍上は横山和生騎手でした。  そして2023川崎ジョッキーズカップ第2戦は、ゴール前で抜け出した中越琉世騎手のタカラチーターが、野畑凌騎手のマジェスティアスクをハナ差でしりぞけました。  今回はこの4レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2023年1月31日(火)佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ・マイスターチャレンジ

優勝馬イグレック

 森泰斗騎手(ハロサン)が逃げて、勝った戸崎騎手(イグレック)は絶好位の3番手外につけました。最内枠の宮川騎手(ガストン)も好スタートを切りましたが、森騎手が勢いよく行きましたから、控えて直後のラチ沿い4番手。これもいい位置取りでした。  戸崎騎手は絶好の手応えのまま4コーナーで前をとらえて直線抜け出すという、位置取りからレースぶりから文句のつけようのない勝ち方でした。ブリンカーを付けていたので、外の位置をとれたのもよかったと思います。  宮川騎手は、4コーナーでうまく外に持ち出して直線はよく伸びていましたが、戸崎騎手に先に抜けられてしまったので、最後までとらえることはできませんでした。この1、2着は、枠順と位置取りの差でした。  宮川騎手は「左回りはめったに乗ることがない」とコメントしていましたが、対して戸崎騎手はコースをよく知っていますから、その差もあったと思います。  それにしても最後方からの追走だった矢野騎手(エレウテリア)は直線でよく追い込んできました(3着)。1、2着が前残りでしたから、矢野騎手は最初から直線末脚勝負を狙っていたのかもしれません。

2023年1月31日(火)佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ・ヴィクトリーチャレンジ

優勝馬ライジングサミット

 好スタートを切ったのは落合騎手(オートヴィル)でしたが、何度か内と外を見て控えました。それで迷わずハナに立って行ったのが吉原騎手(ライジングサミット)でした。落合騎手は、控えるように指示があったのかもしれませんが、内の馬が行く気を見せず、好スタートを切ったからにはハナに行ってしまったほうがよかったと思います。  2コーナーから向正面で吉原騎手が後続をどんどん離して大逃げとなりましたが、ペースは速くありません。後続勢は集団になって牽制し合ったのか、吉原騎手を追いかけていく騎手はいませんでした。向正面半ば過ぎから後続勢の鞍上の手が動いていましたが、なかなか差は縮まりませんでした。  ゴール前、さすがに吉原騎手の馬は一杯になりましたが、前半のアドバンテージがあったぶん、粘り込みました。2番手から落合騎手が伸びてきましたが、3/4馬身届きませんでした。人気薄(12番人気)でもあれだけ伸びる脚があるのだから、スタートから行っていれば勝っていたかもしれません。吉原騎手は期間限定騎乗の経験でコースをよく知っていることもありますが、一気に後続を離して行ったのは好判断でした。

2023年2月1日(水)川崎記念JpnI

優勝馬ウシュバテソーロ

 スタート後、ハナをとったのはライトウォーリアでしたが、スタンド前の直線を向いたところでテリオスベルが一気に先頭まで進出したのでペース緩むところはありませんでした。その流れでも、ノットゥルノはかなりかかっていました。向正面から手応えが悪くなったのはそのためでしょう。テーオーケインズも、スタート後と道中と、ところどころで掛かるような感じがありました。  勝敗の明暗は4コーナーでした。テーオーケインズがライトウォーリアの外に出したのに対して、そのうしろを追走していたウシュバテソーロは内を突きました。前にいたテリオスベルとライトウォーリアの間がうまく開いたので、ウシュバテソーロはそこを抜けることができました。直線では追い比べとなって、ウシュバテソーロが半馬身差で振り切りましたが、その1、2着の差は、4コーナーでのコース取りが大きかった。テーオーケインズは道中ずっと3番手あたりのラチ沿いを走っていましたから、松山騎手はそのまま内でじっとしていれば1、2着は逆になっていたと思います。2頭の能力が抜けていたのは確かですが、これも展開のアヤです。  ウシュバテソーロは前が開いたからよかったですが、もし前3頭が壁になっていれば抜けてくるところがなかったかもしれません。結果的に進路ができたので抜け出せましたが、それが川崎コースの難しいところです。今回、横山和生騎手は落ち着いってうまく乗りました。ウシュバテソーロは道中馬群の中でしっかり折り合いがついていたので、地方の長距離戦には向いていると思います。

2023年2月1日(水)2023川崎ジョッキーズカップ第2戦

優勝馬タカラチーター

 内枠から藤江騎手(ミッシーコルザ)がハナをとって、2番手につけた中越騎手(タカラチーター)が、直線余裕をもって前をとらえました。4番手につけていた野畑騎手(マジェスティアスク)がよく伸びてゴール前迫りましたが、中越騎手がしのぎきりました。  向正面ではかなり縦長の展開になりましたが、逃げた藤江騎手が3着で、結果的に前残りの決着でした。このあたりのクラス(C3)の馬は、なかなか終いの脚を使って追い込んでくるというわけにはいきませんから、やはりある程度は前につけないと難しいでしょう。それから今回のメンバーは、能力的に差のある組み合わせだったかもしれません。  中越騎手は手綱も緩まないし、追ってからいいところがあります。あとは姿勢を少し直せれば、もっと勝てるようになると思います。