平成20年度第9回開催 騎手・佐々木竹見、復活の日~第2回ジョッキーマスターズ(スペシャルエピソード1)
11月9日、東京競馬場で行われた「第2回ジョッキーマスターズ」には、 アジア競馬会議の開催に合わせ、89年のジャパンCをホーリックスで制したランス・オサリバン元騎手(ニュージーランド)、95年の同レースをランドで制したマイケル・ロバーツ元騎手(南アフリカ)という2名の外国人騎手を招待。そして地方競馬からは、我らが佐々木竹見さんが参戦した。
4頭が叩き合いとなるゴール前の大接戦には竹見さんも加わり、半馬身差の2着と大健闘。興奮冷めやらぬレース翌日、レース映像を見ながら、竹見さんにお話しをうかがった。(取材・文/斎藤修)
- 斎藤
- 竹見さんの斤量は、52キロでいちばん軽かったですよね。あれは、自分の体重に鞍を持っただけだったんですか。
- 竹見
- そう。でも、みんな軽かったよ。河内さんが53.5キロ、岡部さんも55キロでしょ。南井さんなんかは、だいぶ前から乗ってたらしいよ。レース前は汗取りまでしてたみたいだし。でもロバーツさんだけは62キロで、背は小さいんだけでど、腹はポコッと出てた(笑)。
- 斎藤
- 鐙もかなり短かったですよね。
- 竹見
- 鐙は(メンバーの中で)一番短かったかもしれない。もっと短くしようかとも思ったんだけど、現役のときより穴ひとつぶん長くしたかな。ほかのみんなはだいぶ長かったみたいだけど、オレは鐙長かったらダメだ。
- 斎藤
- 小島太調教師のスターターは似合ってましたよね。
- 竹見
- 地下馬道にいるときに、小島太さんに「竹見さん」て声かけられたけど、最初誰だかわかんなかったんだよ(笑)。
- 斎藤
- スタートはどうでしたか。
- 竹見
- うん、まあまあ。ゲートだけは出遅れないようにしていたので。
レースでは、オサリバンさんの芦毛が行くんじゃないかって聞いてたんだよ。じゃあ、2番手くらいでもいいかなって思ってたの。そしたら河内さんの馬のダッシュがよくて、手ごたえもよかったね。こっちもスタートがよかったから、そのま2番手について行ったんだよ。(調教をつけていた)岡部さんからは、口が堅くて行きすぎるくらいの馬だからって聞いてたんだけど、なんだかフワフワしちゃって、反応がないんだわ。だからオレのほうは、ちょこちょこ追っていったよ。 - 斎藤
- 3~4コーナーあたりで一気に行ってしまうかと思って見ていたんですが。
- 竹見
- いや、行けなかったんだよ。なんだかぜんぜん反応しなくなって下がっちゃった。4コーナーをまわるくらいまで、もう少し手ごたえがよければ、直線ではもっと伸びたと思うんだけど。
- 斎藤
- 直線で追い上げたときは、手ごたえも戻ってきたんですか。
- 竹見
- 直線ではハミがかかってくれたからよかったけど、乗ってるほうが一杯だった(笑)。
- 斎藤
- ゴール前、4頭の叩き合いはどうでした。
- 竹見
- いや、もう無我夢中だったな。やっぱり東京の直線は長いよ。
- 斎藤
- 内から岡部さんが伸びて、2着か3着かというのはわかりましたか。
- 竹見
- 2着だっていうのは、はっきりわかった。最後、河内さんを交わせなかったのは残念だったけど、それでも無事に終わったからよかった。
- 斎藤
- 終わってみてどうでしたか。
- 竹見
- ゴール前は、もっと気合をつけてくればよかったなとは思ったよ。
でも、こうやってまだ馬に乗っていられるから幸せだよ。オレももう67歳だもんな。いつこんなに年をとったのかなって思うよ(笑)。
河内さんなんかは調教師やってるでしょ。で、毎日馬を見て、乗る機会もあって、ずっと気も張ってるから、だから体もだいじょうぶだと思うんだ。ところが、引退した岡部さんとかオレなんかは、精神的に楽をしてるでしょ。そういうのも馬に対しては違うんだよ。
でも今回は岡部さんが一番苦労していた。あれだけの馬をぜんぶ仕上げたんだから。ほんとうにありがたいよ。岡部さんには感謝しないと。 - 斎藤
- またレースに乗りたくなりましたか。
- 竹見
- もう一度こういうレースに乗るようなことがあれば、調教のときにはズブいような馬に乗って、3コーナーくらいから追ってくるような感じでやっておかないと。東京コースは直線が長いからね。
それから、春ごろからたまに乗っておかないとダメだね。だいじょうぶだろうと思っていたけど、いろんなところが痛くなった。もう少し日にちをかけてじっくりやればよかった。
もうちょっと休んだら、また1頭か2頭くらい乗ったほうがいいかな。せっかく体ができたんだから。
今後は、各開催ごとに気になったレースや話題のことを伺います。
次回をお楽しみに。