コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成20年度第10回開催 報知オールスターカップ 他

お正月に行われた2レースについて振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

2009年1月3日(土)報知オールスターカップ

優勝馬 アンパサンド

斎藤
アンパサンドは東京ダービー以来、久々の勝利となりました。
竹見
今回は強いレースをしましたね。やっぱり、ダテに東京ダービーは勝っていません。まだまだこれからよくなると思います。
斎藤
1周目のゴール前で、中団のアンパサンドと、出遅れたトップサバトンが一気に前に行きましたね。
竹見
ペースが遅かったので、一気に行きました。川崎のこの距離では、ここでペースが落ちるので、思い切って一気に行って正解です。 2番手につけていたマズルブラストは、ちょっと掛かっていましたから、この馬あたりも2頭と一緒に先頭に立つ勢いで行ってしまってもよかったかもしれません。
斎藤
直線は一騎打ちになるかと思いましたが、トップサバトンが置かれてしまいました。
竹見
トップサバトンが直線で離されたのは、今の時点ではアンパサンドとは力の差があるようです。本調子に戻るにはもう少し時間がかかるかもしれません。
斎藤
ギャンブルオンミーがよく2着に突っ込んできましたね。
竹見
この馬もよく走りました。2頭が行ったときも繁田騎手は5番手くらいでじっとしていて、最後の末脚にかけていたのでしょう。うまくこの馬の持ち味を引き出したと思います。
斎藤
その他に注目していた馬はいましたか。
竹見
ジルグリッターに注目していたんですよ。スタート後は最後方で、もう少し前に行ければよかったのかもしれませんが、4歳になったばかりですからね。やっぱりこのクラスに入るとまだ力の差があるかもしません。ペースに慣れてくれば、もう少し走ってくるでしょう。

2009年1月4日(日)大師オープン

優勝馬 エースオブタッチ

斎藤
勝ったのはエースオブタッチでした。
竹見
このレースは、佐藤博紀騎手がうまく乗りましたよ。
斎藤
本来なら好位につける馬ですが、今回は前に行けずに中団からでした。
竹見
もっと前に行きたかったのかもしれませんが、今回はダッシュがつきませんでした。
斎藤
川崎コースであの位置取りだと、3コーナー手前から動くのが普通だと思うのですが。
竹見
普通だったらそうかもしれませんが、エースオブタッチは手ごたえがよかったですからね。
斎藤
うまく乗ったと思えるのは、どのあたりですか。
竹見
やっぱり3~4コーナーで内を突いたところではないでしょうか。3コーナー手前では、他馬に先に外から行かれてしまったので、あそこはずっと追い出しを我慢していて正解でした。
斎藤
川崎コースも大井と同じように、4コーナーで内にいれば前が開くことが多いですよね。
竹見
そうです。直線を向いてすぐ前にいたキングオブライヒがバテて下がってきましたが、うまく外に出すことができたので、道中脚を溜めていたぶん、そこから一気に伸びました。好騎乗だったと思います。