コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成20年度第11回開催 川崎記念 他

今年初めて行われたJpnI・川崎記念は、カネヒキリとフリオーソによる見ごたえのある叩き合い。最後はカネヒキリが抜けて、GI・JpnIで3連勝を果たしました。 その前日に行われた佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリの第2戦では、今野忠成騎手が鮮やかに差し切り勝ちを決めました。 今回は、この2レースについて解説をいただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

2009年1月28日(水)川崎記念

優勝馬 カネヒキリ

斎藤
フリオーソは、東京大賞典では出遅れて残念なレースでしたが、今回はスタートを決めましたね。
竹見
戸崎騎手は、今回は自分のペースに持ち込んで、この馬らしい競馬ができました。力は出しきっているでしょうから、これで負けたのでは仕方ありません。相手が強かったということでしょう。
斎藤
カネヒキリは、フリオーソを完全マークでしたね。
竹見
ルメール騎手はさすがですね。フリオーソが前に行ったのを見て、ピタリと2番手につけました。相手はフリオーソと見たのでしょう。
斎藤
最後はフリオーソも食い下がって半馬身差でした。
竹見
着差はあまりつきませんでしたが、ルメール騎手の手ごたえには余裕がありました。内容的には、カネヒキリの完勝です。
斎藤
直線離されて3着のサクセスブロッケンはいかがですか。
竹見
スタートで出負けしましたね。そのぶん、フリオーソに先に行かれてしまいました。スタートして、最初の3コーナーあたりから向正面でペースが上がるまで、ずっと掛かっていて、内田博幸騎手は抑えるのに必死のようでした。それでよく3着に残ったと思います。スタート後に前に行ってペースを握れれば、もう少し違う結果だったかもしれません。

2009年1月27日(火)佐々木竹見カップ・ヴィクトリーチャレンジ

優勝馬 セトノギムレット

斎藤
竹見カップの2戦目を勝ったのは、今野忠成騎手のセトノギムレットでしたが、中団からの展開でした。
竹見
2100mでも、あまり流れが落ち着くことはありませんでした。こういう騎手交流レースは、案外テンが速くなります。
斎藤
向正面で先行勢の出入りが激しくなりました。
竹見
向正面の中間で、戸崎騎手が馬群の間から抜け出して流れが速くなりましたが、今野騎手はつられて行きませんでした。少し遅れて吉原騎手が外から行ったのを見て、今野騎手のほうは馬群の中を突く形で行きました。 4コーナーで吉原騎手が先頭に立ったときに勝たれたかと思いましたが、最後、今野騎手のセトノギムレットの脚色が抜けていました。
斎藤
たしかに、直線では吉原騎手が勝ったかと思うような展開でした。
竹見
吉原騎手も3~4コーナーで一気に上がっていって、うまく乗りましたよ。(金沢は冬季休催中で)しばらく乗っていなかったということで、調教も乗らずに、いきなりレースですからね。 普段、左回りではあまり乗る機会がないのに、コース取りもよかったし、2着に負けはしましたが、いい騎乗でした。