コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成21年度第6回開催 スパーキングサマーカップ 他

8月17日~21日の開催では、19日のメインに重賞・スパーキングサマーカップが行われ、笠松から遠征のマルヨフェニックスが南関東の強豪相手に勝利を収めました。 今回は、そのスパーキングサマーカップのほか、18日のJRA交流オーガストスター賞、20日の戸塚記念トライアル・芙蓉賞を振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

2009年8月19日(水)スパーキングサマーカップ

優勝馬 マルヨフェニックス

斎藤
マルヨフェニックスの尾島騎手は、無理には行かず5番手に控えました。
竹見
スタート後の直線で4頭を前に行かせて、サッと内に入れたところがよかったですね。1番人気のマンオブパーサー(戸崎騎手)が外を回りましたから、その内の一番いいところにつけました。
斎藤
4コーナーでうまく抜け出してきましたね。
竹見
3コーナーから真島騎手のヴァイタルシーズが早めに行ってくれたことで、マルヨフェニックスは4コーナーでうまく外に出せました。それにしても尾島騎手はうまく乗りました。馬のほうも、追ってからもよく伸びました。
斎藤
尾島騎手は今年、笠松のリーディングです。
竹見
いろいろなところによく遠征しているので、うまくなるのかもしれません。川崎の経験はあまりないようですが、ずっと内ラチ沿いを回って乗り慣れている感じです。

2009年8月18日(火)オーガストスター賞

優勝馬 ヴァロノス

斎藤
ヴァロノスは前回(7月29日)、デビュー以来9戦目で初めて2着に敗れましたが、今回は同じJRA500万円以下との交流で、3番手から抜け出して快勝でした。
竹見
この馬はまだまだ上のクラスに行ける力があると思います。
斎藤
4番枠からのスタートでしたが、今野騎手は意識して馬群の中に入れたのでしょうか。
竹見
ダッシュがいいので、それほど仕掛けなくてもテンに行けました。この3番手はすごくいい位置取りです。
斎藤
2番人気のナイキヴァザーリ(戸崎騎手)が前に行って、今野騎手としてはこれを目標にということでしょうか。
竹見
ナイキヴァザーリについていって、いつでも抜け出せるという展開です。
斎藤
勝負どころでペースが上がっても、楽についていっていますね。
竹見
3コーナー手前で外から真島騎手(ミヤビツヨシオー)が仕掛けてペースが上がりましたが、これにスッとついていけたのがよかったですね。このペースが上がったところで馬群がバラけました。前には目標にしているナイキヴァザーリ(2番人気)と、エスケイゴーしかいませんから、どこからでも抜けて行ける態勢になりました。前にいる馬が最後にバテるような馬だと前が詰まってしまうことがありますが、ナイキヴァザーリならそんなこともありませんから、今野騎手にとっては直線ではこの馬だけ交わせばというレースでした。
斎藤
ヴァロノスとナイキヴァザーリが強い競馬をしましたが、今野騎手はこのクラスなら楽に勝てるという乗り方に見えました。
竹見
追ってからの力が違いますね。最後は余裕がありました。前回、一度負けた経験が活きたと思います。前回負けたのは、重馬場だったことも影響したのではないでしょうか。大型馬だけに、道悪はあまりよくないかもしれません。

2009年8月20日(木)芙蓉賞

優勝馬 ツルノゴゼン

斎藤
ツルノゴゼンの山崎騎手は、3番手の外につけました。
竹見
ひとつ内枠、酒井騎手のチョウサンペガサスが2番手に行ったので、それをマークして行けばと考えていたのでしょう。
斎藤
直線もそのまま伸びて完勝でした。
竹見
直線追ってからよく伸びましたね。外から石崎騎手のカネゼンホープが追ってきましたが、最後、ツルノゴゼンはゴール前ではまた伸びています。
斎藤
チョウサンペガサスは7着でした。ここまで3連勝で、2番人気になっていましたが。
竹見
道中もいいペースで、4コーナーあたりまでは勝てるような感じの手ごたえでしたが、直線では追ってからバッタリでした。
斎藤
距離が長かったのでしょうか。
竹見
2000メートルが今回初めてだったからかもしれません。このあたりで負ける馬ではないので、この距離を一度経験して、次は走ってくるのではないでしょうか。