コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成22年度第4回開催 ホクトベガメモリアル・スパーキングレディーカップ 他

7月5~9日の開催では、7日にホクトベガメモリアル・スパーキングレディーカップJpnIIIが行われました。残念ながら川崎所属馬の出走はなく、実力に優る中央勢が上位3着までを独占しました。 6日の第1レース、特選2歳を勝ったヴェガスは、川崎所属の2歳馬では、今シーズン最初の2勝馬となりました。 また開催最終日、9日の後半は雨中のレースとなりました。第9レースとして行われた湘南江の島海の女王杯は、人気薄ながらベテラン森下博騎手のマルフクギガが逃げ切りました。 今回は、この3レースについて、お話をうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2010年7月7日(水)ホクトベガメモリアル・スパーキングレディーカップ

優勝馬 ラヴェリータ

斎藤
ラヴェリータがこのレース連覇を果たしましたが、今回は強いレースでした。
竹見
岩田騎手は、外枠からほとんど仕掛ず、内を見ながらまったく追わずに追走しました。向正面でも、相手と見たトーホウドルチェとともに抜け出しています。4コーナーあたりでも手ごたえは楽で、今回はスムーズなレースができて、この馬のまったくの勝ちパターンでした。
斎藤
地方馬の最先着は、船橋のテイエムヨカドーでした。
竹見
中央の3頭には少し離されましたが、時計も速かったですし、この馬なりのいいレースはしていると思います。昨年秋に中央から移籍して、南関東4場で休みなく使われています。大事に使っていけば、大きいところをとれる力はあると思います。

2010年7月6日(火)特選2歳1組

優勝馬 ヴェガス

斎藤
勝ったヴェガスは、スタート後はかなり頭が高い走りをしています。
竹見
まったくクビを使わずに、フワフワ走っています。こういう馬は、慣れてきたらメンコの耳覆いをとったほうがいいかもしれません。耳の使い方がまだまだなっていません。
斎藤
道中は、ずっと追い通しでした。
竹見
そうですね。それでいて、終いによく伸びて、2歳馬離れした力のある馬です。まだまったく真面目に走っていないので、将来は出世するかもしれません。ハナに行くばかりではなく、2歳のこの時期から控える競馬ができるのはいいですね。酒井忍騎手は、今年はいい2歳馬にたくさん乗っています。
斎藤
町田騎手のゴールドターフ(3着)は、直線でラチにぶつかって危ない場面がありました。
竹見
ムチで叩いたら、尻尾を振って、よれてしまいました。まだ馬に反抗心があるのかもしれません。あれがなければ2着はあったかもしれません。ただ、まだこの時期の2歳馬ですし、仕方ない面もあります。

2010年7月9日(金)湘南江の島 海の女王杯

優勝馬 マルフクギガ

斎藤
森下騎手のマルフクギガは、まったく人気がありませんでしたが、見事に逃げ切りました。
竹見
森下騎手は、スッと先手をとって、うまく乗りました。後ろから競りかけてくる馬もなく、マイペースでレースができました。馬場が悪いときは、やはりある程度前に行ったほうが断然有利です。
斎藤
残念だったのは、ゴール前で追い込んで届かなかったトーホウデート(2着)だったと思うのですが。
竹見
スタートダッシュはよかったのに、町田騎手が抑えてしまいました。逃げたマルフクギガのすぐ後ろについていけばよかったと思いますが、馬場が悪かったこともあって、外に出したかったのでしょう。外に出すタイミングがないまま、どんどん位置取りを下げてしまいました。4コーナーでも、もう少し我慢して内を突けばよかったのですが、外に出したところでロスがありました。最後はよく追い込んで2着まで来ましたが、こういう馬場では前に行った馬が止まりません。