コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成23年度第3回開催 関東オークス 他

6月13~17日の開催のメインは、JpnIIの関東オークスでした。直線はJRA勢の一騎打ちとなり、芝からダートに路線変更してキャリアを積んできたカラフルデイズが、初ダートのピュアオパールを差し切っての勝利。鞍上の岩田康誠騎手は09年のラヴェリータに続いての関東オークス制覇となりました。 また、14日にはスーパースプリントシリーズの一戦、川崎スパーキングスプリントが行われ、1番人気のコアレスピューマ(御神本訓史騎手)が、バトルファイターをアタマ差でしりぞけるという、こちらも接戦での決着となりました。 そのほか、今野忠成騎手のドリームストライドが勝った15日の涼風特別について、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2011年6月15日(水)関東オークス

優勝馬 カラフルデイズ

斎藤
ピュアオパールが逃げて、1番人気のカラフルデイズは3番手からでした。
竹見
ピュアオパールはスタートが速かったので吉田豊騎手は思い切って行きました。カラフルデイズの岩田騎手は、1番枠だったこともあって、ラチ沿いの内をぴったり回って3番手、一番いいところを進んでいました。マニエリスムの戸崎騎手も、一団馬群のいいところにつけました。
斎藤
直線でもピュアオパールが先頭でした。
竹見
そのまま逃げ切られたかと思いましたが、カラフルデイズはよく差し切りました。4コーナーを回って、あとは前が開くところを見極めるだけという競馬で、追ってからほんとうによく伸びました。
斎藤
そのほかの中央勢では、リアライズノユメとマルモセーラが3~4コーナーで一杯になった感じでした。
竹見
リアライズノユメは、距離が長かったようです。マルモセーラの武豊騎手は手ごたえが楽なように見えましたが、案外の結果でした。

2011年6月14日(火)川崎スパーキングスプリント

優勝馬 コアレスピューマ

斎藤
この900メートルという距離ではスタートが重要ですね。
竹見
本橋騎手のリッターヴォルトが出遅れましたが、ほかは五分のスタートでした。ダッシュ力があって先手を奪った馬が、この距離では有利ですね。テンが速くなって差してくる馬がいるときもありますが、やはりダッシュ力のある馬にはかないません。
斎藤
3~4コーナーから、御神本騎手のコアレスピューマと、石崎駿騎手のバトルファイターの一騎打ちになりました。
竹見
3~4コーナーあたりでは石崎駿騎手の手ごたえもよかったのですが、御神本騎手も直線よく追いました。内外離れていたのですが、御神本騎手が馬体を併せにいったことで、馬が勝負根性を発揮したのも勝因ではないでしょうか。
斎藤
直線に入ったところではバトルファイターが前に出ていましたが、最後はアタマ差でコアレスピューマが勝ちました。
竹見
このアタマ差は枠順の差でした。枠順が逆だったら、結果も逆だったかもしれません。時計も速かったですね。レコード決着でした。
斎藤
石崎騎手のバトルファイターは4コーナーで少し外に膨れていたようです。
竹見
このスピード勝負では、多少外に膨れてしまうのもしかたありません。
斎藤
6着まで人気順の決着でした。
竹見
3着のソロソログランプリは3馬身差でした。3~4コーナーのあたりで差が広がって、だいたいそのままの着差でゴールしましたから、このメンバーでは1、2着馬の力が抜けていたということでしょう。

2011年6月15日(水)涼風特別 C1一

優勝馬 ドリームストライド

斎藤
勝ったドリームストライドの今野騎手は、岩城方元騎手のギンザグリングラスを先に行かせて2番手からでした。
竹見
今野騎手はスタート後すぐに2番手につけて、テンから楽をしていました。
斎藤
惜しくも2着だった御神本騎手のブライトネスは後方からでした。
竹見
大外からのスタートで、無理には行かずに、馬を内の方に入れて行きました。今野騎手にとっては、1番人気馬(ブライトネス)が後ろにいるわけですから、ずっと気になっていたのではないでしょうか。御神本騎手も3コーナーあたりから徐々に位置取りを上げていきましたが、このあたりで手ごたえが楽だったのはこの2頭だけで、他の馬たちとは勢いが違いました。
斎藤
直線ではドリームストライドが抜けていましたが、ブライトネスもよく追い込みました。
竹見
御神本騎手は4コーナーで内を突きました。直線を向いて前が少し狭くなって外に持ち出す場面があったので、結果論になりますが、4コーナーでは外にも行けたので、外に出していたらどうだったでしょう。ゴール前では差し切るような勢いで勝ち馬に迫っていただけに、残念でした。