コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成23年度第9回開催 ロジータ記念 他

11月7~11日の開催では2つの重賞が行われました。3歳牝馬によるロジータ記念は、牝馬にして羽田盃と東京ダービーを制したクラーベセクレタが復活ともいえる勝利。2歳牝馬による地方全国交流のローレル賞では、ドラゴンシップが逃げ切りました。ともに船橋・川島正行厩舎で、年末の重賞に向けて勢いを感じさせる勝利となりました。 またこの開催の最終日には、川崎ジョッキーズカップ2011秋が行われ、今年デビューした田中涼騎手が先輩騎手たちを尻目に、見事に逃げ切りを決めました。 今回はこの3レースについて佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2011年11月9日(水)ロジータ記念

優勝馬 クラーベセクレタ

斎藤
クラーベセクレタは、戸崎騎手が行こうと思えば行けたのではないでしょうか。
竹見
スタートしてすぐに3番手につけました。的場騎手のナターレが行ってくれて、クラーベセクレタには絶好の展開になりました。スタンド前あたりでは隊列が決まって、どれも動けない感じの展開になりました。
斎藤
3コーナーから徐々に仕掛けていきましたね。
竹見
4コーナー手前では馬なりでナターレに並びかけて、直線で交わしていくときに余裕がありました。この世代の牝馬では、やはり力が抜けています。

2011年11月11日(金)ローレル賞

優勝馬 ドラゴンシップ

斎藤
1番人気、御神本騎手のドラゴンシップがハナに行きました。
竹見
内枠だったこともありますが、ドラゴンシップはダッシュ力もあります。
斎藤
3~4コーナーあたりでも、手応えはかなり楽に見えました。
竹見
4コーナーでは馬が耳を立てていて、まだまだ余裕がありました。
斎藤
そして直線では突き放しました。
竹見
追い出されたら終いはもっと伸びるかと思いましたが、それほどでもなかったですね。今回は雨の不良馬場でしたが、乾いた馬場ならまた結果は違っていたかもしれません。4コーナーでもまだ中団だったショコラヴェリーヌは、ゴール前よく差を詰めてきました(2着)。そのショコラヴェリーヌや、3着のクリヤマキアートあたりは次回逆転できるかもしれません。年末の東京2歳優駿牝馬までは1カ月以上ありますから、そのほかにも変わってくる馬がいても不思議はありません。

2011年11月11日(金)川崎ジョッキーズカップ

優勝馬 エンドスター

斎藤
逃げたのは、田中涼騎手のエンドスターでした。
竹見
田中騎手は、スタート後は他馬に競りかけられることもなく、すんなりハナに立ちました。そして向正面では、1番人気となった今野騎手のサバンナが、エンドスターを前に見るいい位置につけました。
斎藤
あまり無理に競りかけてくる馬もいなかったですね。
竹見
エンドスターは3~4コーナーあたりでも単独先頭で楽な手応えで、それでもサバンナの今野騎手は、直線では差し切れると思っていたのではないでしょうか。最後は懸命に追っていました。
斎藤
結局は田中騎手が逃げきりました。
竹見
エンドスターにとっては、今回は、内枠であったことや、見習い騎手の減量が3キロあって、しかも馬場が悪いので、そうなるとやはり逃げ馬が有利です。サバンナも直線で一旦はエンドスターに並びかけていくかに思えましたが、最後は振り切られてしまいました。若手騎手が勝つのは、素直にうれしいですね。