コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成30年度第6回開催 スパーキングサマーカップ 他

 8月20〜24日の開催でメインとして行われたのはスパーキングサマーカップ。勝ったのは浦和のウェイトアンドシーで、鞍上は今野忠成騎手でした。5月の川崎マイラーズに続く重賞2勝目となりました。  開催初日には恒例の川崎ジョッキーズカップが行われ、1番人気デルマヤブラコウジに騎乗した瀧川寿希也騎手の快勝でした。また2日目に行われた星月夜特別では、直線での追い比べからナムラミルクが抜け出しました。鞍上の藤江渉騎手は、怪我から復帰後の初勝利となりました。  今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2018年8月22日(水)スパーキングサマーカップ

優勝馬 ウェイトアンドシー

斎藤
今回も今野騎手のウェイトアンドシーが逃げました。
竹見
ウェイトアンドシーが好スタートから先頭に立ったら、2番手の森泰斗騎手は少し下げて、無理に競りかけてはきませんでした。ほかにくる馬もなく、ウェイトアンドシーはいいペースで逃げれられました。今野騎手は折り合いをつけて気持ちよく走らせています。こういうペースで行かれたら逃げた馬が有利です。
斎藤
ゴール前は、クビ、クビ、クビという大接戦でした。
竹見
御神本騎手のモンドアルジェンテがゴール寸前、一気に伸びて、届かなかったのは残念でした。もう少し前に行っていればという感じもしますが、こういう差してくる馬は前に行ったら行ったで、伸びなかったりするものです。森騎手のオメガヴェンデッタも最後までつかまえることはできませんでした。差のない3番手を追走していた町田騎手のアルマワイオリは内で食い下がりましたが、最後の伸びが足りませんでした。ウェイトアンドシーは、マイペースで逃げられたことが勝因でしょう。この馬は逃げられれば強い。ただ、もし競りかけてくる馬がいて厳しいペースになっていれば、モンドアルジェンテに差されていたかもしれません。ペースが向いたとはいえ今野騎手の好騎乗でした。

2018年8月20日(月)2018夏・川崎ジョッキーズカップ賞

優勝馬 デルマヤブラコウジ

斎藤
瀧川騎手は好スタートでしたが、控えて3番手の一角でした。
竹見
スタートがよかったですから、瀧川騎手は逃げようと思えば逃げられたと思います。ただ、中越騎手が気合を入れて来て、さらに山林堂騎手もハナを取りに来ましたから、無理には主張しませんでした。結局1〜2コーナーで山林堂騎手のエスプリローズが先頭に立ちましたが、山林堂騎手は控えて行ってもよかったと思います。瀧川騎手にとっては2頭が行ってくれたぶん、いいペースになりました。向正面ではペースが上がって縦長のバラバラの展開になりました。
斎藤
4コーナーで中越騎手が前をとらえにかかって、さらに直線では瀧川騎手が差し切りました。
竹見
瀧川騎手は直線を向いて前の2頭の外に持ち出して、終始レース運びに余裕がありました。また馬の力も抜けていました。中越騎手もうまく乗っていましたが、3着でした。結局、前に行った3頭での決着でした。C3クラスということもあって、メンバーに能力差があったかもしれません。

2018年8月21日(火)星月夜特別

優勝馬 ナムラミルク

斎藤
6頭立てと少頭数でしたが、スタート後の直線では先行争いになりました。
竹見
そのうちの2頭が飛ばして3番手以下を離し、ハイペースになりました。ナムラミルクの藤江騎手は外枠だったので行くに行けず、結果的に下げて行ったのはよかったと思います。そして的場騎手だけは最初から先行争いには加わらず、すぐに下げて内に入れ最後方から、少頭数ではこういうコースの取り方が、的場騎手はうまいです。
斎藤
3コーナーあたりでは、前2頭と3番手以下とでは、まだ差がありました。
竹見
2番手の橋本騎手(ペンドラゴン)が、先頭の秋元騎手(マイネルデアデビル)に並びかけていってペースが上がりました。橋本騎手は仕掛けるタイミングが少し早かったかもしれません。4コーナーか、直線を向いたあたりまで我慢していてもよかったと思います。そのうしろ、前2頭からは離れたところからの追走だった笹川騎手(インザネイビー)は3着でしたが、いいタイミングで仕掛けることができました。
斎藤
ゴール前では形勢一変という結果でした。
竹見
前に行った馬たちは直線半ばで一杯になって、ゴール前はうしろから行った3頭の追い比べでした。3番人気、5番人気での1、2着。終いの脚を生かしてゴール前で抜け出した藤江騎手のナムラミルクが勝って、最後方から外を追い込んだ的場騎手のレソルテが2着。2人とも好騎乗でした。