コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成24年度第8回開催 鎌倉記念 他

10月15~19日の開催のメインに行われたのは、2歳馬による全国交流、鎌倉記念。1番人気に支持されたのは道営のクラグオーでしたが、勝ったのは船橋のインサイドザパーク。鞍上も船橋の左海誠二騎手でした。 最終日、19日のメインとして行われた神奈川宿特別では、ベテランの森下博騎手がジャクソンライヒを約1年半ぶりの勝利に導きました。また、同日最終レースに行われた浦島特別では、今野忠成騎手のグランディオーソが1番人気にこたえて強い勝ち方を見せました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2012年10月17日(水)鎌倉記念

優勝馬 インサイドザパーク

斎藤
勝ったインサイドザパークは、6、7番手あたりからの追走でした。
竹見
スタートでダッシュがつかなかったここ2戦に比べれば、それでもいい位置につけたと思います。スタート後はほとんど仕掛けずに、左海誠二騎手は落ち着いて、余裕を持って乗っているように見えます。
斎藤
直線では外に持ち出して差し切りました。
竹見
ギリギリでとらえたところがゴールでしたが、ゴール前でいい脚を使いました。勝ち方がいいです。2歳のこの時期に、馬を馬群の中に入れて、直線外に持ち出して勝つというレースぶりは、将来が楽しみです。大事に使っていけば来年は期待できそうです。2着、3着に北海道からの遠征馬が粘りましたが、やはり経験を積んでいるのは大きいと思います。

2012年10月19日(金)神奈川宿特別

優勝馬 ジャクソンライヒ

斎藤
ジャクソンライヒの森下騎手は、スタート後はあまり無理せず、それでもハナに行きました。
竹見
スタート後はあまり行きっぷりがよくありませんでしたが、この馬は、やはりハナに行って力を発揮します。ほかに、的場騎手のプルシャンブルー、御神本騎手のローズデュルワが行こうと思えば行けるような勢いでしたが、ジャクソンライヒが行くのはわかっているので、無理には競りかけて行きませんでした。無理せずハナに立てたジャクソンライヒは、向正面からはスピードに乗って後続をじわじわと離して行きました。
斎藤
ゴール前では、外から伸びてきたローズデュルワにクビ差まで迫られました。
竹見
直線では一杯になって、一旦は位置取りを下げたローズデュルワが迫ってきましたが、なんとかクビ差でしのぎました。向正面で楽な手ごたえのまま後続を引き離したことが、最後の粘りにつながったのではないでしょうか。

2012年10月19日(金)浦島特別

優勝馬 グランディオーソ

斎藤
今野騎手のグランディオーソは、無理には行かず、5、6番手からでした。
竹見
内の馬を見ながら先行勢のうしろで、馬なりのままという感じでした。向正面では外から位置取りを上げて行きましたが、このあたりでの手ごたえも楽なままでした。
斎藤
4コーナーで先頭のリーヴザネストに並びかけて、直線で追い出されるとあっという間に突き放しました。
竹見
まったく力が違うというレースぶりでした。こういう馬に乗っているぶんには、騎手は楽ですね(笑)。このクラスで1分32秒6というタイムも優秀です。まだ3歳で、これで6戦4勝、2着2回。このクラスでは力が違いました。B級の上のほうのクラスでも活躍できるのではないでしょうか。