コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成26年度第4回開催 スパーキングレディーカップ 他

6月30日~7月4日の開催のメインとして行われたスパーキングレディーカップは、武豊騎手のサウンドガガが一気にハナを奪うと、最後は詰め寄られながらも逃げ切りました。 2日目に行われたC2クラスの海開き特別では、杉村一樹騎手のスガキュールが、スタート後は控えながら、直線では力強く抜け出しました。また最終日のB2クラス、潮騒特別では、山崎誠士騎手のミカドアクアラグナがうまく内を突いて直線で抜け出しました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2014年7月2日(水)スパーキングレディーカップ

優勝馬 サウンドガガ

斎藤
武豊騎手のサウンドガガが外枠からハナを主張して行きました。
竹見
ハナに行くと決めていたのでしょう。一気に行きました。さすがに短距離を使ってきただけあってスピードが違います。これだけスピードがあると、競りかけて来る馬はいませんから、ハナに立ってしまえばマイペースでレースを運べるのもこの馬の強みです。
斎藤
4番手を追走していたカチューシャがゴール前で迫って競り合いになりました。
竹見
最後は一杯になりながら、よくしのぎました。武騎手のペース配分がよかったと思います。
斎藤
人気のエスメラルディーナとアクティビューティは、3コーナーですでに一杯でした。
竹見
エスメラルディーナは、スタートもよかったですし、2番手でそれほど無理をしているようには見えなかったですが、今回は案外の結果でした。サウンドガガのペースが速かったですから、それを追走して厳しいレースになったこともありましたが、前回の反動もあったのか、本調子ではなかったと思います。アクティビューティももっと走っていい馬なので、こちらも本来の走りではなかったようです。3着には浦和のマイネエレーナが入りましたが、2着からは7馬身差でした。勝ち馬に1分39秒台で走られてしまうと、地方馬にはやはり厳しいです。

2014年7月1日(火)海開き特別

優勝馬 スガキュール

斎藤
杉村騎手のスガキュールは1番人気。外の馬を行かせて5番手あたりからでした。
竹見
外の3頭を行かせてその後ろで、内には入らず外に持ち出して行っています。おそらく砂をかぶりたくなかったのでしょう。スタートしてすぐに外に行こうとしていますから、最初からそのつもりだったのでしょう。調教師からそういう指示があったのかもしれません。
斎藤
スガキュールは、向正面から位置取りを上げて、3~4コーナーでも手ごたえは抜群でした。
竹見
3~4コーナーでは他馬と違う手ごたえで一気にまくってきました。直線ではさらに伸びて抜け出して、強い勝ち方でした。さらに上のクラスにいっても勝負になるでしょう。
斎藤
2着争いは接戦で、瀧川寿希也騎手のトウカイピアレスが2着でした。
竹見
瀧川騎手は最後によく伸びてきました。道中我慢しているので、最後にそのぶん伸びました。最近は大井の馬にも乗る機会が増えたようで、かなり乗れるようになってきました。

2014年7月4日(金)潮騒特別

優勝馬 ミカドアクアラグナ

斎藤
勝った山崎騎手のミカドアクアラグナは、内で下げて6番手あたりからでした。
竹見
外目から3頭が前に行って、1番人気の的場騎手(プリンストロイア)がその後ろの4番手、山崎騎手はさらにその後ろからでした。
斎藤
山崎騎手は4コーナーで内を突いて抜けてきました。
竹見
勝敗の分かれ目は4コーナー手前でした。的場騎手が外に行ったのを見て、山崎騎手は内に切り替えました。先行した3頭が外に膨れ気味だったので、内に行ったと思います。これは好判断でした。
斎藤
最後は的場騎手のプリンストロイアを半馬身差で振りきりました。
竹見
山崎騎手にとっては直線でうまく前があいてくれたので、そこから抜けて来ました。対して的場騎手は、先行していた3頭の外に持ち出さなければならず、さらに外から来た馬との間に挟まれるようなところもありました。最後はよく伸びていますが、半馬身の差は、コースどりの差だったと思います。ただこればかりはレースのアヤなので仕方ありません。川崎コースの4コーナーはそのあたりが難しいところです。とにかく山崎騎手はうまく乗ったと思います。