コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成26年度第6回開催 スパーキングサマーカップ 他

8月18日~22日の開催のメインとして行われたスパーキングサマーカップは、浦和・小久保智厩舎のワンツー。勝ったのは6番人気トーセンアレスで、鞍上は船橋の張田京騎手でした。 19日に行われたJRAとの条件交流・オーガストフラワー賞は、今野忠成騎手のモフモフが断然人気にこたえての快勝でした。また20日の最終レースに行われた西瓜(すいか)特別は、逃げて直線でも先頭だった町田直希騎手のリアルアビリティーがラチに接触、そこを抜けだしたのが、山崎誠士騎手のリュウグウノツカイでした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2014年8月20日(水)スパーキングサマーカップ

優勝馬 トーセンアレス

斎藤
トーセンアレスは5、6番手あたりからの追走でした。
竹見
前は4頭が競り合う形で、特に外の2頭が引かずに競りかけていきましたから、最初のゴール板あたりでも競り合ったままペースが速くなりました。それで5番手以下は無理にはついていきませんでした。御神本騎手のミラーコロ、張田騎手のトーセンアレスあたりは、いいペースで追走できたと思います。
斎藤
張田騎手は3コーナーから内を突きました。
竹見
これは張田騎手がうまく乗りました。4コーナーでも内で我慢して、直線を向いてちょうど内が空きました。対して御神本騎手は、向正面で一旦下げてトーセンアレスのすぐうしろを追走する形になり、直線を向いたところでは前が壁になってしまいました。これでは外に持ち出すしかなく、4頭分ほど外に切り替えました。
斎藤
直線ではトーセンアレスが一瞬にして突き放しました。
竹見
トーセンアレスはいい脚を使いましたが、御神本騎手のミラーコロもよく伸びています。2着のジョーメテオをとらえきれず3着でしたが、外に持ち出すロスは大きかったです。コースどりの判断というより、今回は運が大きかったですね。それにしても小久保調教師は、2着のジョーメテオとワンツーで、翌週のアフター5スター賞(大井)もサトノタイガーで勝って、勢いがあります。

2014年8月19日(火)オーガストフラワー賞

優勝馬 モフモフ

斎藤
ダッシュよく先頭に立ったのはキョウエイスパークで、今野騎手のモフモフはピタリと差のない3番手を追走しました。
竹見
モフモフはダッシュ力もあります。外枠からでもすぐに先行集団にとりつきました。枠順の関係で、キョウエイスパーク、シャムネコで、モフモフという位置取りになりました。ただモフモフは3連勝中でしたから、3番手につけた時点で、今野騎手はある程度勝てると思ったのではないでしょうか。
斎藤
3コーナー過ぎから前をとらえに行きました。
竹見
3コーナーあたりでも手ごたえは楽なままで、直線で追い出されると、いい伸びを見せて、あぶなげのない勝ち方でした。
斎藤
モフモフはデビュー戦で負けたあと、長い休みがあって、今年5月に復帰してからこれで4連勝です。
竹見
まだまだ勝ち方に余裕がありますから、この馬は重賞に出てくるくらいに出世するかもしれません。

2014年8月20日(水)西瓜(すいか)特別

優勝馬 リュウグウノツカイ

斎藤
山崎騎手のリュウグウノツカイは、好スタートも控えて内の4番手からでした。
竹見
おそらく外の馬が行くのはわかっていたでしょうから、ラチ沿いの一番いい位置をとりました。
斎藤
逃げた町田騎手のリアルアビリティーが直線でも余裕があっての単独先頭で、完全に勝ったかと思いましたが、内によれてラチに接触してしまいました。
竹見
リアルアビリティーは普段から気性の悪さが目立っています。左ムチを入れたのに反応してラチにぶつかって、危ないところでした。競り合って力を発揮する馬なので、早めに抜け出さずに、後続を引きつけたままだったら素直に走っていたかもしれません。
斎藤
そこを抜けてきたのがリュウグウノツカイでした。
竹見
4コーナーから追い出されるとしっかり伸びてきました。正攻法の競馬で、もともと馬に力もありました。