コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成26年度第13回開催 エンプレス杯 他

3月開催のメインとして行われたエンプレス杯は、JRA勢が上位を独占。これが引退レースとなったワイルドフラッパーを直線で突き放したのは、昨年の関東オークスで3着だったアムールブリエでした。そして地方勢唯一の掲示板は、川崎・鈴木義久厩舎に転入初戦となったアスカリーブルでした。 そのほか、山林堂信彦騎手のシゲルジダイマツリが4馬身差で圧勝した3歳馬による望春賞、瀧川寿希也騎手のトウカイピアレスが差し切った陽春特別の3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2015年3月4日(水)エンプレス杯JpnII

優勝馬 アムールブリエ

斎藤
逃げたのは、今回森泰斗騎手が騎乗したワイルドフラッパーで、直後でアクティビューティがマーク。中央勢が前に固まりました。
竹見
ワイルドフラッパーはダッシュよくハナに行って、内田騎手のアクティビューティもすぐに直後の2番手につけました。今回のメンバーでは中央勢と地方勢とは力の開きがあって、レース前半から差がついてという展開で、平均ペースで流れていました。
斎藤
勝ったアムールブリエは4番手からでした。
竹見
濱中騎手が3コーナー手前から仕掛けていくと、すぐに反応して、ワイルドフラッパーの直後にとりついています。4コーナーあたりでは、ワイルドフラッパーの手応えも楽に見えましたが、直線ではアムールブリエが楽に突き放しました。ワイルドフラッパーは、休み明けで、これで繁殖入りということもあったかもしれません。森騎手もいいレースはしたと思います。これで負けたのでは仕方ありません。
斎藤
地方最先着は、5着のアスカリーブルでした。
竹見
アスカリーブルの今野騎手は、前の中央の馬たちは追いかけませんでした。転厩初戦ということもあっただろうし、ついていけばおそらく潰れてしまったでしょうから、それで5着というのは仕方ない結果だと思います。

2015年3月6日(金)望春賞

優勝馬 シゲルジダイマツリ

斎藤
シゲルジダイマツリは、スタート後かなり掛かっているようでした。
竹見
気性が悪いところがあるとは聞いていましたが、スタンド前から1コーナーあたりでは、山林堂騎手はかなり持っていかれています。抑えるのに必死でした。
斎藤
その後はなんとか3番手で我慢しました。
竹見
それでも3コーナー過ぎでは、もう抑えきれずに先頭に立っています。直線では楽に突き放して、抜け出したら馬が遊んでいました。
斎藤
もう少し折り合いがつくようになれば、というところでしょうか。
竹見
外々を回って、直線突き放してという強い競馬でした。最近の時計がかかる馬場を考えれば、1分38秒台というのは、速いタイムです。この馬は3番手あたりで、前に馬を置いて我慢する競馬ができるようになれば、もっと強くなると思います。

2015年3月6日(金)陽春特別

優勝馬 トウカイピアレス

斎藤
瀧川騎手のトウカイピアレスは5番人気。控えて5、6番手からでした。
竹見
外枠からのスタートでしたが、控えて内に入れています。このあたりは落ち着いてうまく乗っていました。そのまま4コーナーの手前あたりまで我慢しています。
斎藤
4コーナーでは外に持ち出しました。
竹見
うしろから他の馬に来られたら、外に出せずに内に閉じ込められるところでしたが、来る前にと思って追い出したのでしょう。もう少しタイミングが遅ければ、出られなかったかもしれません。このあたりはいい判断でした。直線では今野騎手のエイシンノアが逃げ切るかと思いましたが、トウカイピアレスはぐいぐい伸びて差し切りました。瀧川騎手は、騎乗姿勢もだいぶよくなったし、追ってからもよくなりました。