コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成27年度第1回開催 クラウンカップ 他

3月から4月にかけて年度替わりの開催のメインに行われたのは羽田盃トライアルのクラウンカップ。勝ったのは川崎・河津裕昭厩舎のウインバローラスで、鞍上はJRAの柴田大知騎手でした。 また大井記念トライアルの花見月杯は、今野忠成騎手のドラゴンヴォイスが豪快に差し切りました。そして恒例の2015春・川崎ジョッキーズカップは、伊藤裕人騎手のアインディアマントが1番人気にこたえて勝利しました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2015年4月1日(水)クラウンカップ

優勝馬 ウインバローラス

斎藤
勝った柴田大知騎手のウインバローラスは、控えて5番手あたりを追走していました。
竹見
柴田騎手はラチ沿いのいい位置につけたと思います。
斎藤
4コーナーでは、内の狭いところからよく抜け出してきました。
竹見
川崎コースの難しいところを、よく抜け出せたと思います。柴田騎手は、川崎コースは条件交流などでよく乗りに来ていますから、慣れていたこともあってうまく乗ったと思います。この馬は以前から見ていて、いい馬だと思っていました。
斎藤
直線を向いた時には、内田博幸騎手のナイキアフォードが勝ったような勢いでした。
竹見
内田騎手は直線まで楽をしていて、抜け出したときは勝たれたかと思いましたが、追ってからの伸びがありませんでした。

2015年3月31日(火)花見月杯

優勝馬 ドラゴンヴォイス

斎藤
楢崎騎手のブルロックが逃げて、今野騎手のドラゴンヴォイスは中団よりうしろからの追走でした。
竹見
楢崎騎手はスローに落としていいペースで逃げていました。ハナを取るのにテンに少し無理をしましたが、途中でペースを落とせたぶん、最後も粘れたと思います。
斎藤
今野騎手は3コーナー過ぎでも追い出しを我慢していました。
竹見
ずっと抑えていって、向正面からペースが速くなって他の馬が仕掛けていったところでも、今野騎手だけは4コーナーあたりまで我慢しています。ただ3~4コーナーでは行き場がなくて、仕方なく追い出すのを待っていたのかもしれません。そのまま4コーナーではラチ沿いを突きましたが、直線を向いていいところが開いてくれました。結果的にそれが最後の伸びにつながりました。もし4コーナーで外に出していたら、最後は届かなかったかもしれません。今野騎手は落ちついて、うまく乗りました。テンに無理をせずに、終いの脚を生かそうというレースをしたのがよかったと思います。
斎藤
楢崎騎手が2着に粘って、金子騎手のドリームザネクストが3着でした。
竹見
金子騎手も中団のいい位置を追走していたのですが、3~4コーナーで外から酒井忍騎手のキタサンオーゴンに被されて、4コーナーでは行き場をなくしたような感じになってしまいました。直線でも前が壁になって、最後は内に切り替えましたが、逃げ馬もとらえきれず、ちょっと残念な競馬でした。

2015年4月2日(木)2015春・川崎ジョッキーズカップ

優勝馬 アインディアマント

斎藤
伊藤騎手のアインディアマントは、縦長の中団よりうしろからの追走でした。
竹見
平均ペースでいい流れだったと思います。
斎藤
伊藤騎手は、3~4コーナーで外を回してきたのは自信があってのことでしょうか。
竹見
そうですね。外目を回ってきて、勢いがついていますから、それでわざわざ内に入れる手はないですから。人気にはなっていましたが、落ち着いてうまく乗りました。
斎藤
今野騎手のロミオをうしろからマークする形で、最後は外から並びかけて追い比べとなりました。
竹見
2頭とも直線ではぐんぐんと伸びてきました。今野騎手のほうは、これで負けたのではしかたありません。伊藤騎手は馬へのあたりもいいし、追ってからの姿勢も崩れません。騎乗数が増えてくれば、もっと活躍できると思うのですが。