コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成27年度第2回開催 川崎マイラーズ 他

5月11~15日の開催のメインとして行われたのは川崎マイラーズ。勝ったのは大井のソルテで、久々の重賞勝利となりました。鞍上は吉原寛人騎手でした。 12日のJRA交流・メイフラワー賞で7番人気のトウカイボーイを勝利に導いたのは山林堂信彦騎手でした。 また、この開催から川崎に期間限定所属として騎乗をはじめた高知の赤岡騎手は、開催中5勝を挙げる活躍。その中から、クリーンアイリスで制した15日のハナミズキ賞を取り上げました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2015年5月13日(水)川崎マイラーズ

優勝馬 ソルテ

斎藤
外枠からピエールタイガーが行って、ソルテは2番手につけました。
竹見
ピエールタイガーの真島騎手は、外枠でしたから、かなり無理して行きました。ソルテはそのぶん楽に好位の2番手がとれました。ピエールタイガーが行くのはわかっているので、吉原騎手ははじめからそのうしろの2、3番手にと考えていたと思います。終いがいい馬ですから、その位置をとったところで、ある程度は勝てると思ったのではないでしょうか。
斎藤
ソルテは3コーナー過ぎで先頭に立って、直線は突き放すばかりの楽勝でした。
竹見
今回は強いレースをしました。末脚のいい馬で、このくらいは走ってもおかしくない馬です。管理する寺田新太郎調教師は馬を大事に使う人で、ソルテも大事に使われてきたことで結果につながりました。逃げたピエールタイガーは残念でした(8着)。一時は重賞を勝って活躍しましたが、最近はなかなか勝ちきれません。

2015年5月12日(火)メイフラワー賞

優勝馬 トウカイボーイ

斎藤
トウカイボーイの山林堂騎手は押してハナを取りに行って、アグネスファインと競り合っての先行でした。
竹見
トウカイボーイは気性があまりよくないので、むしろ競り合う形になったのはよかったと思います。山林堂騎手は、わざと併走する形にして、馬を落ち着かせていたんだと思います。3コーナー過ぎでは、さらに外からシゲルジダイマツリも来て、2頭に並ばれても慌てず落ち着いていました。
斎藤
直線を向いて追い出すと、突き放しました。1番人気のシゲルジダイマツリを振り切って、7番人気での勝利でした。
竹見
山林堂騎手は、トウカイボーイと、今野騎手で2着だったシゲルジダイマツリと、普段は両方とも調教をつけています。どちらも気性があまりよくなくて、山林堂騎手でないとダメだということで任されているようです。人気薄のほうでも勝ったのは、両方の馬のクセをよく知っていたからでしょう。それにしても落ち着いてうまく乗ったと思います。

2015年5月15日(金)川崎ヴィーナスシリーズ2 ハナミズキ賞

優勝馬 クリーンアイリス

斎藤
瀧赤岡騎手のクリーンアイリスは6番人気。控えて4番手の内目を追走しました。
竹見
赤岡騎手はとにかく落ち着いていました。3コーナーの勝負どころでもうしろから2、3頭が仕掛けて来ましたが、それを先に行かせて追い出しを待っています。
斎藤
4コーナーから直線では、内から抜けてきての快勝でした。
竹見
4コーナー手前ですぐ外に並んでいた杉村騎手のコスモアステリクスが2頭分のさらに外を回したのに対して、赤岡騎手は内で我慢していました。コスモアステリクスはゴール前でいい脚を使って2着に入りましたが、勝ったクリーンアイリスとは2馬身差がありました。さすがに逆転までは無理だったかもしれませんが、4コーナーでのコースどりの差がなければ、もう少しきわどい勝負になっていたかもしれません。赤岡騎手は、コースの取り方と、4コーナーまで追い出しを我慢したところでの完勝でした。