コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成27年度第8回開催 鎌倉記念 他

10月19日~23日の開催のメインとして行われた2歳重賞・鎌倉記念は、八木正喜厩舎のポッドガイが勝ってデビューから5連勝。鞍上は、大井の矢野貴之騎手でした。 そのほか、20日に行われたJRA認定の小町特別では、町田直希騎手のジェイエレガンスが直線見事な差し切り勝ちを決めました。また23日の第2レースに行われたスパーキングデビューでは、山崎尋美厩舎、山崎誠士騎手のシャーロットラブが勝ちました。 今回は2歳戦3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2015年10月21日(水)鎌倉記念

優勝馬 ポッドガイ

斎藤
的場騎手のアンサンブルライフは、スタートでよれて隣の馬とぶつかる場面があって、3番手からでした。
竹見
前走の道悪で逃げ切っていたこともあったのでしょう、1~2コーナーで外に持ち出しました。あそこは3番手の内でじっと我慢していたほうがよかったと思います。ただ的場騎手の気持ちも前に行っていたでしょうから仕方ない面もあります。それで向正面では早目に先頭に立ちました。最後粘り切れなかったのは、そのぶんがあったかもしれません。我慢していれば、最後はもう少し粘れていたかもしれません。
斎藤
勝ったポッドガイは、アンサンブルライフを見る形で、4番手からでした。
竹見
矢野騎手にしてみれば、目標のアンサンブルライフが早目に先頭に立ってくれたことでレースがしやすかったと思います。ポッドガイは、追ってからの伸びがいいですね。距離が伸びればもっといいレースをするかもしれません。勝った馬はもちろんですが、アンサンブルライフも力のある馬だと思います。将来的にも楽しみです。ただレースの上手さは、現時点では勝ったポッドガイのほうが上でした。

2015年10月20日(火)小町特別

優勝馬 ジェイエレガンス

斎藤
町田騎手のジェイエレガンスは、控えて中団よりうしろからでした。
竹見
逃げた左海騎手(エポナジャスミン)がかなり飛ばして行きました。大外枠からだったので、行くのは決めていたのでしょう。2番手の増田騎手(キョウエイビーナス)も速かったと思います。1コーナーまではペースが速かったですが、それでも2コーナーあたりでペースを落としたので、前の馬もバテることはありませんでした。
斎藤
勝ったジェイエレガンスは、4コーナーでもまだ前から差のある5番手あたりでした。
竹見
町田騎手はうまく乗ったと思います。内をぴったり回ってきてという、コース取りも良かったです。ゴール前はよく伸びました。同じタイミングで上がってきた瀧川騎手のタワーオブクーンも直線よく伸びてきましたが、3着だったのは4コーナーで外を回してきたぶん、勝ち馬とはコース取りの差はあったでしょう。
斎藤
12番人気、増田騎手のキョウエイビーナスが2着に粘りました。
竹見
逃げ馬がもう一度ペースアップした3コーナー手前からついていったのでどうかと思いましたが、最後はよく粘ったと思います。

2015年10月23日(金)スパーキングデビュー

優勝馬 シャーロットラブ

斎藤
勝った山崎誠士騎手のシャーロットラブは、ゲートの出があまりよくなく、最後方からの追走でした。
竹見
おそらく終いの脚がいいことは、能検や普段の調教である程度わかっていたと思います。将来のことを考えて、わざと砂をかぶせるレースを経験させたのかもしれません。
斎藤
先行した2頭、町田騎手のエメンタールベルンと、増田騎手のドリームパッカードが直線でも先頭で競り合っていました。
竹見
普通なら先行した2頭の決着だったと思いますが、シャーロットラブは3~4コーナーでもまだ5番手あたりから、ゴール前ではぐんぐん伸びて、並ぶ間もなく差し切りました。この位置の取り方で新馬戦を勝つというのは大変な実力だと思います。将来性もあります。山崎騎手も出遅れたからといって慌てず、コースどりもよかったと思いますし、少しずつ位置取りを上げていったのもよかったと思います。