コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成28年度第3回開催 川崎マイラーズ 他

5月23日~27日の開催でメインとして行われたのは川崎マイラーズでした。勝ったのは船橋のモンサンカノープス、鞍上は、目下南関東リーディング2位、大井の矢野貴之騎手でした。 24日の最終レース、夏霞特別は、船橋の新人・岡村健司騎手が直線先頭で押し切ろうかというところ、並ぶ間もなく差し切ったのが、酒井忍騎手のヤマニンバリトンでした。また最終日の第9レース、平成の大改修・新・小田原城特別は、山崎誠士騎手のシゲルジダイマツリが1番人気にこたえて5馬身差の圧勝となりました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2016年5月25日(水)川崎マイラーズ

優勝馬 モンサンカノープス

斎藤
1番人気のブルーチッパーは、スタートでタイミングが合わなかったのでしょうか。
竹見
トモを落としたのかどうか、完全に出遅れてしまいました。外に持ち出して1コーナーに入る前に2番手まで押し上げましたが、逃げ馬が出遅れてしまっては厳しいです。ブルーチッパーはハナに行かないと持ち味を発揮できません。
斎藤
逃げたのは3番人気のレガルスイ、石崎駿騎手でした。
竹見
スタート後、先頭はセイントメモリーでしたが、レガルスイが交わしてハナを取りに行きました。石崎騎手は楽なペースに落としての逃げになりました。勝ったモンサンカノープスの矢野騎手は、先行争いにはからんでいきませんでした。
斎藤
モンサンカノープスは前半は6番手。向正面から徐々に位置取りを上げてきて、4コーナー手前では2番手まで押し上げました。
竹見
石崎騎手が4コーナー手前まで楽な手ごたえで逃げていたのに対して、矢野騎手は3コーナー過ぎから追い通しでした。それでどうかと思いましたが、最後までしっかり伸びていました。石崎騎手もマイペースの逃げに持ち込んで、これ以上ないレースをしていましたから、モンサンカノープスが差し切っての半馬身差は力の差でした。

2016年5月24日(火)夏霞特別

優勝馬 ヤマニンバリトン

斎藤
1番人気に支持された酒井忍騎手のヤマニンバリトンは、2番枠から好位の内につけました。
竹見
酒井騎手は最初の直線でちょっと狭くなる場面がありました。5番の田中力騎手(エスケイパサー)が内に入れてきたところで酒井騎手は行き場をなくしそうになりましたが、おそらく酒井騎手が田中騎手に声をかけたのでしょう。酒井騎手はそれで4番手の絶好位をキープできました。もしあそこで酒井騎手が下げていれば、先行集団のうしろの位置取りになって、もっと苦しいレースになっていたかもしれません。
斎藤
新人の岡村騎手は3番枠から外に持ち出して先行集団のうしろから、3コーナーで一気に先頭に立ちました。
竹見
岡村騎手はちょっと動くのが早かったです。3番手あたりまで進出したところで、4コーナーの手前まで仕掛けを待ってもよかったかもしれません。酒井騎手は前と少し離された位置でしたが、3~4コーナーあたりで息を入れて、4コーナーを回るところで外に持ち出して追い出しています。岡村騎手は直線単独先頭で粘っていましたが、酒井騎手がゴール前で一気に差し切りました。正攻法で力のあるところを見せました。

2016年5月27日(金)平成の大改修・新・小田原城特別

優勝馬 シゲルジダイマツリ

斎藤
2番枠の山崎誠士騎手、シゲルジダイマツリは3番手のラチ沿いにつけました。
竹見
最初の直線からいきなりペースが落ち着いたので、内のシゲルジダイマツリは行きたがっていました。前に2頭いて、外にも馬がいましたから、向正面に入るまで山崎騎手は外に持ち出すわけにもいかず、抑えるのに苦労している様子でした。
斎藤
それでも向正面からは流れに乗って落ち着いたようでした。
竹見
前半8番手にいた瀧川騎手のダンディスタイルが向正面で仕掛けていって、ペースが上りました。これでシゲルジダイマツリも追走が楽になりました。3コーナーで繁田騎手のマツノヴィグラスが一杯になって下がってきたところで、山崎騎手はその外に出しました。和田騎手のマゼンタは、さらにそのすぐ外でぴたりとマークしています。
斎藤
一旦外に出した山崎騎手は、4コーナーから直線を向くところでラチ沿いを突きました。
竹見
外には和田騎手がいましたから、あそこは内に行くしかなかったでしょう。前の馬の勢いを見て、内が空くこともある程度予想できたと思います。それでも一瞬の判断です。和田騎手のマゼンタの脚色もよかったですが、シゲルジダイマツリが5馬身突き放しました。このメンバーでは能力が違いました。上のクラスに行っても通用すると思います。
斎藤
瀧川騎手のダンディスタイルも3着に入りました。
竹見
スローペースで、向正面から仕掛けて行ったのがよかったです。瀧川騎手もうまく乗ったと思います。