コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成28年度第5回開催 スパーキングレディーカップ 他

7月4日~8日の開催のメインとして行われたスパーキングレディーカップは、58キロを背負ったホワイトフーガが女王の貫禄を見せました。今回の鞍上は蛯名正義騎手でした。 翌7日の最終レースに行われた鵠沼特別は、11番人気のトキノサンサンが、1番人気のライブリーソウルと一騎打ちの末、ハナ差で競り勝ちました。鞍上は、期間限定騎乗中の赤岡修次騎手でした。最終日、8日行われた3歳2組特別では、増田充宏騎手がトキノシップーを勝利に導き、デビューから4戦3勝としました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2016年7月6日(水)スパーキングレディーカップ

優勝馬 ホワイトフーガ

斎藤
ホワイトフーガは58キロでも強いレースをしました。今回乗り替わった蛯名騎手は、早め先頭から押し切りました。
竹見
ホワイトフーガは、1~2コーナーを回るあたりから向正面までずっと掛かっていたので、ちょっと早いかと思いましたが、3コーナー手前でハナに立ってしまいました。こういうときは無理に抑えずに行ってしまって正解です。2着のブルーチッパーには2馬身差でしたが、58キロを背負ってですから、今回のメンバーでは力が違いすぎました。前走のさきたま杯では内枠で出遅れてレースになりませんでしたが、今回は外枠からすんなり行けたのもよかったと思います。
斎藤
逃げたブルーチッパーは、ホワイトフーガに交わされたところで一杯に見えましたが、最後は盛り返しました。
竹見
ブルーチッパーは、すんなりと逃げられれば粘って力を発揮します。それでも直線では差を詰めていますから、この馬もまだまだ力があります。

2016年7月7日(木)鵠沼特別

優勝馬 トキノサンサン

斎藤
1番人気のライブリーソウル(本田正重騎手)は町田騎手のメイショウサンキチと併走する形で先行、11番人気だった赤岡騎手のトキノサンサンは縦長の中団からの追走でした。
竹見
前はあまり速くはならず、人気のライブリーソウルには楽なペースでした。4コーナー手前で先頭に立ったときに、一気に離してしまえばよかったと思いますが、さすがにうしろから来るとも思ってなかったでしょう。このレースをして負けたのでは仕方ないと思います。今回は勝ったほうを褒めるべきと思います。
斎藤
赤岡騎手のトキノサンサンは、3~4コーナーあたりで差を詰めて、直線で並びかけました。
竹見
赤岡騎手はうまく経済コースを通ってきました。勝負どころの3コーナー過ぎでもペースがあまり上がらなかったので、内を通って徐々に位置取りを上げて、4コーナーで思い切って外に持ち出しました。ゴール前では叩き合いとなって、よく差し切ったと思います。赤岡騎手の好騎乗でした。

2016年7月8日(金)3歳2組

優勝馬 トキノシップー

斎藤
増田騎手のトキノシップーは1番枠でしたが、無理には行かず、8頭ほどがひとかたまりの後方からの追走でした。
竹見
もともと逃げる馬ではないですし、スタートして外から何頭かに一気に来られたので控えたのでしょう。
斎藤
3コーナー手前でも、まだ集団のうしろでした。1番人気で焦ることはないのでしょうか。
竹見
増田騎手はデビュー戦から乗っていて、馬の力はわかっていますから、ある程度自信もあったと思います。焦らずに追走して、3コーナー手前ですぐ前にいた馬が後退したので、外に持ち出しました。
斎藤
同じような位置を追走して、直線を向いて先に先頭に立ちかけたのが赤岡騎手のシャイニングアトムでした。
竹見
赤岡騎手は4コーナーで3番手、前にいた2頭の外に持ち出して、うまく乗ったと思います。ただ増田騎手も思い切ったレースをしました。3コーナー過ぎでも前の何頭かが固まっていたので、あそこで内を突いたのでは詰まってしまう可能性が高いです。4コーナーでは大外を回して、赤岡騎手のさらに外から差し切りました。まだこれが4戦目、早い時期からこういう控えるレースを経験させていれば、将来的にも楽しみです。