コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成29年度第6回開催 スパーキングサマーカップ 他

8月21日~25日の開催でメインとして行われたスパーキングサマーカップを勝ったのは、大井のケイアイレオーネでした。最高齢重賞勝利記録を更新し続けている的場文男騎手は、これで今シーズン重賞7勝目としました。 開催初日には恒例の2017夏・川崎ジョッキーズカップが行われ、本田紀忠騎手のツクバスワロウが直線で力強く抜け出しました。そして22日の最終レースでは、地方現役最年長の森下博騎手がベテランらしい見事な手綱さばきを見せています。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2017年8月23日(水)スパーキングサマーカップ

優勝馬 ケイアイレオーネ

斎藤
逃げたのは的場騎手のケイアイレオーネでした。
竹見
的場騎手はスタートして気合を入れてハナを取りに行っていますから、最初からそのつもりだったのでしょう。内のリアライズリンクスも逃げたことのある馬ですから、普通なら抑えるところかもしれませんが、譲りませんでした。
斎藤
ケイアイレオーネは3コーナー過ぎでも楽な手ごたえのまま、結局他馬を寄せ付けずの逃げ切りでした。
竹見
的場騎手は思い切ってハナを切ったのがよかったです。2、3番手で抑える競馬をしていたら勝てなかったかもしれません。58キロでも積極的に行ったのが勝因でしょう。
斎藤
掲示板は7歳、8歳馬が独占となりました。
竹見
岡部誠騎手が手綱をとったトーセンハルカゼもゴール前で差を詰めていました。4着でしたが、瀧川騎手のミッキーヘネシーも最後に追い込んできた脚は際立っていました。

2017年8月21日(月)2017夏・川崎ジョッキーズカップ

優勝馬 ツクバスワロウ

斎藤
逃げたのは瀧川騎手のバジガクミワチャン、1番人気の伊藤騎手(ゼンノリボーン)が2番手で、勝った本田紀忠騎手のツクバスワロウは中団よりうしろからの追走でした。
竹見
瀧川騎手が外枠から一気にハナをとりにいったので、前は楽なペースではなかったと思います。本田騎手は両脇の馬に挟まれる形で位置取りを下げて11番手からになりました。
斎藤
本田騎手は3コーナー手前から一気に位置取りを上げてきました。
竹見
3~4コーナーから直線では、ほかの馬と脚色がまったく違いました。4コーナーでも外を回して、直線では余裕の手ごたえで差し切りました。本田騎手はスタート後に後方からになっても落ち着いて乗っていて、好騎乗でした。
斎藤
1番人気の伊藤騎手が2着でした。
竹見
伊藤騎手は2番手から直線で先頭に立って、普通なら勝ちパターンのレースでしたが、今回は勝った馬が強すぎました。これで負けたのでは仕方ありません。森下騎手のステイザベストは9番人気でしたが、4番手の内、絶好位でレースを進めたぶん、直線でも粘って3着に好走しました。

2017年8月22日(火)向日葵特別

優勝馬 ポイントパイパー

斎藤
勝った森下博騎手のポイントパイパーは最低人気。スタート後は最後方でした。
竹見
町田騎手のメイショウサンキチが先頭に立って、2番手の増田騎手(キョウエイダイチ)もがっちり抑えていますから、スタート直後からかなりのスローペースで、馬群の中では折り合いをつけるのに苦労している馬もいました。2000や2100メートル戦では、最初の直線で極端にペースが落ちることがありますが、1600メートルでこれほどペースが遅くなるのはめずらしいです。それで森下騎手が一気にハナをとりに行きました。3番手の外めにいた伊藤騎手などは、森下騎手が仕掛けて行ったときに一緒に行ってしまってもよかったと思います。
斎藤
森下騎手のポイントパイパーは向正面あたりでは単騎の逃げになって、4コーナーあたりでも手ごたえは楽なままでした。
竹見
いつもは後ろから行っている馬が楽なペースで逃げているわけですから、直線でも止まりません。直線では人気馬が追ってきますが、まったく差が詰まりませんでした。特に1番人気の本田正重騎手・キュアロージズは、スタート後の直線で完全に馬群に囲まれて、行きたくても出ていくところがなく、かなり行きたがっていました。2番人気の柏木騎手・ディーエスノーブルはさらに後ろから追走する形で、森下騎手には相当楽なレースになったと思います。先行した馬が抑えていたところを、一気に行かせた森下騎手の好騎乗でした。