コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和元年度第7回開催 スパーキングサマーカップ 他

8月後半は21~23日の3日間開催。メインとして行われたスパーキングサマーカップは、八木正喜厩舎のトキノパイレーツが念願の重賞初制覇。殊勲の鞍上は町田直希騎手でした。 初日のメイン葉月特別は、5頭立てながら縦長の展開となって、後方からレースを進めたカジノシップが直線半ばで抜け出し1番人気にこたえました。鞍上の山崎誠士騎手は、この3日間開催で8勝を挙げ開催リーディングの活躍でした。同日最終レースの睡蓮(すいれん)特別は、大外枠から落ち着いてレースを進めた今野忠成騎手のショウナンマボロシが直線での追い比べから抜け出しました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2019年8月22日(木)スパーキングサマーカップ

優勝馬 トキノパイレーツ

斎藤
町田騎手のトキノパイレーツは、4番枠からラチ沿い4番手につけました。
竹見
スタートもよかったし、気合を入れて位置を取りに行ったのがよかったです。シュテルングランツが逃げるのはわかっていますから、4番手の内は一番いい位置です。内枠だから前のほうにつけてという指示があったのかもしれません。
斎藤
直線を向いて、狙ったように前をとらえにかかりました。
竹見
この馬は抜け出してからちょっともたもたするところがあるのですが、今回、町田騎手は積極的にレースを進めました。森下騎手から町田騎手に戻っての2戦は惜しいところで勝ちきれませんでしたが、このレースではうまく乗りました。トキノパイレーツはまだ4歳ですから、まだまだ出世すると思います。川崎の馬が重賞を勝ってよかったです。

2019年8月21日(水)葉月特別

優勝馬 カジノシップ

斎藤
5頭立てと少頭数のわりに縦長の展開になりました。
竹見
少頭数ではスローペースになることが多いのですが、このレースは3頭が互いに譲らず、先行争いが激しくなってペースが速くなりました。それで勝ちタイムも1分41秒9と速い時計での決着になりました。勝ったカジノシップは、前半その3頭から離れて4番手。山崎誠士騎手は、いいペースで進めました。
斎藤
先行3頭のうち2頭がバテたところ、カジノシップが位置取りを上げていって、3コーナーからはゼンノウラヌスと人気2頭の争いになりました。
竹見
人気にもなっていましたが、この2頭は力が違いました。直線では2頭の争いになってカジノシップが突き放しましたが、ゼンノウラヌスには相当厳しいペースだったと思います。前半競り合いにならなければこの馬が勝っていたかもしれません。カジノシップの勝因は、山崎騎手のペース判断がよかったと思います。

2019年8月21日(水)睡蓮(すいれん)特別

優勝馬 ショウナンマボロシ

斎藤
勝ったショウナンマボロシは大外11番枠から。無理には行かず5番手からでした。
竹見
今野騎手は前の流れを見ながら落ち着いていました。よほど自信があったのでしょう。
斎藤
向正面中間から急にペースが上がりました。
竹見
まず繁田騎手が動いて、さらに張田騎手も外から一気に動いていきました。それでも今野騎手はじっとして動きませんでした。4コーナー手前で馬群の中で囲まれていても、じっと抑えたまま、手応えも十分でした。直線を向いて、あとは外に持ち出して前をとらえるだけという競馬でした。勝ち時計は平凡でしたが、ショウナンマボロシはこのメンバーでは格が違いました。ひとつ上のクラスに入ってもまだ勝てるのではないでしょうか。