コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和元年度第2回開催 川崎マイラーズ 他

5月13~17日の開催でメインとして行われた川崎マイラーズは、大井のキャプテンキングが制して重賞4連勝としました。鞍上は大井の坂井英光騎手でした。 14日の第10レース、緑陰特別では、川崎のシェリーカスクが直線で馬群の内から鮮やかに抜け出しました。鞍上は山崎誠士騎手でした。 また15日の最終レースとして行われた薫風特別は、後方からの追走となった1番人気キョウワヴィランが直線大外から豪快に差し切りました。鞍上は藤江渉騎手でした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2019年5月15日(水)川崎マイラーズ

優勝馬 キャプテンキング

斎藤
バンドオンザランが逃げて、2番人気のベンテンコゾウが2番手、勝ったキャプテンキングは3、4番手に控えました。
竹見
キャプテンキングは枠順が内でしたが、坂井英光騎手は少しずつ押して好位をとりました。
斎藤
道中はほとんど隊列が変わらず、キャプテンキングは直線で外から抜け出しました。
竹見
キャプテンキングは4コーナーでうまく外に出しました。外に馬がいませんでしたから、あとは前の2頭をとらえるだけという絶好の形になりました。
斎藤
ゴール前は、トロヴァオ、クリスタルシルバー、トキノパイレーツが迫って接戦でした。
竹見
キャプテンキングは、重賞4連勝は立派です。これで休ませれば、また秋は活躍できるのではないでしょうか。トロヴァオも最後はよく食い下がりました。的場騎手のクリスタルシルバーは下げて7番手から。この馬も3、4コーナーでは内を回ってきました。直線では内で馬群を捌いて惜しい3着でした。トキノパイレーツも脚を溜めてゴール前はよく追い込みました。今回は町田騎手で見せ場をつくりましたが、いずれ重賞を勝てるチャンスもあるのではないでしょうか。

2019年5月14日(火)緑陰特別

優勝馬 シェリーカスク

斎藤
勝ったシェリーカスクは4番人気。山崎誠士騎手は、1番枠でもかなりうしろからの追走でした。
的場騎手
(ラヴァーズインメイ)が逃げてテンが速くなりました。山崎騎手は後方からの追走でも落ち着いて乗っていました。2コーナーあたりで一旦流れが落ち着きましたが、加藤和博騎手のケイティーセキトバが、逃げていたラヴァーズインメイに競りかけていった向正面半ばあたりからまた徐々に速くなりました。
斎藤
シェリーカスクは、4コーナーでもまだ中団あたりでした。
竹見
3コーナー過ぎから、ほとんどの馬が追っていましたが、山崎騎手の手応えはまだ十分でした。内を通ってきて4コーナーから直線を向くところでも内を突きました。流れが速く4コーナーあたりで勢いをなくした馬が多かったので、うまく内が空きました。それにしてもよく差し切りました。最後は余裕があって、いい脚を使いました。枠順も内枠で、ハイペースで展開がはまった面もありますが、山崎騎手は好騎乗でした。

2019年5月15日(水)薫風特別

優勝馬 キョウワヴィラン

斎藤
勝ったキョウワヴィランは、スタート後、外に膨れたこともあって、後方からになりました。
竹見
それにしても1番人気で、縦長の後方3番手、それもかなりうしろからの追走でした。いつも後方からという馬ではなく、藤江騎手もさすがに勝つまでは難しいと思っていたのではないでしょうか。それにしてもよく勝ちました。
斎藤
向正面の流れが落ち着いたところで藤江騎手は位置取りを上げていきました。
竹見
あの位置からでは、一か八かの勝負だったのではないでしょうか。3、4コーナーでも大外を回っていくしかありませんでした。
斎藤
直線では大外から豪快に伸びました。
竹見
藤江騎手は、ここまでこの馬で2勝していて、乗り慣れてる馬なので思い切ったレースができたのかもしれません。逃げた繁田騎手のポンエペレが2着に粘っていますから、これは馬が強かったです。