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第63回エンプレス杯(JpnⅡ)の見どころ

第63回エンプレス杯(JpnⅡ)(キヨフジ記念)

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サラブレッド系4歳以上牝馬
距離2,100m
負担重量 55kg
2017年2月24日までGⅠ・JpnⅠ競走1着馬は2kg増、GⅡ・JpnⅡ競走1着馬1kg増(ただし、2歳時の成績を除く)

レース概要

女帝を意味する「エンプレス杯」は今年で63回とされるが、その37回まではサブタイトルにもなっているキヨフジ記念として実施された歴史を持つ。

キヨフジとは昭和20年代に川崎の八木正雄厩舎に所属して大活躍し、中央競馬に移籍したのち第12回オークス(優駿牝馬)を制覇。地方競馬出身馬として初めてクラシック競走を勝った名牝である。

第1回は1800mで始まったが、距離や施行時期の以降などを繰り返し、現在のような2100mの春の牝馬ダートグレードになったのは第45回からである。

距離2100mではレースの駆け引きだけでなく、スタミナも要求されるが、過去10年(第58回は雪のため開催中止)を見ると、一番人気馬は5勝。第54回のラピッドオレンジ(6着)、第55回のヤマトマリオン(3着)以外はすべて連対している信頼度の高さ。ただし同年のTCK女王盃からの重賞連覇は過去20年遡ってもレマーズガールとラヴェリータのみである。

近年の勝ち馬を見ただけでも、ラヴェリータ、ミラクルレジェンド、ワイルドフラッパー、アムールブリエ等それぞれ牝馬ダートグレードを席巻してきた女傑たちの名前が並ぶ。

クイーン賞やスパーキングレディーCを制したトロワボヌールや、2015年、2016年とエンプレス杯を連覇等ダートグレード6勝のアムールブリエ、スパーキングサマーC連覇のブルーチッパー等が引退して牝馬ダートグレード界も世代交代の時期を迎え、次代の女王の座をめぐる注目の一戦だ。

エンプレス杯への優先出走権(地方所属馬)

第62回クイーン賞1着馬
第10回東京シンデレラマイル1着馬
第20回TCK女王盃2着以内

第63回 エンプレス杯 主な出走予定馬紹介

ワンミリオンス(牝4歳 JRA・小崎憲厩舎)
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TCK女王盃では初めての重賞挑戦でありながら見事戴冠。早目に動いてインを突くセンスあふれるレースぶりで、牝馬ダートグレードに華々しく新星誕生を打ち上げた。牡馬相手に1600万条件を快勝してはいたが1400mを中心に使ってきただけに距離を克服できるかが課題。新女王候補のレースぶりに注目だ。

ヴィータアレグリア(牝6歳 JRA・高柳瑞樹厩舎)
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ダートに転向してからは大崩れなく走り、昨年のエンプレス杯2着馬。その後マリーンCで優勝するなど地力を見せた。ところがクイーン賞ではスタートで挟まれる不利を被って自分の競馬ができず9着に大敗。休養明けになるが【2.0.1.1】と鉄砲実績があり、緒戦から狙い目。

タイニーダンサー(牝4歳 JRA・伊藤圭三厩舎)
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同条件の関東オークスを制した実績馬。早熟の懸念もあったがクイーン賞では展開を味方につけて2着と払拭。再び装着した耳当ての効果があったのかもしれない。TCK女王盃では3角で競走中止馬の影響を受けたがそこから盛り返す場面もあったが、4角では行き場を失い不利の代償は大きかった。力負けの印象はなく、サウスヴィグラス産駒にしてはスタミナ十分。巻き返しのチャンスと言えそうだ。

タマノブリュネット(牝5歳 JRA・高柳瑞樹厩舎)
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昨秋のレディスプレリュードでは快心の勝利でホワイトフーガを撃破したが、川崎舞台のJBCレディスクラシックでは出遅れ響いて4着。前走のTCK女王盃では流れ向かず5着ともうワンパンチ突き抜けたい。息の長い末脚が武器だが、距離と小回りコースが鍵になりそう。

ブランシェクール(牝4歳 JRA・高柳瑞樹厩舎)
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初めてのダートグレード参戦。前走の1000万下では牡馬相手に余裕を残す好内容の競馬を見せ、牝馬同士なら通用するレベルにある。小回りコースへの対応力はありそうだが左回りでは結果が今ひとつなのが気がかり。

リンダリンダ(牝4歳 大井・荒山勝徳厩舎)
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東京プリンセス賞1着、桜花賞2着、大外にふくれながらのロジータ記念でも2着と南関東この世代のトップクラス。前走のTCK女王盃では軽量とはいえ最後は勝負根性を見せてホワイトフーガを抑えて2着。古馬牝馬ダートグレードでも通用するメドが立った。ロジータ記念で距離2100mは経験したのは強味。

ポッドガゼール(牝4歳 川崎・八木正喜厩舎)
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昨年の桜花賞6着、東京プリンセス賞5着、関東オークス6着。気性の難しさがレースに出てしまい不完全燃焼の競馬も続いたが、近走では以前ほどテンションが上がらず精神面の落ち着きが出てきた。折り合いさえスムーズなら一撃もあり。

トーセンマリオン(牝5歳 浦和・小久保智厩舎)
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自己条件のマイル戦で勝ちきれない現状だが、昨年のエンプレス杯では勝ち馬アムールプリエとは1.2秒差の6着だったがタマモブリュネットとは差のない競馬をしている。同条件の関東オークスで3着した実績もあり、距離延びるのはプラス材料。

(文・中川明美 写真・佐々木光)