第16回鎌倉記念(SⅢ)の見どころ
2歳オープン
距離1,500m
出走可能頭数14頭 (他地区馬は4頭以内)
負担重量 牡馬55kg 牝馬54kg
レース概要
鎌倉記念は10月8日の佐賀・九州ジュニアチャンピオンからスタートした地方競馬「未来優駿2017」シリーズの第2弾。全国で7戦行われ、北海道2歳優駿、兵庫ジュニアグランプリそして12月13日に川崎競馬場で実施される全日本2歳優駿へと続く道。2017年の南関東2歳重賞はここから始まる。
かつて同じ「鎌倉記念」がアラブの重賞で存在したが1980年代に廃止となり、2001年にレース条件が2歳サラブレッドとなってレース名が復活した。すでに16回を数えるが、2005年をもっていったん休止される曲折もあり、2007年に2歳の地方交流重賞として甦った。
勝ち馬に対し全日本2歳優駿競走(JpnⅠ)への優先出走権が与えられ、また1~3着の南関東所属牝馬はローレル賞への出走権を得られることから、キャリア浅い南関東馬にとっても重要なステップとなる一戦だ。2012年の優勝馬インサイドザパークはのちに東京ダービー馬となり、2003年の勝ち馬トキノコジローは羽田盃に輝いている。
地方交流重賞として毎年、経験豊富でレベルの高い道営馬が参戦してくるが、川崎競馬のコーナーのきついコースで初めて左回りを走る馬も多く実績通りに決まるとは限らず、地方交流になった過去10回を見ても道営馬の優勝は4頭にとどまっている。過去には断トツ1番人気に推されながら第1コーナーで大きく外にふくれ惨敗を喫した馬もいた。
今年はローレル賞を意識した牝馬が13頭中6頭。しかしながら過去10年では2008年ロマ、2013年のファーストキス、2016年のゴーフューチャーが2着しているものの牝馬の優勝は一度もない。
距離1500mは第1コーナーまでそれなりに距離があるため枠順にはそう偏りはなく、1番人気馬は【3.2.3.2】と信頼度は五分五分。また、逃げ切り勝ちを決めたのは2007年のヴァイタルシーズと2008年のノーステイオーだけで、待機していた後続馬が直線迫り、ゴール前ではガラリと入れ替わるようなケースも多い。
トライアル競走
若武者賞1~3着馬には優先出走権。
優先出走権の付与
1着馬に対し、今年からアメリカのクラシック三冠競走の一つであるケンタッキーダービーの出走馬選定ポイントレースになった、第68回全日本2歳優駿競走(JpnⅠ)への優先出走権を与える。
1~3着の南関東所属牝馬に対し、第17回ローレル賞競走(SⅢ)への優先出走権を与える。
第16回 鎌倉記念 主な出走予定馬紹介
ゴールドパテック(牝2歳 川崎・岩本洋厩舎)
5月に川崎の新馬戦勝ち馬第1号になって以来4戦3勝。3戦目のゴールデンルーキー賞ではプラス10キロも影響してか5着だったが、それを払拭するかのように前走の若武者賞では強い勝ち方。道中不利もあり、これまでとは違う抑える競馬で差しきった。
シェーンリート(牝2歳 浦和・小久保智厩舎)
4戦3勝、2着1回というレースぶりは奥行きを感じさせる小気味よいフットワーク。2着に敗れた時の勝ち馬は5戦4勝のクロスケ。心身共にひと夏を越した成長分も含めて南関東期待の1頭。
セイヴェルビット (牝2歳 川崎・八木正喜厩舎)
新馬戦を5馬身圧勝しているように潜在能力は高いが、ゲート入りを嫌がって再発走調教試験を受験する羽目に。気性面の難さからスタート等に課題をまだ残すが、息の入れ方が上手な走りからはレースセンスを感じさせる逸材。
パパドプロス (牝2歳 船橋・石井勝男厩舎)
新馬戦を差しきり勝ち。若武者賞はスタートが今ひとつだったが二の脚で好位につけ3着に食い下がって出走権を獲得。輸送競馬をクリアし、川崎コースが2度目になるのは強味。
ベニアカリ (牝2歳 浦和・酒井一則厩舎)
トライアル若武者賞で逃げて2着に我慢したように、スピードだけでなく粘り強い脚を使えるのが魅力。仕掛けどころ次第ではこの先、距離延びてからも渋太い面を見せそう。
ポッドジゼル (牝2歳 川崎・八木正喜厩舎)
デビューから2戦2勝。前走のシャイニングフューチャー賞では早め先頭に抜け出すと直線ではセイヴェルビットとデッドヒート。競り合いをクビ差制する勝負根性に驚かされた。最終追い切りでも2歳牝馬とは思えない出色の好タイム。まだ走りに力みもあるが素質は相当高い。
マッドドッグ (牡2歳 北海道・林和弘厩舎)
唯一取りこぼした前々走は出遅れてチグハグになった結果。前走のウィナーズチャレンジでは、のちに栄冠賞、ブリーダーズゴールドカップを勝つサザンヴィグラスをクビ差下しているのもポイントが高い。
モリノラスボス (牡2歳 北海道・桑原義光厩舎)
5戦3勝、2着2回とオール連対。前走は盛岡の芝重賞ジュニアグランプリ優勝。先行力だけでなく最後競り合いになってから見せた勝負根性は特筆もの。長距離輸送でも馬体を増やしていたくらいで精神面のタフさを感じさせる。左回りへの適性も十分。
ユニバーサルライト (牡2歳 北海道・田中淳司厩舎)
デビュー戦を勝ち、2戦目には札幌の芝クローバー賞出走。結果は同じ道営のダブルシャープと明暗を分けたが長距離輸送を経験したことは大きい。前走イノセントカップでのハイレベルな戦いのなか4着。距離延長がプラスに働きそう。
リコーワルサー (牡2歳 大井・荒山勝徳厩舎)
新馬戦ではのちにゴールドジュニアー優勝のクリスタルシルバーにコンマ4秒差をつけて勝ち、2戦目はさっそく船橋への輸送競馬で平和賞トライアルに参戦。前が詰まるシーンがありながらも3着に追い込んだ。繊細な面はありそうだが、左回りでの適性十分。
(文/中川明美 写真/佐々木光・川崎競馬倶楽部)