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第20回クラウンカップ(SⅢ)の見どころ

第20回クラウンカップ(SⅢ)

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サラブレッド系3歳オープン
距離1,600m
負担重量 55kg 牝馬2kg減
     ただし平成29年3月31日時点でのA級格付け馬2kg増

レース概要

1998年に創設されたクラウンカップは今年で20回目。

上位2頭には第1冠・羽田盃へ優先出走権が与えられるようにクラシックへのトライアルとして位置づけられている。第1回~3回までは2100m、第4回~8回まで2000m、第9回~は1600mと距離短縮の変遷を重ね、かつてはクラシックには少し足りない馬たちの選択肢でもあったが、ラッキープリンス(2015年)、サイレントスタメン(2009年)、ドリームスカイ(2008年)、キングセイバー(2002年)、アトミックサンダー(1998年)は、クラウンカップ出走をステップに東京ダービー制覇。重要度を増し、見逃せない一戦になっている。

歴代勝ち馬を見てみると移籍前を含めてすべて重賞初制覇。重賞実績のある馬たちが人気を背負いながらも敗している。出世が遅れていた素質馬が開花するレースと言ってもいいだろう。

マイル戦になった第9回以降、1番人気馬の勝利は2012年のキタサンツバサの1回だけ。1番人気馬、2番人気の組み合わせで決着したことは一度もなく、単勝の配当が1285円と波乱傾向のあるレースである。

また、所属場別に歴代優勝馬を見ると、大井3回、川崎10回、船橋6回で、浦和所属馬の勝ち星はない。今年は浦和所属馬が3頭出走しており、注目の実績馬、素質馬もいる。ジンクスを覆し、歴史に新たな印を刻むことができるだろうか。

優先出走権の付与

1着馬および2着馬に第62回羽田盃競走(5月10日)への優先出走権を与える。

第20回 クラウンカップ 主な出走予定馬紹介

ローズジュレップ(牡3歳 浦和・小久保智厩舎)
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トップトレーナー小久保調教師の元に移籍し、前走の京浜盃から南関東クラシックに参戦した道営の実績馬。NARグランプリ2歳最優秀牡馬に輝き、川崎コースでは全日本2歳優駿で逃げて3着に粘っている。京浜盃は3ヶ月ぶりの実戦でしかも道中落鉄するアクシデントがありながらの4着は地力のなせる技。間隔ないローテーションで臨んできたが格上感十分。

キャッスルクラウン(牡3歳 船橋・渋谷信博厩舎)
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キャリアの豊富さはメンバー1。前走参戦した中山・芝2000mの弥生賞では後手を踏んだ上に大きく外を回るなどチグハグなレースになってしまった。まだ幼さもあって右回りでは外へ行きたがることから左回りの川崎コースに変わるのはプラスに働きそうだ。マイル戦では平和賞2着がある。

サイバーエレキング (牡3歳 大井・佐々木洋一厩舎)
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ハイセイコー記念3着など11戦3勝しているが、その3勝は最後は後続に差をつける完勝。すんなり先行できるかどうかがカギを握る。川崎コースでも3度走っているが、若駒オープンでは後続にコンマ7秒差をつける快勝だった。前々走では東京・芝1800mの共同通信杯に挑戦したが直線一杯になってしまった。

サヴァアルジャン(牡3歳 浦和・薮口一麻厩舎)
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デビュー以来11戦、一度も掲示板を外していない堅実派。逃げでも差しでも相手なりに競馬ができるタイプ。重賞のハイセイコー記念、ニューイヤーカップでも5着している。強い相手と戦ってきた経験は生きるはずで、休み明けしっかり乗り込んでいるなら初の川崎コースでも見劣りしないだろう。

セイジーニアス (牡3歳 川崎・八木正喜厩舎)
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デビュー戦は10馬身以上の大差をつけて逃げ切り圧勝。その後は差して惜しいレースが続いていたが、前走の君子蘭特別では好位から揉まれない競馬に徹して勝ちきった。今回は川崎への転厩緒戦になるが川崎コース若武者賞2着の好走実績あり、スムーズにレースが運べれば。

ナルカミ (牡3歳 浦和・小久保智厩舎)
2015年10月に閉鎖したトウショウ牧場生産の忘れ形見の一頭。中央でのデビュー戦では立ち後れて結果3着。未勝利のまま浦和に移籍し、ここまで7戦して1勝、2着3回、3着2回と掲示板を外すことない好走を続けている。初めての重賞参戦になるが、賞金加算のため三連闘でレースに臨んだのは陣営の期待の証。賞金ギリギリラインとはいえ重賞出走叶ったからには侮れない。

バンドオンザラン (牡3歳 川崎・内田勝義厩舎)
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道営時代は栄冠賞、イノセントカップと1200mの重賞2勝。栄冠賞では京浜盃馬ヒガシウィルウィンを封じた実績がある。川崎に移籍してニューイヤーカップから南関東戦線に出走も短距離向きなこともあるのか持ち前のスピードを発揮しきれていない現状。川崎コース初めても逃げにこだわるタイプではなく、距離短縮はプラス。

ブルーマネー(牡3歳 川崎・林隆之厩舎)
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昨年6月のデビュー以来2着5回、3着3回とあと一歩詰め切れないレースが続いていたが、精神面の成長と共に道中抜いてしまう幼い面が解消。川崎マイルで2連勝中とひと皮むけた印象。軌道にのったとあっては軽視は禁物。

マルヒロナッツオー (牡3歳 船橋・林正人厩舎)
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デビュー戦こそゴーフューチャーを頭差捕らえきれなかったがその後3連勝して平和賞では1番人気に推され3着。前走の京浜盃では馬込みに怯んだせいか13着大敗も、2度叩かれた500キロ超の大型馬の上昇度と左回りコースのマイルに変わって巻き返し必至。

マルボルクシチー(牡3歳 船橋・林正人厩舎)
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川崎コースは鎌倉記念(8着)以来になるが、差す競馬を覚えてからは特別戦勝ちもあり、レースへの対応力を広げている。距離が短縮されるのはプラス材料のひとつ。内枠からならかつてのような先行する手もある。

(文・中川明美 写真・佐々木光)