第21回スパーキングレデイーカップ(JpnⅢ)の見どころ
サラブレッド系3歳上牝馬オープン
JRA選定馬・地方競馬選定馬
距離1,600m
負担重量 3歳52kg 4歳上55kg(南半球産の3歳馬は2kg減)
ただし下記①~③のとおり加増する(2歳時の成績を除く)
①平成29年6月30日までGI・JpnⅠ競走1着馬3kg増、GⅡ・JpnⅡ競走1着馬2kg増、
GⅢ・JpnⅢ競走1着馬1kg増
②①の重量に加え、G競走及びJpn競走通算3勝以上馬は1kg増、更に2勝ごとに1kg増
③負担重量の上限は3歳55kg、4歳以上58kgとする (南半球産の3歳馬は53kgとする)
フルゲート14頭
レース概要
川崎競馬がスパーキングナイターの愛称でナイター競馬開催をスタートさせたのが1995年。当時、中央、地方の門戸が開放されたばかりの指定交流競走を席巻したのがホクトベガ。6月に行われたエンプレス杯では2着のアクアライデンに18馬身という驚異的な差をつけて圧勝しインパクトを残した。
1997年に第一回が行われたスパーキングレデイーカップはまだ指定交流ではなく、オートメンデス、ブンブンラリーの2頭による同着優勝で始まった。第2回目からはダートグレード競走として格付けされ、距離も2000mから現在の1600mへと変更されて、真夏の女王決定戦へと位置づけられっていった。
冒頭にふれたホクトベガが1997年の第2回ドバイワールドカップへ出走した際にレース中のアクシデントによって予後不良となったことから、翌年の1998年よりスパーキングレデイーカップには「ホクトベガメモリアル」のサブタイトルがつけられるようになった。ホクトベガを偲び、またホクトベガのような強い牝馬の再来を願ってのことである。
歴代の勝ち馬を見ると、ダートグレード競走になった2回~20回では中央馬が16勝、地方馬が3勝。女王の座にふさわしい時代を彩る名牝の名が並ぶが、レマーズガールが2003年と2006年、トーセンジョウオーは2005年に中央所属として2008年には船橋所属として優勝。ラヴェリータは2009年から2011年まで3連覇している。
過去10年の傾向を探っていこう。1番人気~3番人気馬で決まった年が4回あり、実績通りに決着しやすいことを如実に表している。1番人気馬の勝率は5割。2番人気馬は[1.3.4.2]ですべて4着以内と手堅い。また、過去10回すべての勝ち馬は3コーナーでは5番手以内に位置取っており、逃げ馬が連対したケースは8割もある。そのことからも評価を下げている馬でも先行馬は押さえておきたい。
スパーキングレデイーカップはグランダムジャパン古馬シーズンの皮切りとなる一戦でもある。ここから10月のレディスプレリュードまでの8戦で地方所属馬たちは第一位のボーナス1000万円をめぐってポイントを競い合うことになる。
スパーキングレデイーCへの優先出走権
第21回マリーンカップ2着以内馬(地方所属)
第55回しらさぎ賞1着馬
スパーキングレデイーCでの優先出走権の付与
1着馬に対し第14回レディスプレリュード(10月5日)への優先出走権を与える(地方所属馬に限る)。
第21回 スパーキングレデイーC 主な出走予定馬紹介
アンジュデジール(牝3歳 JRA・昆貢厩舎)
関東オークスでは好位から伸びるもクイーンマンボの2着。前走に続き川崎コースに参戦するが、ベスト距離のマイルに短縮されるのは歓迎。ダートに転向してからレースぶりもスムーズになったディープインパクト産駒。初の古馬相手にはなるが52キロの軽量は強み。
サクラフローラ(牝6歳 JRA・高柳瑞樹厩舎)
牝馬ながらに530キロを超すパワー型。ダート1200m戦で4勝を挙げ、前走は準オープンで先行して2着。初めてのマイル戦でコーナーを4つ回る競馬となるが、川崎コースを熟知する戸崎騎手の手綱で、川崎独特のコーナーワークさえこなせれば。
タイニーダンサー (牝4歳 JRA・伊藤圭三厩舎)
川崎コースは5度目となるが、3歳時に関東オークスを制し、昨年のスパーキングレデイーCでは3着とコース適性あり。サウスヴィグラス産駒にしてはスタミナもあり距離は幅広くこなしているが、マイルでは[1.0.1.2]。あと一歩詰め切れずに決め手を欠く面はあるが、大崩れなく毎回堅実な走りを見せる。
タッチスプリント (牝3歳 高知・別府真司厩舎)
道営から高知へ移籍すると佐賀、京都、名古屋、園田とタフに遠征してキャリアを積んできた。トップポイントで参戦したグランダムジャパン3歳シーズンでは最終戦の関東オークスでステップオブダンスの大逆転にあったが、今度は古馬シリーズに臨んできた。姉は10歳になった今も全国を行脚する笠松のタッチデュールで、スパーキングレデイーCでは同じ舞台に立つ。姉同様に息の長い末脚が身上だ。
タマノブリュネット(牝5歳 大井・藤田輝信厩舎)
昨秋のレディスプレリュードではホワイトフーガを封じる会心の勝利。続くJBCレディスクラシックではアムールプリエやトロワボヌールに先着している。前走の福島芝1800mを使った後に大井へ移籍。今回から地方馬としてのスタートを切ることになるが、緒戦から持ち前の瞬発力を発揮できるか楽しみ。川崎コースへの対応力は実証済み。
ドンナディヴィーノ (牝4歳 川崎・河津裕昭厩舎)
地元川崎から唯一の出走。このメンバーに入って実績馬と同斤の55キロでは条件が厳しいが、直線一気に追い込む末脚でハマったときの爆発力十分。休み明けを二度叩いて調教の走りからも状態は確実に上向き。
トーコーヴィーナス (牝5歳 兵庫・吉行龍穂厩舎)
3歳時のロジータ記念でララベルの2着した以来の川崎コース。NARグランプリ2016では4歳以上最優秀牝馬を受賞した地方競馬を牽引する牝馬の1頭だ。昨年秋のレディスプレリュードではすんなり先手を取るとタマノブリュネットに続く2着。この時は同着2着でホワイトフーガと分け合ったのだから、あっさり逃げると渋太く、軽視はできない。
プリンセスバリュー (牝7歳 大井・村上頼章厩舎)
園田から3歳で大井へ移籍してキャリア61戦14勝の女丈夫。気温の上昇と共に状態を上げるタイプで夏の好走が目立つ。今季はしらさぎ賞2着、前走は男馬相手のオープン特別で2着と暑さの中さらに調子を上げている。逃げ差し自在で左回りのマイルは得意とするところ。
ホワイトフーガ(牝5歳 JRA・高木登厩舎)
昨年の覇者であり、関東オークスから始まったダートグレード参戦ではJBCレディスクラシック連覇を含めて7勝し、もはや女王の貫禄。今年に入ってからもマリーンC制覇、そして前走のさきたま杯では牡馬の強豪相手に3コーナー先頭に立つ圧巻の内容で戴冠。川崎コースは3戦して負けなしという実績も軸をいっそう堅くする。
ララベル (牝5歳 大井・荒山勝徳厩舎)
牝馬重賞5勝している南関東を代表する実力牝馬。前走のマリーンカップではホワイトフーガに完敗したものの他のJRA勢には先着して2着。休み明けでプラス25キロを考えれば上出来だろう。リフレッシュ放牧を挟んで馬体面も充実し、ベストの小回りマイル戦でダートグレード獲りを狙う。
(文/中川明美 写真/佐々木光・川崎競馬倶楽部)