3歳オープン
距離2,100m
出走可能頭数14頭
負担重量 牡馬56kg 牝馬54kg
平成29年9月1日までのダートグレード競走・JRA
重賞競走・南関東SⅠ競走1着馬は2kg、南関東SⅡ及び
SⅢ競走1着馬は1kg加増する。〔2歳時の成績を除く〕
レース概要
戸塚記念は、川崎競馬場の前身であり昭和25年に閉鎖された戸塚競馬場を記念して創設されたレースで今年で46回目になる3歳馬限定戦。昭和46年に距離2000mでスタートし、昭和60年の第15回をもっていったん休止されと準重賞へと降格になったが、昭和62年には再び重賞になってその歴史を刻んできた。秋の3歳限定戦とあって、ひと夏で力をつけた新星が春の実績馬に挑む一戦だ。かつては下級条件馬がハンデを受けて挑戦することもあったが、平成23年にはそれまでのSⅢからSⅡへと昇格し条件変更。さらに今年から新設された地方競馬の「3歳秋のチャンピオンシップ」の一貫としてシリーズ化。戸塚記念はカテゴリーBに区分けされ、優勝馬がファイナルのダービーグランプリを制すれば500万円のボーナスが支給され、新たな意味合いを持つことになった。
昨年の優勝馬ベルゼブブはトライアルの芙蓉賞を勝って出走権を手にして出走。東京ダービー馬バルダッサーレが2着に敗れたのが印象的だったが、一昨年の覇者ミスアバンセもまた芙蓉賞を勝って参戦している。過去10年を見ても、昨年のベルゼブブはじめ、ミスアバンセ、キットピーク、ハーミア、ジルグリッター、ロングウェーブと6頭が初めての重賞制覇。クラシックで戴冠していた馬は二冠馬アスカリーブルだけで、ひと夏を越えて成長した馬にも大いにチャンスがあるということだ。また牝馬の戴冠が4回あるのも特徴的である。
過去10年の傾向を見てみよう。1番人気馬の成績は【4.2.0.4】と連対6割の信頼度の高さだが、1番人気、2番人気の組み合わせで決まったことは一度もない。5番人気馬が3勝しているのは面白い傾向と言える。川崎の2100mはスタンド前で急にペースが落ちることからも先行馬が有利な傾向にあるが、戸塚記念では逃げ切り勝ちが3回。仕掛けや追い出すタイミングが頭脳戦になるためだろう。
トライアル競走
・芙蓉勝1着馬には優先出走権。
優先出走権の付与
・3着以内の牝馬に対し第28回ロジータ記念競走(SⅠ)への優先出走権を与える。
第46回 戸塚記念 主な出走予定馬紹介
●カンムル(牡3歳 浦和・小久保智厩舎)
年明けに中央から移籍すると緒戦のニューイヤーカップは3着。以来クラシックロードを歩むも、道中不利を被るなどチグハグな場面が続いた。前走の黒潮盃ではスローペースを捌いて直線伸び良く2着に。ようやくリズムを取り戻しつつある。距離延びるのはプラスで、初めての川崎コースでも切れ脚発揮。
●キャッスルクラウン(牡3歳 船橋・渋谷信博厩舎)
平和賞2着などすでに20戦とキャリアの豊富さはメンバー1。中山・芝2000mの弥生賞に参戦した経験もある。クラシックでは羽田盃7着、JDD11着。東京ダービーではなく短距離の優駿スプリントを使ったが忙しい競馬になった。右回りでは外へ行きたがる面があることから左回りの川崎コースは歓迎。前走のトライアル芙蓉賞では道中早めに動いて3着している。
●キャプテンロビン (牡3歳 浦和・小久保智厩舎)
トライアルの芙蓉賞では鮮やかな逃げ切りで後続を3馬身突き放した。早期にデビューしたがまだ線が細く、幼さも付きまとっていたため休養を挟みながら成長。ハナに行ければ渋太く、芙蓉賞での逃げも2000mを外連味なくこなし、もっか2連勝と勢いがある。ひと夏の成長芳しい一頭だ。
●キングガンズラング (牡3歳 船橋・矢野義幸厩舎)
昨暮デビューすると羽田盃6着以外はすべて連対。まだ底を見せていない印象がある。特に石崎駿騎手との相性が良く4戦全勝。古馬相手になってからも連対しているが、前走のB3(2)の特別戦では中団から瞬発力で弾けて4馬身差をつけて快勝した。切れ脚からも距離延長はプラスに働くだろう。
●クラトリガー (牡3歳 船橋・矢野義幸厩舎)
昨年末に道営から移籍した後、掲示板を外したのは東京ダービーと古馬戦だけと堅実に脚を使う。後方からの競馬になるため、東京湾Cは直線迫るも2着、前走の黒潮盃ではスローペースに泣くなど展開に左右されることも多い。小回りの距離2100mでは追い出しのタイミングが鍵になりそう。
●ケンネプチューン(牡3歳 船橋・川島正一厩舎)
3歳になってようやく軌道にのった伸び盛りの1頭。クラシックは門外漢だったが、格付け緒戦のC1条件を楽勝すると、前走のB3(二)戦でも古馬相手に遜色ない競馬。充実した夏を過ごしている。黒潮盃は賞金的にはじかれてしまい、待望の重賞挑戦で一撃を放てるか。
●サイバーエレキング (牡3歳 大井・佐々木洋一厩舎)
ハイセイコー記念3着、東京湾Cなど15戦3勝しているが、その3勝は最後は後続に差をつける完勝。単騎逃げがベストで、すんなり先行できるかどうかがカギを握る。川崎コースでも4度走っており若駒オープンでは後続にコンマ7秒差をつける快勝。距離2100mを克服できれば。
●シェアハッピー (牝3歳 大井・澤佳宏厩舎)
紅一点での出走。ゲートの課題が解消したこともあってそれまでの差し競馬から転じて、黒潮盃では内枠から逃げるかたちになったが、勝ち馬との差がコンマ4秒の4着に我慢と地力十分。川崎コースは初めてになるが、事前に川崎まで運んでスクーリングをするほどの念の入れよう。小回りの馬場は浦和・桜花賞(3着)で経験済みで、血統的にも距離延長に不安はない。
●セイジーニアス (牡3歳 川崎・八木正喜厩舎)
デビュー戦は10馬身以上の大差をつけて逃げ切り圧勝。その後は差して惜しいレースが続いていたが、川崎への移籍緒戦のクラウンCでは2着。3コーナーから追い上げて長く良い脚を使った。笹針休養後をひと叩きされたところだが、距離延長は強い味方。展開ひとつでは台頭もある。
●ブラウンレガート(牡3歳 大井・阪本一栄厩舎)
前哨戦の黒潮盃では4馬身差をつける圧勝。南関東生え抜きの有力馬として実績を積んできたが、クラシックでは東京ダービー3着、京浜盃3着と移籍馬相手に歯がゆい場面も多く、羽田盃直前に熱発して自重するなどリズムを崩した時期もあった。先行だけでなくどこからでもレースができるレース巧者で、さらに体質強化したとなれば盤石。ここからシリーズファイナルのダービーグランプリ(11月19日・水沢)でビッグボーナスを目指すという。
文/中川明美
写真/佐々木光・川崎競馬倶楽部