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第68回全日本2歳優駿(JpnⅠ)の見どころ

昨年の川崎記念

  • サラブレッド系2歳
  • JRA所属馬選定5頭、地方所属選定馬9頭(他地区は6頭以内)
  • 距離1,600m
  • 負担重量 55kg 牝馬54kg(南半球産馬は3kg減)
  • 1着 35,000,000円

レース概要

全日本2歳優駿は、川崎競馬場が開設された1950(昭和25)年に始まった68回を数える川崎競馬最古の歴史をもつ重賞。第1回から一貫して若馬たちが目指す頂点レースであり、第48回(1997年)からダートグレード競走化。2002年にはそれまでのGⅠ格付からGⅠ(後にJpnⅠ)に昇格している。

過去の勝ち馬にはアグネスワールドやアグネスデジタル、ディアドムスなど世界に挑戦した馬たちや、フリオーソ、ラブミーチャン、ハッピースプリントといった地方競馬を代表する名馬が歩んだ道である。さらに今年からは米国ケンタッキーダービーへの日本馬選定ポイントレースに指定。地方競馬所属馬にもケンタッキーダービーへの門戸が開かれたことになり、ダート2歳最強馬決定戦としての意味合いが深まった。

過去10年を見ると、1番人気馬は[5.2.2.1]で連対率7割と信頼度が高い傾向。2番人気馬は[1.4.0.5]だが、上位人気2頭での組み合わせになると2011年のオーブルチェフ・メジャーアスリート、2015年のサウンドスカイ・レガーロの2回だけ。そう順当には決まらない。

中央馬は8勝に対して地方馬は2勝。地方馬同士でのワンツー決着は2009年のラブミーチャン・ブンブイチドウの1回のみ。また、早々に重賞実績を積んだ道営所属馬の参戦はこの10年見ても27頭いるが[1.3.1.22]。コーナーのきつい川崎コースで経験する左回りを克服できるかがポイントと言えそうだ。

全日本2歳優駿への優先出走権(地方所属馬)

  • 北海道2歳優駿競走1着馬
  • 兵庫ジュニアグランプリ競走1着馬
  • 鎌倉記念競走1着馬
  • 平和賞競走1着馬
  • ハイセイコー記念競走1、2着馬
  • 川崎若駒オープン競走1着馬

第68回 全日本2歳優駿 出走予定馬紹介

  • サザンヴィグラス (北海道・川島洋人厩舎)

デビューから2連勝での重賞制覇日本で一番早い2歳重賞の栄冠賞制した一番星。つづくブリーダーズゴールドジュニアCでは3コーナーで先頭に立つと押しきって重賞連覇。その後の2戦では1番人気でまさかの敗戦となったが、前走の北海道2歳優駿では③着に食い下がって地力あるところを見せた。

  • ストロングハート(川崎・内田勝義厩舎)

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全姉は今年の牝馬クラシック戦線で活躍したアップトゥユーで、父サウスヴィグラスのグランド牧場ブランド牝馬。姉同様のスピードでダートグレード競走エーデルワイス賞勝ち。前走の川崎・ローレル賞への遠征だったが初の左回りに幾分戸惑い③着。そのまま川崎へ移籍となり新天地での緒戦。長距離輸送がなくなったのはプラス。

  • ソイカウボーイ (北海道・田中淳司厩舎)

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芝の札幌すずらん賞では大敗したものの門別では3戦負けなし。サッポロクラシックカップでは一気に差し切って4馬身差の圧勝しそれまでの先行策とは違った一面を見せた。前走は厩舎連覇を狙った兵庫ジュニアグランプリに臨んだがスタート後の躓きも響いたのか直線脚を伸ばすも③着。

  • ダモンデ (北海道・田中淳司厩舎)

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鎌倉記念遠征時にはスタートで躓き、アブミが外れかけるほどの不利があって大敗を喫したが、その後向かった水沢・南部駒賞では見事戴冠。少しうるさい面はあるがうまく折り合いさえ付ければ直線で切れ脚を使える。川崎コースを経験しているのは強味。

  • ダークリパルサー(JRA・金成貴史厩舎)

ダートで2戦2勝。兄にはダートG1で9勝したエスポワールシチーがいる血統で、デビュー戦は逃げ切り快勝。兄譲りの先行力だけでなく、2戦目では直線こじ開けるような鋭い脚を見せ、奥行きを感じさせる競馬で2連勝。

  • ドンビー (船橋・岡林光浩厩舎)

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5戦3勝、②着2回とオール連対。平和賞では1.8倍の一番人気推されていたが水たまりのできた不良馬場のなかでは伸びきれず②着。いつもの切れ脚発揮とはいかなかったの馬場の影響が過分にあり、マイナス材料にはならない。むしろ縦長の逃げ馬有利な展開をよく詰めてきたと言えそうだ。

  • ドンフォルティス(JRA・牧浦充徳厩舎)

北海道2歳優駿では早めに動いて前を捕らえ、1番人気に応えて初重賞制覇。印象的だったのはヤマボウシ賞で道中何度も不利がありながら差しきり勝ち。精神面のタフさを見せた。まだ荒削りな部分はありそうだが瞬発力十分。

  • ハセノパイロ (船橋・佐藤賢二厩舎)

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デビューから3戦2勝で臨んだ前走のハイセイコー記念では向正面まくり気味に動く圧巻なレース内容で優勝。ヒガシウィルウィンに続く逸材を手がける佐藤賢二調教師も競馬センスを絶賛していた。船橋所属馬ながら川崎コースは2度経験して2勝している。

  • ハヤブサマカオー (JRA・伊藤圭三厩舎)

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デビューから3戦無敗で兵庫ジュニアグランプリを制覇。新馬戦を大差勝ちし、2戦目は楽逃げで他馬を寄せつけずレコードタイムとスピードは破格。前走の園田で深いダートや小回りコースへの対応は実証済み。祖母は牝馬ダートグレードで時代を築いたプリエミネンス。

  • ビッグスモーキー (JRA・清水久詞厩舎)

4戦2勝、②着2回はすべてダートの1800m戦。3戦目の未勝利戦で初勝利を挙げた。圧巻だったのは前走のもちの木賞で、好位から直線弾けてレコードタイム。530キロの馬格は迫力満点。距離短縮を意識した調整の成果を期待。

  • リコーワルサー (大井・荒山勝徳厩舎)

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鎌倉記念では7番人気の伏兵扱いを払拭するような強い勝ちっぷり。向正面で一気にポジションを上げて直線ではマッチレースを制したように2歳馬とは思えない息の長い末脚を使えるのが魅力。マイルはもちろん距離延長されてからも楽しみ大きい。

  • ルヴァンスレーヴ (JRA・萩原清厩舎)

キャリア2戦はいずれもダート。7馬身差圧勝したデビュー戦に続き、前走のプラタナス賞では立ち後れ気味だったスタートからスルスル上がっていくと持ったまま楽勝。レコードタイムを弾き出した。大物感あふれるレースぶりは今後のダート界を占う意味でも注目。

(文/中川明美 写真/佐々木光・若松亮太・川崎競馬倶楽部)