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第54回関東オークス(JpnⅡ)の見どころ

昨年の関東オークス

サラブレッド系3歳牝馬オープン
JRA選定馬(4頭)・地方競馬選定馬(10頭・他地区馬は4頭以内) 
距離2,100m
負担重量 54kg(南半球産馬は2kg減)
フルゲート14頭

レース概要

 1965年に創設された3歳牝馬レース。1955年の浦和・桜花賞、そして1987年に大井競馬で東京プリンセス賞が始まると、南関東牝馬クラシック三冠のひとつとして位置づけられることになった。当初は4月に桜花賞、5月(もしくは6月)に関東オークス、6月(もしくは7月)に東京プリンセス賞の順に行われていたが、近年では桜花賞、東京プリンセス賞、関東オークスと定着して牝馬クラシックの最終関門になっている。2000年にはダートグレード競走として中央、地方に開放。2006年には現在のJpnⅡへと格上げされた。
 南関東では、三冠すべて大井で行われる牡馬クラシックに対して、牝馬クラシックは浦和1600m、大井1800m、川崎2100mと競馬場も距離も異なり、うら若き3歳乙女の春の闘いにしては三冠達成のハードルは高い。牝馬クラシック三冠馬は2006年のチャームアスリープ1頭しか誕生していない。
 第36回(2000年)からダートグレード競走になっているが、そのうち地方馬による優勝は第41回のテンセイフジ、第42回のチャームアスリープ、第48回のアスカリーブルと3頭のみ。中央所属馬が圧倒的勝利を誇ってきた。かといって上位すべてを中央馬が独占したかというとそうでもなく、1~3着までを中央馬が占めたのは第36回、第40回、第43回、第49回の4回だけ。あとの15回は優勝はできなくとも②着、③着に地方馬が食い込んで健闘している。たとえ人気上位を中央馬が独占していたとしても地方馬を軽視しない方がよさそうだ。特に勝負所で好位の射程圏内につけられる馬は要注意。過去10年を見ても、昨年の第53回③着のステップオブダンス、第52回②着のミスミランダー、第51回③着トーセンマリオン、第50回②着トーコーニケ、第48回③着シラヤマヒメ、第47回③着マニエリスム、第46回②着ハーミア、③着ギンガセブン、第45回②着ツクシヒメ、③着アンペアといずれも3コーナーでは好位以内を位置取り好走している。
 また関東オークスは、3月16日の名古屋・若草賞からスタートしたグランダムジャパン3歳シーズンの最終戦。シリーズ最高のポイント区分で加算され、さらに2017年からは地方馬最先着~3位までにエクストラポイントを追加。昨年はさっそく地方最先③着だったステップオブダンスがエクストラポイント加算で逆転優勝してボーナス賞金を獲得している。今年も地方馬それぞれにシリーズ優勝のチャンスはあり、グランダムジャパン3歳シーズンの行方にも注目したい。

関東オークスへの優先出走権

・第64回桜花賞1着馬
・第32回東京プリンセス賞の1着馬および2着馬。

関東オークスでの優先出走権の付与

・1、2着馬に対し第22回スパーキングレディーカップ(7月5日)
・1着馬に対し第20回ジャパンダートダービー(7月11日)への優先出走権を与える。

第54回 関東オークス 主な出走予定馬紹介

●アクアレジーナ(牝3歳 大井・福永敏厩舎)
アクアレジーナ
大井生え抜きながら2歳時から積極的に園田プリンセスC、金沢シンデレラC、笠松・ラブミーチャン記念と遠征し、3歳になってからもクラシックには乗らず近二走は佐賀のル・プランタン賞②着、園田・のじぎく賞②着と先行して惜しいレース続き。長距離輸送も克服するなど心身共に鍛えられて成長し、ようやく第三冠で合流する。

●エグジビッツ(牝3歳 北海道・田中淳司厩舎)
エグジビッツ
道営所属馬だが2歳秋から園田、金沢、笠松、水沢、名古屋、園田と全国展開。グランダムジャパン2歳シーズンで優勝し、現在行われているグランダムジャパン3歳シーズンでも最終戦を前にして出走メンバーのうち最高ポイントを保持。2歳シーズンに続き、3歳シーズンでも優勝候補。

●クレイジーアクセル (牝3歳 大井・渡辺和雄厩舎)
クレイジーアクセル
2歳夏のデビュー戦は直線一気に切れたが、精神面の成長と共にゲート出が良くなりすっかり逃げ馬に。東京湾Cではクラシック出走を目論む男馬相手に見事逃げ切り勝ち。東京ダービーへの優先出走権を手にするなどいくつかの選択肢がありながらここに照準を合わせてきた。並ばれてからもうひと伸びできるギアと勝負根性を持ち合わせている。

●ゴールドパテック(牝3歳 川崎・岩本洋厩舎)
ゴールドパテック
スタートに課題はあるが、鎌倉記念は直線だけの競馬で③着。2歳牝馬地方交流重賞ローレル賞では好位からキッチリ抜け出す味のある競馬でタイトルを手にしている。確実に伸びる脚を武器に堅実な走りを続け、東京プリンセス賞では③着と迫った。南関東牝馬の中では上位の実力馬で、混戦になるほどに末脚がモノを言うはず。

●ハービンマオ (牝3歳 JRA・中舘英二厩舎)
ハービンマオ
デビューから3戦は芝を走ったが勝ちきれず、前々走からダートに転向すると未勝利戦1800m戦で初勝利。パワーの必要な中山コースのダートで切れ脚を炸裂させたとなれば川崎のダートも苦にならないはず。前走は東京の左回り2100mで混戦を経験したことも生きてくるだろう。

●プリンセスノンコ (牝3歳 JRA・加藤 征弘厩舎)
プリンセスノンコ
1月のダート新馬戦でルメール騎手を背に逃げ切り勝ち。2戦目には芝オープンに挑戦して⑤着している。前走から武豊騎手とのコンビで臨んだ500万下は②着だったが、勝ち馬に展開が向いたレースで力負けとは思えないだろう。キャリア3戦で初コース、初ナイターと未知数な部分もあるが、新馬勝ちのポテンシャルからスピードで押し切る競馬も可能だ。

●ミスマンマミーア (牝3歳 船橋・佐藤賢二厩舎)
ミスマンマミーア
道営時代に芝のコスモス賞に参戦して②着と好走。続く札幌2歳ステークスでは⑦着と芝に適性。東京・アルテミスステークスのあと船橋に転入すると中山の葉牡丹賞、菜の花賞と芝レースに参戦した。休養後のクラウンC、東京プリンセス賞では後方を追走したままとレースが難しいタイプで、芝向きな印象も拭えない。

●メイショウヒサカタ(牝3歳 JRA・浅見秀一厩舎)
メイショウヒサカタ
デビューから7戦3勝というキャリアは今回出走するJRA勢の中でも実績上位。昇竜ステークスでは10番人気ながら中団から差しきり勝ち。前走は兵庫チャンピオンシッップに参戦して小回りダートを経験した。短い距離を使われてきたことから距離2100mへの対応力がポイントになるが、折り合い面の不安はなく、牝馬同士の長丁場なら案外こなせるのかも。

●ララプリムヴェール (牝3歳 JRA・今野貞一厩舎)
ララプリムヴェール
キャリア3戦はいずれもダート1800m。新馬戦こそ②着だったが、その後は未勝利、500万下を連勝している。前走はスタート後手を踏んで後方からの競馬になったが追い上げて直線はキッチリ抜け出して快勝。迫力満点な大型牝馬で距離延長はむしろ歓迎となりそうだ。父クロフネは過去10年だけでもホワイトメロディ、ユキチャン、ホワイトフーガと3頭の優勝馬を出している。

文/中川明美 
写真/佐々木光、若松亮太、フォトチェスナット、小金井邦祥