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第21回クラウンカップ(SⅢ)の見どころ

第10回川崎マイラーズ(SⅢ)

サラブレッド系3歳オープン
距離1,600m
負担重量
55kg 牝馬2kg減
ただし平成30年3月30日時点でのA級格付け馬2kg増。
南半球産馬2kg減。

レース概要

1998年に創設されたクラウンカップは今年で21回目。
上位2頭には第1冠・羽田盃へ優先出走権が与えられるようにクラシックへのトライアルとして位置づけられている。第1回~3回までは2100m、第4回~8回まで2000m、第9回~は1600mと距離短縮の変遷を重ね、かつてはクラシックには少し足りない馬たちの選択肢でもあったが、ラッキープリンス(2015年)、サイレントスタメン(2009年)、ドリームスカイ(2008年)、キングセイバー(2002年)、アトミックサンダー(1998年)は、クラウンカップ出走をステップに東京ダービー制覇。重要度を増し、見逃せない一戦になっている。短距離体系が整備されるようになり、距離延びるクラシックではなく、優駿スプリントを目指す馬との分岐点にもなる。
出世が遅れていた素質馬が開花するレースとも言え、歴代勝ち馬を見てみると昨年のローズジュレップ以外は重賞初制覇。重賞実績のある馬たちが人気を背負う一方で、重斤を課されることから思わぬ敗退。今年は道営時代に重賞2勝しているサザンヴィグラスが57キロを背負っている。
マイル戦になった第9回以降、1番人気馬の勝利は2012年のキタサンツバサ、2017年のローズジュレップの2回だけ。1番人気馬、2番人気の組み合わせで決着したことは一度もなく、昨年の優勝馬ローズジュレップは1.4倍の圧倒的1番人気に推されて7馬身圧勝したが、2着には12番人気のセイジーニアスが飛び込んで結果は波乱になった。
また、所属場別に歴代優勝馬を見ると、大井3回、川崎10回、船橋6回で、浦和1回と地元川崎の馬が優勢な傾向にある。

優先出走権の付与

・1着馬および2着馬に第63回羽田盃競走(5月9日)への優先出走権を与える。

第21回 クラウンカップ 主な出走予定馬紹介

●ヴオロス(牡3歳 船橋・稲益貴弘厩舎)
ヴオロス
前走クラウンCトライアルのつばき賞では逃げた勝ち馬をコンマ2秒捕らえられなかったが、先行したまま後続には5馬身もの差があり、もっとタイムを詰められそうなレースぶり。デビューから9戦しているが一度も掲示板を外していない安定感も魅力で軽視はできない。

●サザンヴィグラス(牡3歳 川崎・河津裕昭厩舎)
サザンヴィグラス
実績やトライアルの勝ちっぷりからも存在感は一枚上。道営時代は栄冠賞、ブリーダーズゴールドジュニアCを勝ち、北海道2歳優駿では③着。移籍してから挫石でリズムを崩していたが雲取賞から連闘で臨んだクラウンCトライアルでは見事な逃げ切り勝ち。蹄の心配もなくなったとなればスピード感ある走りが期待できそうだ。

●スプリングマン (牡3歳 浦和・小久保智厩舎)
スプリングマン
中央では2歳未勝利を勝ち3戦1勝。浦和に移籍後はハイレベルなメンバー揃ったアジュディミツオー・メモリアルで先行から抜け出して快勝している。その後リズムを崩して大井2戦は見せ場のない競馬になっているが今回は左回りに戻って本領発揮といきたい。

●デニストン(牡3歳 大井・佐野謙二厩舎)
デニストン
道営時代はサッポロクラシックカップ、ターフチャレンジとソイカウボーイの②着。移籍後4戦目になるが、初コース、初の左回りとあって川崎に運んでスクーリングを敢行。雲取賞では後方待機から直線だけで伸びて⑦着しており、今回も前がやり合う展開なら切れ脚発揮。

●マッドドッグ (牡3歳 船橋・佐藤裕太厩舎)
マッドドッグ
川崎コースは道営馬として遠征した鎌倉記念で経験済み。先行して②着に粘っている。水沢・南部駒賞にも出走して逃げて②着した後に船橋に移籍。転入からすでに4戦しているが気性面の難しさもあって結果を出せていない。今回はブリンカー着用する作戦で集中力が高まれば。

●マースインディ (牡3歳 大井・坂本一栄厩舎)
マースインディ
デビュー以来、毎回確実に伸びてくる末脚で善戦し、ハイセイコー記念でも差して④着。クラシックへの登竜門とされる雲取賞では1番人気に推されていた。最後方からの競馬になり結果は④着だったが、メンバー最速の上がりタイム。川崎コースは初になるが小回りのわりに案外差しの利くコースで末脚を炸裂できるか。

●ミスターバッハ (牡3歳 船橋・矢野義幸厩舎)
ミスターバッハ
道営時代にはイノセントカップでヤマノファイト(南関東移籍後ニューイヤーC、京浜盃と連勝中)にクビ差の②着と差のない好内容。前走の浦和戦ではひとマクリの競馬で後続を3馬身突き放す完勝と能力はかなり高い。血統から距離延びてからの懸念はあるにせよ、マイルなら好戦必至だろう。

●ミスマンマミーア(牝3歳 船橋・佐藤賢二厩舎)
道営時代に芝のコスモス賞に参戦して②着と好走。続く札幌2歳ステークスでは⑦着と芝に適性。東京・アルテミスステークスのあと船橋に転入したが中山の葉牡丹賞、菜の花賞と芝レースに出走し休養へ。休養明けで久しぶりのダート戦になる。門別ダート1600mのフローラルカップでは後方一気でストロングハートをコンマ1秒交わして優勝し、実績、実力とも申し分ないが馬体を立て直して出走する初コースでの実戦では割引も必要か。

●ムシカリ (牡3歳 川崎・岩本洋厩舎)
ムシカリ
直線勝負型とあってわずかに勝ちきれないレースも多く、11戦して1勝という成績だが、②着は4回、③着は3回と終いの伸び脚で迫ってくる。雲取賞は出遅れが尾を引いて⑨着も時計は悪くないし、前走のクラシックトライアルでは鋭く切れて4連勝馬モジアナフレイバーの②着。流れひとつで出番もある。

文/中川明美
写真/佐々木光