重賞レース

第23回 スパーキングレディーカップ(ホクトベガメモリアル)(JpnIII)

  • 2019年7月4日
  • 20:05発走
第23回 スパーキングレディーカップ(ホクトベガメモリアル)(JpnIII)

レースガイドRACE GUIDE

3歳以上牝馬のJRA交流JpnIIIで、JRAが10連勝中。18年のリエノテソーロは、全日本2歳優駿(JpnI)以来となる復活の勝利を飾った。16年ホワイトフーガは関東オークス(JpnII)勝ち、17年アンジュデジールも関東オークスで2着があり、近年は川崎のダートグレードで実績ある馬が好相性だ。【地方所属の1着馬にレディスプレリュードの優先出走権を付与】

コースガイドCOURSE GUIDE

4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。

1600m
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上位人気による堅い決着

※データは過去10回分(09~18年)を対象にした。

■人気馬には逆らえない

単勝1~4番人気のうちの3頭で決まったのが8回。5番人気以下で3着以内に入ったのは2頭のみで、上位人気がとにかく強い。地方馬で3着以内に入った4頭も、14年に7番人気で3着マイネエレーナ(浦和)以外は、4番人気以内だった。

【単勝人気別成績】(過去10回)

1着 2着 3着 着外
1番人気 4 1 3 2
2番人気 3 3 2 2
3番人気 2 3 2 3
4番人気 1 3 1 5
5番人気以下 0 0 2 78

■勝ち馬はすべてJRA

JRAが10勝、2着7回、3着9回と圧倒している。地方馬で3着以内に入った4頭はすべて南関東勢(浦和、船橋各1頭、大井2頭)。14年3着マイネエレーナ(浦和)を除く3頭は、同年のマリーンカップJpnIIIで2着に入っていた。

【所属別成績】(過去10回)

1着 2着 3着 着外
JRA 10 7 9 13
南関東 0 3 1 56
地方他地区 0 0 0 21

■JRAは4歳が好成績

勝ち馬はすべて5歳以下。JRAに限れば、4歳は出走6頭で、3勝、3着3回で複勝率100%。18年は1着リエノテソーロ、3着ラビットランと2頭が馬券圏内。また5歳は16頭が出走し5勝、2着4回、3着1回(複勝率62.5%)の好成績だが、16~18年では、2着1回、着外3回で不振となっている。7歳以上はのべ3頭と出走が少ないが、09年にメイショウバトラー(JRA)が3着に入っている。

【年齢別成績】(過去10回)

1着 2着 3着 着外
3歳 2 1 2 10
4歳 3 1 3 20
5歳 5 5 1 30
6歳 0 3 3 15
7歳以上 0 0 1 15

■マリーンC以外にも好ステップ多数

古馬の前走はさまざまだが、3頭以上が出走して複勝率100%なのは、オープンの天王山ステークス(1勝、2着3回)、ヴィクトリアマイルGI(2勝、3着2回)。18年は、1、3着が前走ヴィクトリアマイルGIで、2着は前走天王山ステークスだった。また、さきたま杯JpnIIもJRA所属馬に限れば、出走5頭で3勝、2、3着なしで好相性となっている。前走マリーンカップJpnIIIの1、2着馬は、出走5頭で2着1回、3着2着で、勝ち星はない。前走牡馬相手か、芝とはいえ牝馬一線級に揉まれた馬が好成績。

■3歳のステップは2つ

3歳は、前走関東オークスJpnIIの1~2着馬が、4頭出走して2勝、3着1回。前走ユニコーンステークスGIII組は出走3頭で、2、3着各1回。この2レース以外から3着以内に入った3歳馬はいない。

 
ライター: 栗田勇人

 

プロフィール_2

第23回スパーキングレディーカップ (JpnIII)

注目馬情報

協力:競馬ブック

■ゴールドクイーン (牝4歳 JRA・坂口智康厩舎)

写真:谷口浩

前走は雨の中のかきつばた記念。
テンから軽快に飛ばし後続を振り切って見事、令和最初のダートグレード競走を制した。
渋った馬場とはいえ走破タイムも出色だった。

「中間は在厩調整で順調に乗り込んだ。今回は1600mと地方の深い馬場が課題。雨でも降って、前走のような軽い馬場になれば」と坂口調教師。

近走はダートの短距離がローテーションの中心。
今回はマイルに延長される初距離だが、圧倒的なスピードを武器にレースの主導権を握りたい。

■マドラスチェック(牝3歳 JRA・齋藤誠厩舎)

写真:真鍋元

前走の関東オークスでは1番人気に推されていたが、外枠から先行位置が取れず中団からの競馬。道中は砂をかぶってフワフワとした走りをしていたが、それでも外に持ち出すと一気に加速してメンバー最速の上がりで伸びてきた。道中ラクに逃げていた勝ち馬の脚いろが鈍らず同タイムで上がられては2着も仕方なかった。

「前走は初めて砂を被る格好になり、こちらの思った以上にキックバックを嫌がっていた。スムーズに捌いた勝ち馬に対して、こちらは外を回らされ、その分、距離も響いた感じで最後、脚勢が鈍ってしまった。マイルは芝で実績を残している距離だし、初の古馬相手でも斤量差を生かせれば頑張れるはず。前走を踏まえて、逃げるか、外の番手から積極的な競馬になると思う。スンナリと運べれば、好勝負をしてくれると思うよ」と相田助手。

前走に続く川崎コースで、適性は実証済み。初めてのナイターを気にした場面もあったようだが2度目となれば心配無用。
今回は初の古馬相手だが52キロの軽量が魅力で、今年デビューのルーキー齋藤新騎手が重賞に初騎乗する。
関東オークスの武藤親子に続く父子鷹の勝利へ期待は大きい。

■ラーゴブルー (牝5歳 川崎・内田勝義厩舎)

写真:真鍋元

前走のマリーンカップでは逃げた馬を直線きっちり捕らえて差し切り優勝。12年ぶりに地方馬の勝利となった。
マリーンカップ前日のオープン競走より2秒も速い走破タイムだったのも評価できる。

2017年暮れに未勝利で中央から移籍。
中央時代は膝に熱をもつなど体質の弱い面があって力を出し切れずにいたというが、C1クラスからスタートし6戦連対パーフェクトでしらさぎ賞で重賞初制覇。
一気に駆け上がってついにダートグレード戴冠も成した。

「間隔をあけた方が良いタイプなので、ここを目標にして前走後はすぐに笹針を施してしてリフレッシュさせた。地元マイルで結果を出したい」と内田調教師。

昨年のこのレースは初のダートグレード挑戦だったが、スタートで痛恨の躓き。先行馬には致命的だった。

スパーキングレディーカップは10年連続してJRA馬が勝利しているが、秋の浦和JBCレディスクラシックという最大目標に向けて一矢報いたい。

■ミッシングリンク (牝5歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

昨年のTCK女王盃馬が転入2戦目を迎えた。
緒戦の京成盃グランドマイラーズでは牡馬相手だったが、2番手を追走し直線やや伸びを欠いたものの3着に粘った。

「綺麗な跳びをしているし、3着とは言え大物感のある走りだった。
マイルくらいが良さそうだね。気を抜く面があると聞いていたが、3~4コーナーで一瞬フッと抜けたくらいでそう心配するものではなかったし、一度使ったことでさらによくなっているだろう。今回は交流戦ではあるけど楽しみの方が大きい。今後の物差しになるレースだね」と左海誠二騎手。

鞍上もすでに手の内に入れてマイルの適性を見極めており、脚質に自在性があり柔軟に立ち回れるのは強み。
川崎コースは3戦目となりTCK女王盃馬が本領発揮。

■ファッショニスタ (牝5歳 JRA・安田隆行厩舎)

写真:真鍋元

デビューから一貫してダートを走り、昇級戦だった前走の天保山ステークスは直線差し返して2着を確保した。
昨年のJBCレディスクラシックでは大外から追い込んで3着した切れ脚はインパクト大きく、地力では上位争いだろう。
ただ、大型馬で初めての地方の小回りコースに対応できるかどうか。

「力は通用するし距離自体も問題ないが、大型で器用さに欠けるタイプだけに小回りでコーナー4つの競馬に対応できるかが鍵」と安田調教師。

近走は先行する競馬をして好走。今回も枠順の良さを生かして自分の型に持ち込みたい。

■サルサディオーネ (牝5歳 JRA・羽月友彦厩舎)

写真:真鍋元

ダートグレード競走にも積極的に出走し、川崎コースは今回で4度目。母サルサクイーンは川崎・内田勝義厩舎に所属して東京プリンセス賞を差し切り勝ちするなど母ゆかりの競馬場でもある。

「相変わらず攻め馬では絶好の動きを見せてくれています。距離が短縮されますが、2100mより適性は高いと思っています。ここもいつも通り、自分のリズムで運べるかどうかでしょうね」と羽月調教師。

左回りでの好走が目立ち、逃げがベスト。
ムラな面があり、今回もまずは気持ちのスイッチ入るかどうかがポイントになりそうだ。

■マルカンセンサー (牝4歳 大井・高野毅厩舎)

写真:真鍋元

今年1月のTCK女王盃ではBクラスからの格上挑戦で、ノーマークの9番人気ながら2着に飛び込んで波乱の立役者になった。
ここ2戦は自己条件で圧勝と上り調子でダートグレード競走に臨んできた。

「もっと能力を発揮できてもいい馬だと思っている。レースの選択が難しく、なかなかうまくいかなかったが状態も上がっている今ならオープンの流れにも対応できるはず。前が流れてくれれば終いの脚が生かせそうだ」と高野調教師。

川崎コースはロジータ記念以来。その際は折り合いを欠いて自分のリズムで競馬ができなかった。

先行有利の馬場とはいえ、これだけ先行馬が揃えば切れ脚を炸裂させるシーンがあるかも。

■アッキー (牝6歳 川崎・林隆之厩舎)

写真:真鍋元

中央から昨年末に転入すると3戦目のエンプレス杯では前とは離されてはいたものの5着に入線。リズムを掴んだような走りだった。
その後も長めの距離を使われ、オープンレースでも自在に立ち回っていた。

「できれば砂をかぶりたくない馬だから、外枠はむしろプラス材料。中央時代にマイルでの実績もあるし、スタミナと長く持続する脚を生かして前めの競馬で粘り込みたい。入厩当初と比べるとカイバ食いがずいぶん良くなっているし、先々につながるレースができれば」と林調教師。

前走後にはリバティホースナヴィゲイトに移動してリフレッシュを挟むいつものローテーション。
今回はマイルに距離短縮されて、スピード競馬にどこまで対応できるか。

■オルキスリアン (牝6歳 船橋・張田京厩舎)

写真:真鍋元

ダートグレードにも積極的に参戦し、初挑戦だった昨年4月のマリーンカップでは直線切れ脚を発揮して地方馬最先5着。暮れのクイーン賞で51キロの軽量を生かして3着の地方最先着と健闘を見せる。
昨年のスパーキングレディーカップでは思い切った先行策に出たが勝ち馬が2番手につける厳しい流れだった。

母アクレイジアは2004年の関東オークス、ジャパンダートダービーを2着した砂の強者。

母の母は川崎から誕生した伝説の名牝ロジータで孫に当たる血統。走りに力みが出がちだが、祖母ゆずりの気の強さは武器であり血の爆発力を期待したい。

プロフィール_2


写真:真鍋元

スパーキングレディーカップは牝馬によるダートグレード競走。
地方馬にとってはグランダム・ジャパン古馬シーズンの一戦でもある。
3歳馬1頭を含むフルゲートでの戦い。
先行したい馬が多いなか、内枠を生かして主導権を握ったのはサルサディオーネ。2番手にはファッショニスタ、そのあとにゴールドクイーン、ラーゴブルーと続く。
サルサディオーネが軽快に飛ばし、隊列はバラけて縦長状態。
逃げ切りを図ろうとするサルサディオーネを、2番手につけていたファッショニスタが直線半ばで捕らえ、最後は4馬身差をつける圧勝劇。
粘るサルサディオーネが2着入線。
後方で脚をためていたローレライが直線内を鋭く伸びて3着に食い込んだ。


写真:真鍋元

■1着 ファッショニスタ

好スタートを切るもサルサディオーネに主導権を譲るかたちで2番手追走。ゴーサインを出すと直線鋭く伸びて4馬身突き放した。
重馬場でも時計の掛かる馬場状態のなか、走破タイム1分40秒6は優秀。
1番人気に応え、これが初重賞制覇となったが、何より初の地方競馬の小回りをこなせたことは大きな収穫で、秋のJBCレディスクラシックでも楽しみな存在になった。

<安田隆行調教師>
小回りがほんとに心配だったんですけど、ジョッキーに聞いたらぜんぜんうまかったと。これでJBCにチャンスが出てきたかなと思います。このあと夏はひと息入れてJBCに向けてということになると思います。

<川田将雅騎手>
上手にゲートを出てくれましたし、二の脚もついていいリズム。もう少し行く馬がいてその後ろくらいからと思っていましたが、想像していたよりいい位置で競馬ができました。なかなか毎回全力を出し切るのが難しい面はありますが、この子の癖は理解しているつもりです。賞金加算できたことで、これからは使いたいレースを使える立場になるのは大きいことだと思います。

■2着 サルサディオーネ

好枠を利して、引きつけるというよりも他馬を寄せつけない逃げ。
序盤に脚を使ったせいか終いは一杯になったが、今回は気持ちのスイッチが入った走りで自身の競馬はできた。

<岩田康誠騎手>
こういう馬場でしたし砂をかぶると嫌がる面があるので、行かないと持ち味が出ない馬。逃げて自分の競馬に徹した。最後までよく粘ってくれた。

■3着 ローレライ

格下からの挑戦で11番人気だったが、中団後ろの位置取りで自分のペースを守り、内々で脚をためていたことで最後は持ち味の鋭い脚を発揮。
直線でうまく前が開いたのも好走につながった。

<本田正重騎手>
ゲートが不安定な課題はあるが、出たなりに位置取ると道中の手応えもよかった。
直線ではうまくいいところが開いて最後はいつもの脚を使ってくれた。

■4着 マドラスチェック

52キロの軽量で期待のルーキーが騎乗したが、内枠がアダになり、包まれる状態で位置取りも思うようにはいかなかった。
外に出してからはいい脚で伸びてきたが、砂をかぶって嫌がる面を見せていた。

<齋藤新騎手>
一歩目は普通に出たんですが、前に入られて砂をかぶったら進んでいかなくなってしまいました。スムーズならそこから動いていけるんですが、揉まれたことで経験の浅さが出てしまったのかもしれません。終始、気を使って走っていました。
切れる脚がないんで外に切り替えて3、4コーナーでは上がっていったんですが・・・。

■5着 マルカンセンサー

中団追走から直線よく伸びて入着。
今年のTCK女王盃で2着したことがフロックではないのだと思わせるような終いの切れだった。
今後もマークしたい成長株だ。

<的場文男騎手>
道中ついて行ければ力を出せる馬。自分の走りはできたが、右回りの方が上手だね。距離はもう少しあった方がいい。南関東同士ならやれそうなメドが立った。

■6着 ミッシングリンク

好位に位置取るも、向正面からは追走にひと苦労。
馬場を気にしていたのか、直線の脚も見られなかった。

<左海誠二騎手>
ノメって走っているような感じで、返し馬から走りづらそうにしていた。前走はいい感じでハミを取っていったが今回はそうでもなかったし、道中も気を抜くような面がありますね。

■7着 ラーゴブルー

スタートは今ひとつも、すぐに好位に取りつきレースを進めたが、直線半ばで脚が上がってしまった。
12キロの馬体増も少しは影響したのか。

<御神本訓史 騎手>
出負けはしたが先行集団にはついていった。3コーナーくらいまで手応えはよかったのにそこからついていけなかった。
プラス体重はそう響いたとは思えない。久々の川崎コースで馬場の影響があったのかもしれません。水が浮いたような馬場を走ったことはなかったので。それでも、もう少し粘ってくれる馬なはず。ペースが速かったとはいえ、前の馬が残っているんだから理由にはならないし、敗因はわかりません。これから分析します。

■8着 ゴールドクイーン

初めてのマイル戦。外3番手をモマれずに追走したが、勝負どころから脚いろが鈍った。距離だけでなく、初コースや初ナイターの影響も大きかったようだ。
ファッショニスタと人気を分け合っていたが、かきつばた記念のように自分のスタイルで競馬が運べなかった。

<古川吉洋騎手>
テンから行きっぷりが悪かった。コーナー回りもうまくいかなかったし、馬場が合わないのかも。
返し馬では体調が良さそうだったが、初めてのナイター競馬でイレ込んでもいて、いろいろ重なっての結果だと思います。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
22 平成30年 リエノテソーロ 牝4 吉田 隼人
21 平成29年 アンジュデジール 牝3 横山 典弘
20 平成28年 ホワイトフーガ 牝4 蛯名 正義
19 平成27年 トロワボヌール 牝5 戸崎 圭太
18 平成26年 サウンドガガ 牝5 武 豊
17 平成25年 メーデイア 牝5 濱中 俊
16 平成24年 スティールパス 牝5 蛯名 正義
15 平成23年 ラヴェリータ 牝5 武 豊
14 平成22年 ラヴェリータ 牝4 岩田 康誠
13 平成21年 ラヴェリータ 牝3 岩田 康誠
12 平成20年 トーセンジョウオー 牝7 戸崎 圭太
11 平成19年 メイショウバトラー 牝7 武 豊
10 平成18年 レマーズガール 牝6 内田 博幸
9 平成17年 トーセンジョウオー 牝4 後藤 浩輝
8 平成16年 グラッブユアハート 牝4 安藤 勝己
7 平成15年 レマーズガール 牝3 武 豊
6 平成14年 ジーナフォンテン 牝4 張田 京
5 平成13年 プリエミネンス 牝4 柴田 善臣
4 平成12年 トシザミカ 牝6 河内 洋
3 平成11年 ファストフレンド 牝6 蛯名 正義
2 平成10年 ホクトロビン 牝5 佐藤 祐樹
1 平成9年 オートメンデス 牝4 岡村 裕基
1 平成9年 ブンブンラリー 牝4 桑島 孝春