コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成29年度第7回開催 戸塚記念 他

9月6日~9日の開催のメインとして行われた戸塚記念は、早めに仕掛けた左海誠二騎手のカンムルが圧勝。浦和の小久保智調教師は、昨年のベルゼブブに続いてこのレース連覇となりました。 初日に行われた、やまなみ五湖「宮ヶ瀬湖」杯は、酒井忍騎手のミッキボクサーが見事に差し切り、昨年11月以来の勝ち星となりました。また最終日に行われた3歳特別の全国餃子サミット・かわさき餃子国特別は、7番人気のドナアーディがラチ沿いから鮮やかに抜け出しました。鞍上は新人の櫻井光輔騎手でした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2017年9月7日(木)戸塚記念

優勝馬 カンムル

斎藤
勝ったカンムルは、好スタートを切りましたが6、7番手に控えました。
竹見
スタートして最初の3コーナーまで、前3頭の先行争いでペースが速くなりました。
斎藤
カンムルの左海騎手は、2コーナーを回って向正面に入ったところから仕掛けていきました。
竹見
向正面の中間過ぎでは早くも先頭に立っています。ゆったり流れる長距離戦ではいい判断だったと思います。早めの仕掛けがうまくハマって、後続はついてこられませんでした。
斎藤
2着のキングガンズラングには2馬身半、3着以下には大差がつきました。
竹見
唯一食い下がったキングガンズラングはちょっと残念でした。向正面でカンムルが行ったときに、一緒に上っていくべきでした。少し仕掛けが遅れたことで一気に離されてしまいました。大型馬なので、直線だけで一瞬の脚を使って差し切るのは難しいタイプです。最後まで差が詰まらず、完全に勝ったカンムルのペースのレースでした。
斎藤
的場騎手から矢野騎手に乗替った断然人気のブラウンレガートは見せ場をつくれず5着でした。
竹見
東京ダービーからジャパンダートダービーを使って、黒潮盃は勝ちましたが、ずっと厳しいレースを続けていますから、ちょっと使い過ぎだったような気もします。前半から行きっぷりが悪く、向正面ではもう手ごたえがありませんでした。的場騎手が招待レースで園田に遠征したことでの乗替りでしたが、的場騎手に乗ってほしかったですね。

2017年9月6日(水)やまなみ五湖「宮ヶ瀬湖」杯

優勝馬 ミッキーボクサー

斎藤
勝ったミッキーボクサーは、スタートがあまりよくなく、中団からの追走でした。
竹見
よくあの位置からで勝ったと思います。
斎藤
酒井忍騎手は向正面から追い通しでした。
竹見
ずっと追ってきて、4コーナー手前でもまだ5、6番手。叩いて、叩いて、ようやく直線伸びました。1番人気のパフュームクラスタが2番手の絶好位追走から直線で完全に抜け出して勝ったかと思いましたが、それをよくゴール前で差し切りました。
斎藤
向正面から追い通しだと、ジョッキーはたいへんですよね。
竹見
伸びない馬だと疲れるだけですが、追って伸びる馬ならいいんです。これは酒井騎手の好騎乗でした。この騎乗は褒めていいと思います。残念だったのは、森下騎手のレジェンドセプターです(8着)。向正面に入ったところでは酒井騎手と同じ中団にいましたが、3コーナーあたりで一気に前にとりつきました。仕掛けが早かったぶん、最後は一杯になってしまいました。今回が休み明け2戦目で、次あたりはもっとよくなってくるでしょう。

2017年9月9日(土)全国餃子サミット・かわさき餃子国特別

優勝馬 ドナアーディ

斎藤
勝った櫻井騎手のドナアーディは、中団よりうしろからの追走でした。
竹見
1番人気になった今野騎手のソウスケサンが逃げましたが、ペースが少し速かったかもしれません。それで縦長の展開になりました。結果的に今野騎手は4着で、1、2着は後方からレースを進めた2頭でした。
斎藤
櫻井騎手は、いつの間にかという感じで、4コーナー手前では3番手まで進出してきました。
竹見
縦長のバラバラの展開になったことで、向正面あたりから内に進路をとって、経済コースを通って位置取りを上げてくることができました。そのまま4コーナーでは内を突いて、直線では内がぽっかり空いてくれました。こういうふうに、何もかもがうまくいくことはたまにあります。それにしても櫻井騎手はうまく乗りました。その後に会ったときに、「デビューして今までで一番うまく乗ったな」って言っておきました。最近では、追うときの姿勢もだいぶよくなってきました。
斎藤
瀧川騎手のコスモフリーザーがゴール前突っ込んで2着。7番人気、5番人気の決着でした。
竹見
瀧川騎手は、櫻井騎手よりさらにうしろからでした。同じように3、4コーナーではラチ沿いから位置取りを上げてきて、直線は外に持ち出してよく伸びてきました。瀧川騎手も最近はかなり乗れています。