コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成30年度第4回開催 スパーキングレディーカップJpnIII 他

 7月2〜6日の開催でメインに行われたのは、JpnIIIのスパーキングレディーカップ。勝ったのは、2年前の全日本2歳優駿以来の勝利となったリエノテソーロで、鞍上はデビューから主戦を務める吉田隼人騎手でした。中央馬4頭が上位を独占する結果で、地方最先着は大井のブランシェクールでした。  3日に行われたJRAとの条件交流、ジュライフラワー賞は、スタート後は最後方だった川崎のゴールデンダイヤが一気にまくって直線での追い比べを制したました。鞍上は、この日3勝を挙げる活躍を見せた酒井忍騎手でした。  また最終日のメイン、キュンとするまち。藤沢杯は、先行した2頭が粘るところ、中団を追走した瀧川寿希也騎手のウインブルースカイがゴール寸前で差し切りました。  今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2018年7月5日(木)スパーキングレディーカップJpnIII

優勝馬 リエノテソーロ

斎藤
勝ったリエノテソーロは好スタートも控えて2番手。逃げたのは船橋のオルキスリアンでした。
竹見
オルキスリアンが3コーナーで一杯になったところで、リエノテソーロの吉田隼人騎手は、一気に行ったのがよかったと思います。
斎藤
そこからは、早めに仕掛けてきた中央3頭の追い比べになりました。
竹見
吉田騎手は先頭に立ったところで、ルメールが来ても並びかけさせませんでした。これがひとつ勝因です。どの馬も道中で脚を使っていますから、こうなるとなかなか差は詰まりません。脚色が一緒になって、最後まで抜かせませんでした。吉田隼人騎手は、姿勢もいいし、追ってからも上体がぶれることがなく、綺麗に乗ります。

2018年7月3日(火)ジュライフラワー賞

優勝馬 ゴールデンダイヤ

斎藤
勝った酒井忍騎手のゴールデンダイヤは1コーナーを最後方で回りました。
竹見
前のペースがそれほど速かったわけではないですが、この馬はもともと終いの脚を生かすタイプのようです。
斎藤
3コーナーあたりから、同じく後方にいたマラビージャと、一気に位置取りを上げていきました。
竹見
行けるときは外からでも一気に行かないと、川崎の小回りコースは仕掛けのタイミングは難しいです。4コーナー手前で、内で我慢していた西啓太騎手(エクスパートラン)が、前がカベになって一瞬行き場を失う場面がありましたが、酒井騎手は大外を回して一気に大外を伸びてきました。ただぽっかり内が空くこともあるので、そのあたり、川崎コースは運に左右されることもあります。おそらく後ろからでも差し切れる自信もあったでしょうし、とにかく酒井騎手は好騎乗でした。

2018年7月6日(金)キュンとするまち。藤沢杯

優勝馬 ウインブルースカイ

斎藤
赤岡騎手のペプチドアポロが逃げて縦長の展開でした。
竹見
馬場が悪いと、どうしてもテンが速くなるので、終いの脚がいい馬が最後に一気に来る場合があります。
斎藤
2番手につけた川島正太郎騎手のドリームキングと、前に行った2頭が直線を向いても逃げ切り態勢でした。
竹見
瀧川騎手のウインブルースカイは、中団から位置取りを上げてきました。3番手以下を追走していた馬で、前の2頭に迫ったのはこの馬だけです。あとの馬たちはみんなバラバラでした。瀧川騎手は馬群の外目を追走して、道中でほとんど砂をかぶらない位置を追走していたのはよかったと思います。前に行った2頭が粘るかと思いましたが、瀧川騎手はあの位置からよく差し切りました。瀧川騎手は8日にも盛岡で重賞(オパールカップ)を勝って、ここのところ乗れています。